老若男女、モデルによっては世界中のユーザーに向けて開発しなければならない自動車。「走る・曲がる・止まる」の基本性能が優れていることはもちろん、便利かつ快適さも求められる。
このように、オーナーを満足させるべく、1台のクルマに求められるポイントはあまりにも膨大だ。
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しかし開発者の知恵と努力の甲斐あって「かゆいところに手が届く」装備が次々と誕生している。そのなかにはメーカーを代表する装備になるものもあれば、いつのまにか姿を消しているケースも少なくない。
数え上げればキリがないが「消えた日本車の世界初の装備、生き残った世界初の装備5選」と題して紹介したい。
文/松村透
写真/トヨタ、日産、ホンダ、松村透
[gallink]
■スーパーライブサウンドシステム(トヨタ)
「ニューライブコンパクトビークル」と名づけられたセラ。スーパーライブサウンドシステムを選択すると10スピーカー(DSP搭載)となる
トヨタの純正オーディオの名称としておなじみの「スーパーライブサウンドシステム」。臨場感を高めるために「DSP(Digital Signal Processor)音場創出型カーオーディオ」世界で初めて車両と一体で開発された。
1990年、セラに設定されたことを皮切りに、多くのトヨタ車に設定(メーカーオプション)された「スーパーライブサウンドシステム」は、CDをはじめとする音楽ソースの広帯域化に対応して、重低音から高域までフラットに原音を忠実に再生。
DSPの効果もあり、車内にいながら、コンサートホールにいるような広がり感のある音響空間を実現した。
セラ・スーパーライブサウンドシステムは、ファンキー、カジュアル、ハイファイの3モードに切り替えることが可能なDSPにより、リアスピーカーの角度や残響音をコントロールできた
「スーパーライブサウンドシステム」という、いかにもゴージャスかつキャッチーなネーミング、そして10スピーカーや12スピーカーなど、スピーカーの数の多さにも魅力を感じたミーハーなクルマ好きは筆者だけだろうか。
その後も「パノラミックスーパーライブサウンドシステム」や「トヨタプレミアムサウンドシステム」、「JBLプレミアムサウンドシステム」をはじめとして、車種のモデルチェンジともに進化している。
そして、その源流にあるのは「スーパーライブサウンドシステム」だという気がしてならない。
■インテリジェントパーキングアシストシステム(トヨタ)
2代目プリウスにもインテリジェントパーキングアシストシステムが設定された
初心者はもちろん、それなりの運転経験があるドライバーでもバックでの車庫入れや縦列駐車が苦手という人は案外多いかもしれない。
車庫入れをクルマが行ってくれたら・・・という妄想を、トヨタが2003年に実用化・商品化したのが「インテリジェントパーキングアシストシステム」だ。
当初はこの種の装備にありがちな「ドライバーがクルマに合わせる」配慮が必要であったりと、多少なりとも改善の余地があったことは確かだ(・・・とはいえ、夢のような装備を実用化してしまったのだから賞賛されてしかるべきだと思う)。
インテリジェントパーキングアシストシステムは現行モデルのトヨタ車にも設定されており、進化をつづけている
その後、2005年に画像認識による駐車枠認識機能を、2006年に世界初となる超音波センサーによる駐車空間認識機能を追加。さらに2008年には後退開始位置を案内する「プレサポート機能」が追加された。
そして2010年には、車庫入れ駐車時にステアリング操作で目標駐車位置を設定できるイージーセット機能を追加されるなど、たえず進化を遂げてきた。
インテリジェントパーキングアシストシステムは、現在でもアルファードやヴェルファイア、ノア、ヴォクシー、プリウスなどのトヨタ車に標準装備またはメーカーオプション設定されている。
また、縦列駐車は「スマートパノラマパーキングアシスト」としてライズの一部グレードにメーカーオプション設定されており、今後も進化を遂げていく装備であることは間違いない。
■アラウンドビューモニター(日産)
自分のクルマを真上から見ているかのように駐車できるアラウンドビューモニターは、初心者からベテランまで、幅広いユーザーにとってあると便利な装備といえる
自分のクルマを真上から見ているかのように駐車できる装備。それが日産が2007年に実用化したのが「アラウンドビューモニター」だ。
現在では軽自動車からフーガなどの高級車まで幅広いモデルに標準装備またはメーカーオプション設定されている。
並列駐車や縦列駐車時など、状況に応じてディスプレイ付きの自動防眩式ルームミラーのモニターの4つのビュー(トップビュー・フロントビュー・サイドブラインドビュー・バックビュー)を切り替えることで、駐車時にアシストしてくれるシステムだ。
現在は「インテリジェント アラウンドビューモニター」へと進化。純正ナビの画面に表示されるようになり、視認性がより向上している
操作方法はいたってシンプルで、ギアをリバースに入れると自動的にモニターが切り替わり自車とその周囲の映像を表示。その映像と目視で周囲の状況を確認しながら駐車すればいい。
