■見た目はただのワゴン? 搭載されるのは戦闘機のエンジン!?
戦闘機のエンジンを搭載した驚きのカスタムカーが、海外のオークションに出品され、話題となっています。
排気量は2万7000ccという異次元のエンジンを搭載しながら、公道走行が可能だというこのモンスターマシンは、いったいどのようなクルマなのでしょうか。
【画像】ただのワゴンじゃない!? 戦闘機エンジン搭載のスゴい奴! 実車の内外装を見る!(11枚)
一般的に、エンジンの排気量が大きければ大きいほど、最高出力や最大トルクが大きくなるため、パワフルな走りが求められるスポーツカーや大型のSUVなどでは、排気量の大きなエンジンを搭載する傾向があります。
とはいえ、「大排気量車」と呼ばれるクルマでもその排気量はせいぜい5000から6000cc程度です。
しかし、海外のオークションでは、2万7000ccもの排気量を持つクルマが登場し、多くの注目を集めています。
今回オークションに登場したのは「ビースト」と呼ばれる1972年式のモデルです。
一見、大柄なステーションワゴンのように見えるビーストですが、全長のおよそ半分を占める長いボンネットが目を引きます。
このボンネットのなかに収まるのは、ロールス・ロイス製の「マーリン」と呼ばれるV型12気筒の航空機用エンジンです。
ちなみに、マーリンを制作しているロールス・ロイスは、超高級車の代名詞的存在として知られるロールス・ロイスと元々は同じ企業でしたが、1973年に自動車部門が分離した結果、現在では独立した別々の企業となっています。
スペース上の制約と公道での扱いやすさといった観点から、この巨大な航空機用エンジンはターボが搭載されていませんが、それでもこのエンジンを搭載したビーストは、およそ1000馬力の最高出力をもち、GM製3速ATとの組み合わせで、最高速度は400km/hを優に超えると言われています。
ボディはカーボンファイバー製で製作されたものですが、当初はロールス・ロイス「シルバーシャドウ」のフロントグリルが装着されるなど、英国の超高級車を強く意識したモデルと言えます。
一方、本家のロールス・ロイスは、このビーストには否定的なスタンスをとっていたといいます。
異様なスタイリングを持つこのビーストですが、あくまでも公道を走行することを前提として製作されています。
およそ6mという全長をもちながら2シーターであることや、1km/L程度という燃費性能などから実用性は皆無と言えそうですが、基本的には各種法規に対応しているようです。
実際、このクルマの生みの親であるジョン・ドッド氏は、かつては日常的にビーストを利用していたようです。
さまざまなイベントにも出展されていたことから、1970年代のカスタムシーンを代表する1台として、ビーストはマニアの間ではよく知られた存在でした。
しかし、ドッド氏が2022年12月に他界したことから、家族の意向もあり、今回オークションに登場することになったようです。
2023年3月9日時点では、2万5000ポンド(約404万円)だったビーストですが、60件の入札の結果、3月17日に7万2500ポンド(約1172万円)で落札されています。
あくまで日常的に使用されることを考えて製作されたというこのモンスターマシンは、新たなオーナーのもとで第二の人生を送ることになるようです。
※ ※ ※
日本の場合、排気量が2万7000ccのビーストには、11万1000円に重課分を加えた12万7600円(自家用の場合)の自動車税が発生します。
ビーストが強く影響を受けているシルバーシャドウは、6750ccのエンジンを搭載していますが、排気量6000cc超のクルマの税額は一律となっているため、排気量で4倍以上の差があるビーストも自動車税はシルバーシャドウと同額となります。
このように考えると、意外とお得と言えるかもしれません。
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