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新型アウディRS3スポーツバックへ試乗 主役は400psの5気筒ターボ 前編

掲載 更新 5
新型アウディRS3スポーツバックへ試乗 主役は400psの5気筒ターボ 前編

ハイパワーなエンジンを小さなボディに

執筆:Matt Saunders(マット・ソーンダース)

【画像】新型 アウディRS3 欧州で競合する高性能ハッチバックと比べる 全124枚

翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)


ハイパワーなエンジンを比較的小さなボディに押し込んで、面白いドライバーズカーを作るという手法は、まだ社会的にも許される。欧州では、CO2の排出量に対する自動車メーカー平均での反則金や自動車にかかる税金が、ぶら下がってくるけれど。

アウディの傑作、EA855型と呼ばれる5気筒ターボエンジンは、TT RSやRS Q3といったモデルを生み出した。過去には、国際エンジン・オブ・ザ・イヤーにも輝いている。まだ、その賞は続いている。

われわれにも、傑作エンジンを買う機会は残されている。最新のアウディRS3には、電動化技術の時代だとしても、強く惹かれてしまう。

エンジンが主役と呼べるようなホットハッチは、以前はもっと一般的なカテゴリーだった。しかし今では、最後まで生き残ったモデルの1つに、このRS3はなってしまった。

ボンネットの内側に搭載される2.5L 5気筒ターボエンジンは強力なだけでなく、メカニズムとしても特長が濃い。程よく肉付きを増したボディが放つオーラは、チューニング・エンジンへ載せ替えたカスタム・ホットハッチ以上だろう。

筆者がクルマの文章を書く仕事を初めた頃は、フォルクスワーゲン・ゴルフR32やアルファ・ロメオ147 GTAが現役だった。5気筒エンジンのフォード・フォーカスSTや、直列6気筒エンジンのBMW 130iといった興奮するようなモデルも存在していた。

最高出力400ps、最高速度289km/h

近年のラインナップを見ると、ホットハッチはおしなべて4気筒ターボを積んでいる。メーカー毎に注力しているとしても、少々寂しく感じてしまうのは筆者だけだろうか。

感傷に浸っている場合ではなかった。最新のアウディRS3には、5ドアハッチバックのスポーツバックと、4ドアサルーンの2種のボディスタイルが用意される。

エンジンは前述のとおり、2.5Lの直列5気筒ターボ・ガソリン。アウディが更なる改良を加え、最高出力400ps、最大トルク50.9kg-mを発揮するに至った。最大トルクは、以前のRS3より2.0kg-mほど強化されている。

他にもRS3のメカニズムには触れるべき点が多いとはいえ、これだけのパワーがあれば、ハッチバックに289km/hの最高速度を与えることは造作ない。ただし、必要なオプションを追加すれば、の話だが。

シュツットガルト近郊のアウトバーンを、そんな高速で走るコンパクトなアウディがいたら、BMW X6 M550iやメルセデスAMG Eクラス・ステーションのドライバーもさぞ驚くことだろう。そのかわり、最新のRS3はかなりお高い。

高性能モデルの開発部隊、アウディ・スポーツは気前よく予算を注ぎ込んでいる。投じられた努力も、エンジンやサスペンションの改良だけに留まらない。トルクベクタリング機能を備える電子制御のリアデフを備える、最新で最速のA3に仕立ててある。

ドライブモードには、ドリフト・モードも追加された。アウディは、そんな呼び方をしていないけれど。

要はトルクベクタリング付き電子制御デフ

まずは足まわりから見ていこう。アウディRS3の車高は、S3からさらに10mm落とされている。ダンパーは、フォルクスワーゲン・グループの他のモデルには一切採用されていない、専用品が奢られている。

タイヤ・サイズは19インチ。幅も広げられた。フロントのトレッドは、先代から33mmも広くなっている。コーナリング時のグリップ力も引き上げるために、前後ともにネガティブキャンバーが強められている。見た目もマッシブだ。

7速デュアルクラッチATは、レシオが見直された。低速域での加速はより鋭く、高速域でのクルージング時は燃費を稼げるようになっている。RS3としては初めて、0-100km/h加速は4.0秒を切っている。

表現力にこと欠かない5気筒ターボのために、新しいアクティブ・エグゾーストシステムも開発されている。フロントに6ポッドキャリパーが組まれる、大径のスチール製ディスクブレーキも装備する。

予算次第で、RSダイナミック・パッケージのオプションも追加できる。ダンパーはアダプティブ仕様になり、カーボンセラミック・ブレーキが組まれる。タイヤはピレリPゼロ・トロフェオRがオプションで用意されるが、なぜか英国では選べないそうだ。

15万ポンド(2325万円)くらいの高性能スポーツカーに備わるようなメカニズムが、アウディのホットハッチにも漏れなく搭載されている。英国価格が、5万ポンド(775万円)を超えただけのことはある。

そして、トルクベクタリング機能付きの電子制御デフこそ、最新のRS3の要の1つといえるだろう。

この続きは後編にて。

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みんなのコメント

5件
  • アウディのアイコンである直列5気筒ターボは一度味わってみたい。
  • この類いの車は、これが最後になりそうなので、日本に来たら本気で買うことを検討中。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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