新感覚の楽しさと扱いやすさの両立を目指したというスバル独自の電動化技術「e-BOXER」の評価が高い理由はどこにあるのか?新型XVアドバンスに試乗して、その真価を検証してみた。(Motor Magazine2021年5月号より)
一層の進化を見せたスバル独自のハイブリッドシステム
今、自動車の世界でもっともホットなワードが「電動化」だ。それは必ずしもバッテリーEV化を指すものではなく、ハイブリッド技術などによって内燃エンジンと電気モーターを併用することで、効率性を向上させることも指す。
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各社、さまざまな技術を世に送り出している中、スバルが用意するのが「e-BOXER(イーボクサー)」だ。スバルの水平対向エンジンに組み合わされるリニアトロニック(CVT)にコンパクトな電気モーターを内蔵し、リチウムイオンバッテリーを組み合わせたスバル独自のハイブリッドシステムだ。
このe-BOXERが、2020年秋にマイナーチェンジを受けて登場したXV、そしてフォレスターで一層の進化を実現した。今回は、その新しい機能と走りを味わうことで、改めてスバルのe-BOXERの真価を確かめてみたい。
エコなだけでなく走りが楽しいe-BOXER
連れ出したのは新型XVアドバンス。新色プラズマイエローパールが眩しい、XVの最上級グレードである。まず外観は、逞しいバンパーの造形、グリル形状の変更などにより顔つきが精悍さを増している。切削光輝タイプアルミホイールも新意匠とされた。内装は、オプションの本革シートが上質で落ち着いた雰囲気を醸し出している。
その上で今回の改良では、前述のとおりe-BOXERが改良されて、新たにeアクティブシフトコントロールと呼ばれるアダプティブ変速制御が採用されたのがトピック。また、サスペンションのセッティングも見直された。
さっそくその走りを確かめてみる。バッテリーにしっかり充電された状態では、発進、そして低速時の走行は電気モーターだけで行われる。その後、すぐにエンジンが始動するのだが、この出足の軽快感からしてe-BOXERのメリットが、すでに感じられる。
SIドライブをデフォルトの「I」(インテリジェント)モードに設定しておくと、市街地などでの低速走行時には、アクセルオフで頻繁にエンジンが停止してEV走行を行う。静かで滑らかに走りながら、燃費も稼いでくれる。また、回生協調ブレーキながらペダルフィールも上々だということには触れておきたい。気持ちいい走りを邪魔しないのが嬉しい。この加減速ともに自然なフィーリングは、アイサイトの全車速追従機能付クルーズコントロールを使う時にも有効。追従がとても滑らかなのだ。をも引き上げている。
SIドライブを「S」(スポーツ)モードに入れると、アクセルオンと同時に電気モーターによるアシストが行われ、キビキビとした加速を楽しめる。全開ではなく軽く踏み込んだ時の心地いいアシスト感。これがなかなかいい。
しかもeアクティブシフトコントロールは、ドライバーのアクセルペダルワークから積極的に走りを楽しもうとしていると判断すると、制御が切り替わりエンジンが高回転域をキープするように。そしてアクセルオンですかさず電気モーターの最大65Nmのトルクが上乗せされて、実にレスポンスのいい走りを楽しめるようになる。これぞ電気モーターならではの走りだ。
新型XVの走りの楽しさには、改良されたサスペンションも貢献している。乗り心地はしなやかさを増し、鋭い入力も懐深く受け止める上質感も備わる。しっとりとしていながら意のままになるフットワークは、とても小気味いい。
電動化の一番の目的が高効率化であることは間違いないが、それだけに留まらず電気モーターのメリットを走りの楽しさ、心地良さにも使い、結果として「スバルらしさ」を高めることにもつなげているのがe-BOXERである。電動化でクルマがつまらなくなるなんてことはない。今回の試乗で、改めてそう思わせてくれたのだ。(文:島下泰久/写真:永元秀和)
スバル XV アドバンス 主要諸元
●全長×全幅×全高:4485×1800×1550mm
●ホイールベース:2670mm
●車両重量:1550kg
●エンジン:対向4 DOHC+モーター
●総排気量:1995cc
●最高出力:107kW(145ps)/6000rpm
●最大トルク:188Nm/4000rpm
●モーター最高出力:10kW
●モーター最大トルク:65Nm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:レギュラー・48L
●WLTCモード燃費:15.0km/L
●タイヤサイズ:225/55R18
●車両価格(税込):292万6000円
[ アルバム : スバルXV はオリジナルサイトでご覧ください ]
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