現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > なぜ、ボルボのデザインはカッコよくなったのか? キーマンに聞く!

ここから本文です

なぜ、ボルボのデザインはカッコよくなったのか? キーマンに聞く!

掲載 更新
なぜ、ボルボのデザインはカッコよくなったのか? キーマンに聞く!

“デザインアイデンティティ”という言葉がある。工業製品に大切なもので、一目見て、ブランドがわかるようなデザイン上のキャラクターを指す。クルマのように、おなじブランド内で複数の異なるモデルがある場合、デザインアイデンティティは大変だ。各モデルが似すぎてもいけないし、かといって離れすぎてもいけない。それぞれに個性を与えつつ、同時にデザインアイデンティティを与えなくてはいけないのだ。

そこで気を吐いているのが昨今のボルボである。現在のボルボは、2015年に登場した現行の「XC90」にはじまり、2016年登場の「V90」、「S90」、2017年登場の「XC60」、「XC40」、2018年登場の「V60」、「S60」(日本には2019年導入)をラインナップする。どのモデルも、エレガンスと適度なスポーティ性、それに高品質感がうまく調和している。

これがボルボ?! と、驚かずにはいられないスポーティなSUVだ!──ボルボ XC60 T6 AWD Rデザイン試乗記

ドイツ車とも日本車とも異なる、個性の際立たせかたがうまい。北欧神話をモチーフにした独自のデザインテーマを持つヘッドランプや、リアのコンビネーションランプは代表例だ。くわえてプロポーションにすぐれているうえ、面のサーフェス処理やキャラクターラインの入れ方など、ボディ全体にわたり独自の美しさが追究されている。

そんな新世代ボルボのデザインを統括するのが、デザイン部門上級副社長の肩書きを持つロビン・ペイジ氏である。2013年にインテリアデザイン担当副社長としてボルボに入社し、2017年からエクステリアのディレクションもおこなうポジションに就いた。

「今のボルボ・デザインは、スウェーデンに代表されるスカンジナビアデザインのテイストと、ボルボがこれまで手がけてきたオリジナル・デザインのテイストを、どちらも採り入れています」

東京・青山にある「ボルボスタジオ青山」で会ったペイジ氏は、新世代ボルボのデザインについて、特徴を教えてくれた。

「意識しているデザインは、つねにシンプルなものです。ボディラインやボディ表面処理も、オーバーデザイン(やりすぎ)にならないように気をつけています。私がボルボに入社したとき、インテリアのデザインチームは、同時にいろいろな案を取り込もうと悪戦苦闘していました。デザインの柱がなかったのです。そこで私は、テーマをビシッと決めたうえで、シンプルにデザインしていこうと提案しました」

新世代ボルボ・デザインのシンプルさとはなにか? たとえば、V90のダッシュボードをみると、水平のラインが明確になっているのがわかる。ダッシュボード中央から助手席のほうへと流れるキャラクターラインは、どこかで迷うことがなく、シンプルながらも力強く美しいカーブを描いているのだ。

ひとことでボルボのデザインを表現すると? と、ペイジ氏に質問した。すると「クリーンネス」と、返ってきた。ゴチャゴチャしたデザインとは真逆の、きちんと整えられたシンプルなデザインであることを伝えたいのだろう。

「デザインは、シンプルなラインで“美”を表現しつつ、同時に、私がスウェーデンで学んだ大事な要素も盛り込んでいます。それは、スウェーデン独自の魅力的なライフスタイルとクリエイティビティです」

ライフスタイルといっても幅広い。ペイジ氏によれば、「旅」や「家具」などにフォーカスしたという。スウェーデンでは、余暇があれば自然のなかに行く人が多い。また、流木のような枯れた自然素材を日常生活に活かすのを好む。つまり、自然を愛する人が多いのである。それゆえ、流木の風合いをもったウッドパネルを作り、室内装飾に使っていたりするのだ。

いっぽうクリエイティビティについては、「音楽などのポップカルチャーが盛んなスウェーデンの文化を盛り込んだ」と、ペイジ氏は述べる。たとえば、ポップカルチャーを好む層がよく使うノート型タイプのコンピューターを、簡単に収納できる小物入れを設けたという。また、XC40はオレンジのカーペットも選べるが、これもポップカルチャーを意識したからだそうだ。

「ただし”スウェーデンらしさ”は、スウェーデン人にまかせておけばいいというわけでもありません。外部からの目も非常に大切です。たとえば、ボルボのデザインチームメンバーの構成国は、30カ国以上におよびます。彼らが、スウェーデン人とは異なる視点を持ち合わせているからこそ、よりアイディアが豊かになり、満足いく結果につながるのです」

ちなみに、現在の新世代ボルボのデザインは、コンセプトモデルの「コンセプトクーペ」(2013年)、「コンセプトXCクーペ」、「コンセプトエステート」(どちらも2014年)といったモデルがベースである。これらベースモデルの登場から約6年、そろそろ次のデザインが登場してもおかしくない。この次はいかに? 展開が気になる。楽しみにしようではないか。

