最新小型車 いずれも有力
定例の比較テストとしては、今回の9台は異例の多さとなる。集まったクルマは小さいが、テストの規模は「ジャイアント」だ。とはいえ、そのうち6台は、この8カ月ほどの間に英国市場で初お目見えしたモデルだけに、どれも外すわけにはいかなかった。
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その6台とは、シトロエン、日産、スズキ、キアのほか、フォルクスワーゲングループの新たなコンパクトカー用プラットフォームであるMQB-A0の採用第1号となったセアト・イビーザと、英国のベストセラーであるフォード・フィエスタ待望の新世代モデルだ。
まずは予選ラウンドとして、これら9台をサーキットに持ち込み、1台ごとに試乗して精査する。そしてトップ4台を選出し、公道に場を移して決勝ラウンドを開催。
いずれもエンジン出力は100ps前後、価格は£16,500(240万円)前後といったところ。どのクルマにも、決勝進出のチャンスは平等にあると思われるが、まずは予選ラウンドで脱落したクルマたちをみていこう。
予選を脱落したクルマ5台
9位:シトロエンC3ピュアテック110フレア
エクステリアを見る限り、シトロエンC3は多くのユーザーをとりこにしそうだと思える。
先代からガラリと変わったチャーミングなルックスは、強烈に心を捕らえる。この手のビジュアル的なアピールは、安価なスモールカーにとって非常に有効な販促策だ。
その見た目の半分でもいいから、クルマ自体のデキが魅力的ならよかったのに。
シートは広くて快適だが、足元の空間は浅く、脚を伸ばすことができない。インテリアは広範囲に硬くテカテカしたチープなプラスティックが用いられ、角張って上面がフラットなダッシュボードはしばしば照り返しが眩しい。
斬新なマテリアルがアクセントとして用いられているが、アイキャッチ以上のものではない。小物入れのスペースは小さく、数も少ない。
走らせてみても、ほかの8台と競い合えるレベルに達していない。乗り心地はうつろで、うるさくて落ち着かず、ダンピングも足りない。
グリップレベルはほかと比較すれば不足気味で、ボディコントロールは貧相なもの。コントロールはもたつき、曖昧で、正確性に欠け、魅力のかけらもない。
安価なスモールカーといえども、もう少し走りがよくないと。ほかの大部分は、それができているのだから。
結論見た目は最高。しかし、内装はチープで、走りは失望のひと言。クラス最低、とはいわないが、今回の9台の中では最下位。
8位:キア・リオ1.0T-GDI 3
キアは数カ月前、この4代目リオを新たなファッションアイコンだと紹介したが、このカテゴリーにおいては実用本位の1台に過ぎない。
実用本位結構、と思うかもしれないが、世界最高峰のコンパクトカーたちと渡り合うには、プラスαのない実用車であることは力不足を意味する。
キャビンは広く、成人が後席に乗車する機会が多いというなら、その点に関してはトップ3に入るほどだ。スイッチやトリムの作りも、耐久性がありそうだ。
しかし、試乗車の室内はくらい色遣いで、全体的に硬い素材で覆われ、なんとなく悪い予感を呼びさえする。
このクラスにしては大きいクルマに感じられるが、それはハンドリングによるところが大きい。それは柔らかく、緩慢で、安定はしているのだが、活気というものがまるでない。サスペンションは路面からのノイズを盛大に伝えてくるのだが、振動面は無感覚といってもいい。
新型の1.0ℓ直噴ターボは、このクルマ最大のトピックだ。ターボが利けばそれほど歩みが遅いわけでなく、スタミナとほどほど鋭い回転を見せ、クルマをそれなりに元気よく走らせる。
結論先代よりは大きく進歩した。しかし、細心の欧州勢に比べれば、スタイリングも、運動性能の洗練度もまだまだ遠く及ばない。
7位:スズキ・スイフト1.0ブースタージェットSHVS SZ5
4WDのAT仕様を除けば、これはスイフトの最も高価な仕様だ。
それでも、今回集めたモデルの多くより£2,000(29万円)ほど安価なのだが。そして、マイルドハイブリッドとしたことで、実走行燃費やCO2排出量はよりアピールを強めている。