目視だけでは死角になりがちなポイントもアラウンドビューモニターがカバーしてくれるのだ。
現在は「インテリジェント アラウンドビューモニター」へと進化。
純正ナビの画面に表示されるほか、停止時および発進時にカメラが車両周囲の移動物を検知すると、画面表示と音による警告でドライバーに知らせてくれるなど、さらに進化している。
また、アラウンドビューモニターの映像を利用することで、駐車時に自動的にハンドル操作を行ってくれる「インテリジェント パーキングアシスト」も実用化されている。
■ホログラフィックマーカー(日産)
スカイライン(R33型)やセドリック/グロリア(Y33型)など、主に1990年代後半の日産車を中心にディーラーオプション設定されたホログラフィックマーカー
スカイライン(R33型)やセドリック/グロリア(Y33型)など、主に1990年代後半の日産車を中心にディーラーオプション設定されたユニークな装備が「ホログラフィックマーカー」だ。
果たしてどんな機能を持つ装備なのか、すぐにはイメージできないかもしれないが、平たくいうと「バンパー先端のガイド棒(いわゆる「へたくそ棒」)」を映像で表示させる装備と思えばいい。
ルームトリムに取り付けたユニット(映写機)が、車両先端部にポールに見立てた映像を表示。
オレンジマーカーが見えるところがバンパーコーナー部の最外側を示し、グリーンのマーカーがオレンジのマーカーよりも約10cmの位置を示すことで、運転の目安になる・・・という仕組みだ。
画像中央(ビニール袋で覆われている器具)がコンバイナーと呼ばれるヘッドアップディスプレイ。右側のグレーのカバーを天井に取り付ける必要があるため、サンルーフ付き車両は装備することができない
内装(天井)の加工が必要なため、サンルーフ付き車両は装着不可。また、ダッシュボード上に「コンバイナー」と呼ばれるヘッドアップディスプレイを設置する必要があった。
まさに「かゆいところに手が届く」意欲作だが、当時すでにコーナーセンサーが商品化されており、サンルーフを装着したいユーザーは、ホログラフィックマーカーよりもサンルーフを選んだユーザーが多かったようだ。
■ルーフベンチレーション(ホンダ)
CR-X(初代)に設定されたルーフベンチレーション。風量の2段階の切り換えと風向の調節が可能であり、ホンダらしいユニークな装備だ
1983年にデビューした初代CR-X、いわゆる「バラードスポーツCR-X」にオプション設定されていたのが「ルーフベンチレーション」だ。
屋根の後方(現代のクルマだとラジオアンテナが設置されているあたり)に角が丸い四角形の通気口がある。室内からレバーを引くことで、この通気口が現れ、飛行機のように天井から新鮮な空気を取り込むことができるという。
さらにこのルーフベンチレーションは、風量の2段階の切り換えと風向の調節が可能であり、ホンダらしさ全開のユニークな装備だ。
その後、メーカーは異なるが、スバル インプレッサの一部のモデルにも装備されていたり、またラリーをはじめとするモータスポーツの世界でも使用されている。
CR-X(初代)では、ノーマルルーフをはじめ、メーカーオプションでルーフベンチレーションの他、電動アウタースライドサンルーフも選択することができた
ちなみに、初代CR-Xデビュー時にメーカーオプションで設定されていたのが「電動アウタースライドサンルーフ(こちらも世界初)」だ。
こちらは一般的なサンルーフとは異なり、屋根がそのまま後方にスライドする仕組みで室内高をかせぐことができる(チルトアップ機能も備わっていた)。
最近ではメーカーオプションでサンルーフが設定されている車種も減りつつある。喫煙者であれば、チルトアップさせて煙りを屋外に排出できるという便利さもある。
オープンカーほどではないけれど、サンルーフを開けたときの開放感を知ってしまうとやみつきになってしまった・・・というユーザーもいるだろう。中毒性の高い装備だけに、少しでも多くのモデルにオプション設定してほしいものだ。
■まとめ:日本車の世界初の装備というだけでも誇りたい
CR-X(初代)に設定されたルーフベンチレーションの室内側の空気孔。室内からレバーを引くことで「通気口」が現れ、飛行機のように天井から新鮮な空気を取り込むことができる仕組み
いまではすっかりおなじみの装備から、懐かしいもの、存在自体あまり知られてないレアなものまで・・・。すべてを紹介したらいったい何ページになるんだろうというほど「日本車の世界初の装備」がある。
商品化された世界初の装備がこれだけあるのだから、企画段階や実用化されるまえにボツになったアイデアは、それこそ何千、何万というレベルだろう。
いずれもボタンや操作ひとつで簡単に使える装備ばかりだ。そこにいたるまでに、どの世界初の装備にも開発者たちが日夜努力を重ねて実用化・商品化にこぎつけたものであることは間違いない。
そう考えてみると、より自分のクルマへの愛着が増すよいきっかけとなるはずだ。
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