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ホンダ初の本格オン/オフモデル「SL250S」はオフロードバイクブームの源流だった!?

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ホンダ初の本格オン/オフモデル「SL250S」はオフロードバイクブームの源流だった!?

「エルシノア」だけじゃない、オフロードを楽しく走れるモトスポーツ車

 1972年に発売されたホンダ「SL250S」は、その後の「XL」シリーズ、そして現在の「CRF250L」など、公道を走れるオン/オフ車の起点となるバイクです。

【画像】ホンダ「SL250S」(1972年型)を詳しく画像で見る(10枚)

 1960年代からオフロード競技車は先鋭化しており、2ストロークエンジンのスプリント専用車でした。1970年には日本のメーカーがモトクロス世界GPでタイトルを獲得したこともあり、オフロード車の競技志向は高まっていきます。

 ホンダもモトクロスに対して4ストロークエンジンの使用は困難と感じており、2ストロークの「エルシノアCR250M」や「エルシノアMT250」の開発を進めていました。

 オフロード車の概要が定まると、国内外のメーカーから公道用オフロード車が発売され始めますが、キットパーツに交換すると競技車両にできる性能重視の2ストローク車が中心でした。

 一方、ホンダは1962年にダート走行を視野に入れて開発した「ドリームCL72スクランブラー」を発売。その後ロードバイクをベースにした2気筒エンジンのスクランブラーを多数ラインナップしますが、未舗装路を含むバイク旅に適しており、ハードなオフロード走行は得意ではありませんでした。

 しかしホンダは「CL72」から「SL250S」に至るまでの10年間、数え切れないほどのユーザーに、競技ではなく娯楽あるいはスポーツとして走るダート走行の楽しさを提供していました。

 オフロードバイク特有の、幅の広いユーザーとマーケットを象徴するように、ホンダは1972年から「SL250S」「エルシノアMT250」「バイアルスTL125」と様々なタイプのオフロード車を順次発売します。

「SL250S」は4ストロークエンジンの懐の深さを生かし、競技志向ではない一般のユーザーでもオフロードのスポーツ走行を楽しむことができ、ロードバイク同様に市街地走行にも適応することができました。ホンダはこの新しいオン/オフタイプのバイクを「モトスポーツ車」と呼びました。

 当時のカタログには、絶景を望む山の上に佇む「SL250S」とライダー、その上には大きく「Big Tour」と書かれており、オフロードツーリングの幕開けを感じさせるものでした。

 オフロードでの走行性能を向上させるために、エンジンは4ストロークの単気筒で、SOHCながら4バルブを採用しました。中低速でも粘るフラットトルクが売りのエンジン特性で、コンパクトに設計され、左右のクランクケースカバーは贅沢なマグネシウム合金で軽量化されています。

 フレームは旧式なバックボーンタイプのクレドール式でしたが、足まわりには前輪21インチと後輪18インチのフルサイズオフロードタイヤを組み合わせています。

 またアルミ合金製リム、軽量で弾力復元性に富むポリプロピレン製の前後フェンダーなど、ホンダ初の本格的オフロードスポーツ車としてふさわしい装備となりました。

 オフロード性能向上と共に「CL」から「SL」へと車名が変わっていきます。北米に輸出された「SL250S」は「XL250」を名乗っており、国内でもモデルチェンジを機会に名称を「XL250」へと統一されました。

 ホンダのモトスポーツ車は「XL」から「XLR」や「XR」に受け継がれ、「CRF」シリーズへとバトンタッチします。

「SL」の名称は、1997年に「SL230」で復活します。2023年には「XL750トランザルプ」が登場し、久しぶりに「XL」の名前が復活しました。

 オフロード走行を楽しめるユーザーフレンドリーなモトスポーツ車の精神は、現代にも受け継がれています。

 ホンダ「SL250S」(1972年)の当時の販売価格は20万8000円です。

■ホンダ「SL250S」(1972年型)主要諸元エンジン種類:空冷4ストローク単気筒SOHC4バルブ総排気量:248cc最高出力:22ps/8000rpm最大トルク:2.0kg-m/6500rpm全長×全幅×全高:2120×840×1125mm始動方式:キック車両重量:136kg(乾燥)燃料タンク容量:8Lフレーム形式:セミダブルクレードルタイヤサイズ(前):2.75-21タイヤサイズ(後):4.00-18

【取材協力】ホンダコレクションホール(栃木県/モビリティリゾートもてぎ内)

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みんなのコメント

2件
  • はぎわら こういち
    懐かしい〜
    40年前にXL250に乗ってました。
    街乗り、ツーリング等万能型の楽しい相棒でした。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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