残念なのは、先代にあったシンプルなスタイリングと活発で楽しい走りが失われていることだ。
インテリアの使い捨て感は避けがたい。コーナリング時にセンターコンソールに膝を当てて身体を支えると、プラスティックのしなりが感じられる。
ある日、しなりが大きくなって気が付くとひびが入っていた、なんてことになりそうで不安だ。
タッチスクリーン式インフォテインメントシステムのクオリティもあまり高く見えない。もっとも、この価格で標準装備されているのは立派なものだ。
ハンドリングはソフトで、ダイレクトではなく平凡。先代より乗り心地は落ち着いているが、シフトは扱いづらく、望ましくないほど軽い。
ステアリングの感触はゴムっぽい。「ブースタージェット」ターボエンジンは、せめてもの救いだったが、運動性能の後退とルックスの変貌ぶりは実に残念だ。
結論バーゲン価格のスズキは、価格的なメリットがないわけではないが、元気で好ましかった先代に比べると、期待はずれの後継モデルといわざるを得ない。
6位:ルノー・クリオTCE90ディナミークS NAV
5年前なら、ルックスの斬新さはコンサバティブなライバルたちに大きく差を付け、898ccターボのトルキーなフィールはこのクルマを選ぶ理由にさえなった。
しかし、コンパクトカーの進化は速い。今日でもスマートなエクステリアではあるが、小型5ドアの水準に照らせば際立って個性的というわけではなく、エンジンはむしろ弱みとなっている。
かつてのすばらしいクルマが、時を経て普通にいいクルマへと評価が変わるのはよくあることだ。クリオには、今でも好ましい点が多々ある。
適度なグリップとフランス車らしい穏やかさをもったハンドリング・レスポンスが生む、落ち着いて滑らかな挙動などがそれだ。
しかし、動力性能に関しては、スロットル・レスポンスのリニアさでも加速性能でもクラス水準に後れを取る。5段MTのシフトクオリティは、ブカブカで厄介だ。
キャビンにも、デビューから時を経たことが感じられる。タッチスクリーン式インフォテインメントシステムにはショートカットのために実体スイッチがほしくなるし、後席は、平均的な体格の成人には狭い。
妙に大きすぎるアナログ燃料計や、光沢のある黒いパネルの見栄えはたしかにいいが、セールスポイントにはならない。
結論エンジンとトランスミッションにはガッカリ。あちこちに古さが感じられ、価格からすればもうすこし改善を望みたくなる。順位的には、中段グループを脱しない。
5位:日産マイクラIG-T 90 Nコネクタ
日産の新型マイクラは、かなり野心的なクルマだ。ルックス、フィール、走り、語るべき点は数多い。たとえばデザイン。日産のデザイナーたちの仕事ぶりには、単に大胆なプレスラインや角張ったモチーフを用いたという以上の、ライバルに勝るものを創ろうという意欲を感じる。
大胆で目を引くクルマを造ろうという日産の狙いは当たり、少なくとも1~2年はほかに先行するスタイリングとなっている。
これで、クリオと同じターボエンジンを積んでいるのでなかったら、予選敗退はなかっただろう。製造クオリティや乗り心地、ハンドリングはなかなかのものだし、カラフルで、直観に訴えるインテリアも好印象だ。
後席はクリオと同様にどうしようもなく狭いが、荷室は十分に広く、操作系や計器類、装備類は扱いやすい。
乗り心地の良さとハンドリングの正確さ、使いやすさの融合は実にみごと。ボディコントロールに優れ、乗り心地は抑えが利いてほどほどに穏やかだ。
もう少しコーナリングが俊敏ならと思うところもあるが、スタビリティはより大きなクルマのようで、運転への自信を引き出してくれる。
長所も短所も含めて、いいクルマだ。しかし、次のラウンドに進んだのは、もっといいクルマたちだった。
結論スタイル、クオリティ、最新の装備、洗練されたハンドリングなど、多くの点で親会社であるルノーのクリオを凌ぐ。とはいえ、ほかのライバルたちと比べれば“中の上”に留まる。
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