関連タグ

こんな記事も読まれています

ええ、[初代オデッセイ]のスペアタイヤマジかよ!! もうちょい置き場所なかったのか!?
ええ、[初代オデッセイ]のスペアタイヤマジかよ!! もうちょい置き場所なかったのか!?
ベストカーWeb
バニャイア、不調断ち切る渾身のアタックで初日最速。2年ぶりに3名がレコード更新/第4戦スペインGP
バニャイア、不調断ち切る渾身のアタックで初日最速。2年ぶりに3名がレコード更新/第4戦スペインGP
AUTOSPORT web
ヤマハ、クラッチローのワイルドカード参戦計画を発表。イタリアGPを皮切りに計3戦に出走/MotoGP
ヤマハ、クラッチローのワイルドカード参戦計画を発表。イタリアGPを皮切りに計3戦に出走/MotoGP
AUTOSPORT web
新型CX-80が待ち遠しい! マツダが今年も良いSUVを揃えて来た 今季注目のSUVも交えて一挙公開
新型CX-80が待ち遠しい! マツダが今年も良いSUVを揃えて来た 今季注目のSUVも交えて一挙公開
ベストカーWeb
周冠宇、中国マクドナルドのビーフバーガー・アンバサダーに就任
周冠宇、中国マクドナルドのビーフバーガー・アンバサダーに就任
AUTOSPORT web
【輸入車BEV販売比率1位のアウディ】 急速充電ステーションを東京都千代田区にオープン
【輸入車BEV販売比率1位のアウディ】 急速充電ステーションを東京都千代田区にオープン
AUTOCAR JAPAN
フリード&シエンタの対抗馬はこれでいい! 日産にはキューブキュービックという3列ミニバンがあったじゃないか!
フリード&シエンタの対抗馬はこれでいい! 日産にはキューブキュービックという3列ミニバンがあったじゃないか!
ベストカーWeb
【MotoGP】クアルタラロ、タイヤ内圧違反でスペインGPスプリント3位失う。代わってペドロサが2017年以来の表彰台
【MotoGP】クアルタラロ、タイヤ内圧違反でスペインGPスプリント3位失う。代わってペドロサが2017年以来の表彰台
motorsport.com 日本版
ニュルの頭文字を掲げる電気自動車【ヒョンデ Nブランド】
ニュルの頭文字を掲げる電気自動車【ヒョンデ Nブランド】
グーネット
自由に闊歩するロバたちはゴールドラッシュの名残り!? オートマンは街まるごとテーマパークのような観光スポットです【ルート66旅_49】
自由に闊歩するロバたちはゴールドラッシュの名残り!? オートマンは街まるごとテーマパークのような観光スポットです【ルート66旅_49】
Auto Messe Web
ジャガー、してやったり! 完璧チームプレイで他チーム翻弄ワンツーフィニッシュ|フォーミュラE第8戦モナコ
ジャガー、してやったり! 完璧チームプレイで他チーム翻弄ワンツーフィニッシュ|フォーミュラE第8戦モナコ
motorsport.com 日本版
ボルボの雪上テスト現場へ潜入! EX30でエルク避けを体験 ソフト開発での重要性も増す
ボルボの雪上テスト現場へ潜入! EX30でエルク避けを体験 ソフト開発での重要性も増す
AUTOCAR JAPAN
MotoGPスペインGPスプリント|マルク・マルケス、転倒で勝利幻に……荒れた展開生き残りマルティンが制す
MotoGPスペインGPスプリント|マルク・マルケス、転倒で勝利幻に……荒れた展開生き残りマルティンが制す
motorsport.com 日本版
なんちゃってセレブが「オートモビルカウンシル 2024」に潜入。インパクト大賞は「ランボルギーニ」顔のソファです
なんちゃってセレブが「オートモビルカウンシル 2024」に潜入。インパクト大賞は「ランボルギーニ」顔のソファです
Auto Messe Web
複数年契約を結んだヒュルケンベルグはアウディF1の一員に「ドイツ製PUを搭載し自動車ブランドを代表するのは光栄なこと」
複数年契約を結んだヒュルケンベルグはアウディF1の一員に「ドイツ製PUを搭載し自動車ブランドを代表するのは光栄なこと」
AUTOSPORT web
フェラーリの『499P』理解度は約8割。「残り20%をうまくコントロールする必要がある」
フェラーリの『499P』理解度は約8割。「残り20%をうまくコントロールする必要がある」
AUTOSPORT web
6MT搭載! 新型「“FR”クーペ」公開! 830馬力超えV8搭載の「最強モデル」! 60年で“最も楽しい”「スーパースネーク」米に爆誕
6MT搭載! 新型「“FR”クーペ」公開! 830馬力超えV8搭載の「最強モデル」! 60年で“最も楽しい”「スーパースネーク」米に爆誕
くるまのニュース
レッドブルF1の技術責任者、退団か 「圧勝」支えたエイドリアン・ニューウェイ氏、チーム内騒動で不満?
レッドブルF1の技術責任者、退団か 「圧勝」支えたエイドリアン・ニューウェイ氏、チーム内騒動で不満?
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

924.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

155.0800.0万円

中古車を検索
V90の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

924.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

155.0800.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村