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マツダ「ロードスター」はなぜ人気? 誕生30年で100万人以上のファンに愛されてきた理由

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マツダ「ロードスター」はなぜ人気? 誕生30年で100万人以上のファンに愛されてきた理由

■ロードスターを語る上ではずせない「人馬一体」とは

 1989年の登場から今年で30周年を迎えるマツダ「ロードスター」。歴代モデルの販売台数は累計100万台を突破し、日本のみならず世界中で多くのファンを獲得しています。

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 スーパーカーのように飛びぬけた性能を持ち合わせているわけではないロードスターが、ここまで愛される存在になったのは、どうしてなのでしょうか。

 ロードスターを語るときによく使われるフレーズといえば「人馬一体」です。

 これは乗り手と馬が一つになったかのように、なだらかで巧みな連携が行われることを指す言葉ですが、ロードスターは乗り手の操作の通りにクルマが動いてくれる感覚を大切にしており、ひいては安全・安心にも繋がるという思想に基づいて作られているのです。

 2人しか乗れないというところは如何ともしがたいところですが、それさえクリアしてしまえば、長く付き合える相棒になってくれるところが、多くのファンの心をつかんでいるのです。

■消えかけたライトウェイトスポーツカーに再び注目したマツダ

 世界で初めての自動車といわれる蒸気で走るクルマも、初のガソリン自動車といわれるベンツ・パテント・モトールヴァーゲンも、屋根はありませんでした。

 屋根がない理由は単純で、重量を軽くできるからです。1950年代から60年代にはライトウェイトスポーツカーと呼ばれる名車が多く誕生しましたが、その多くがオープンモデルだったのもそういった理由があります。

 しかし、1970年代になると各国の安全基準や排ガス基準の強化、オイルショックなどの影響で、スポーツカー受難の時代が訪れます。数多く存在したライトウェイトスポーツカーも、ほとんどが姿を消してしまいました。

 一旦消えたライトウェイトスポーツカーに再び火を灯そうとしたのが、マツダです。もちろん、復活させたところで販売に繋がる保証はどこにもありませんでしたが、アメリカでプロトタイプをテスト走行させたところ、多くのユーザーから好意的な反応があり、ロードスターの発売にゴーサインが出たといわれています。

■初代は「ユーノス」ブランドから発売

 1989年にリリースされた初代ロードスター(NA型)は、日本では当時のマツダの販売チャネルのひとつであった「ユーノス」ブランドから販売され、「ユーノス・ロードスター」という名前で登場しました。

 日本の伝統がデザインに取り入れられ、リトラクタブルヘッドライトを採用したフロントマスクは能面をモチーフにしていました。

 搭載されるエンジンは、ファミリアにも搭載されていた1.6リッターの直列4気筒DOHCエンジンで、出力は120馬力と控えめでしたが、1トンを切る軽量ボディと4輪ダブルウィッシュボーン式のサスペンションと相まって、思い通りに操れるクルマに仕上がりました。

 当初は5速MTのみという硬派なラインナップでしたが、1990年3月には4速ATも追加され、より多くのユーザーがロードスターを楽しめるようになりました。

 1993年7月には大型マイナーチェンジを受け、エンジンが1.6リッターから1.8リッターに換装され、動力性能の向上が図られています。

 1998年1月には2代目(NB型)へとフルモデルチェンジします。すでにユーノス店が廃止されていたことから、2代目からはマツダ「ロードスター」として販売されました。

 基本のプラットフォームは初代からのキャリーオーバーですが、フロントマスクはリトラクタブルヘッドライトから固定ライトへと変更。これにより鼻先の軽量化を実現し、動力性能の向上につながっています。

 ラインナップは先代と同じ1.8リッターに加え、マイナーチェンジで廃止された1.6リッターモデルも復活し、併売される形となっています。1.8リッターには新たに6速MTが採用され(1.6リッターは5速MT)、よりスポーティな走りを楽しむことができるようになりました。

 2000年7月には大型改良がなされ、1.8リッターエンジンはエンジン形式こそそのままですが、可変バルブ機構であるS-VT機構を備えたものへと変更され、フィーリングと出力の大幅な向上を果たしています。

 2003年にはロードスター史上唯一のクローズドボディを持った「ロードスタークーペ」と、ターボエンジンを搭載した「ロードスターターボ」がリリースされました。ロードスタークーペは受注生産でおよそ200台弱が、ロードスターターボは限定350台が販売されています。

■3代目モデルのハードトップモデルも人気に

 2005年8月には3代目となるNC型へフルモデルチェンジを果たします。3代目はプラットフォームも一新し、搭載されるエンジンも2リッターへと排気量が拡大されました。

 ボディサイズも拡大されて3ナンバーとなったことで、ライトウェイトスポーツカーのイメージが薄くなったといわれることもありますが、実は同等グレードで比較すると20kgのみの重量増で収まっているのです。

 なお、この3代目ロードスターは、マツダ悲願の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞しました。

 2006年8月には、電動開閉式のリトラクタブルハードトップを備えた「RHT」が追加。従来の幌では防犯面で不安だったり、開閉にわずらわしさを感じていたユーザーにとっても選択肢が広がり、晩年ではソフトトップ車よりもRHTの方が販売台数が多かったといわれています。

 そして2015年5月には現行モデルとなる4代目ロードスター(ND型)が登場します。再びライトウェイトスポーツカーの原点に回帰し、ボディサイズを縮小。エンジンも歴代で最小となる1.5リッターエンジンとなりました。

 最軽量グレードでは再び1トンを切る軽量ボディを実現し、走る喜びを感受できるモデルとなっています。

 2016年11月にはリトラクタブルハードトップモデルである「RF」が追加設定されました。先代モデルのRHTとは異なり、ルーフ上部のみが開閉するタルガトップスタイルで、シルエットもファストバックタイプとなりました。

 そのキャラクターに合わせて、RFは排気量の大きな2リッターエンジンを搭載。軽量なソフトトップとは違った魅力を持ったロードスターの登場したのです。

 2019年2月のシカゴオートショーでは、ロードスター30周年記念モデルが世界初公開されました。全世界3000台限定で発売され、発表と同時に発売された北米では限定500台がすぐに完売してしまったのです。

 その後、日本ではソフトトップが110台、ハードトップのRFが40台の合計150台が商談予約の受付が開始されました。

 先に予約が開始されたソフトトップでは、110台に対して1900台を超える応募があったほど、早くも人気を得ています。

■初代・2代目は中古車価格も上昇傾向

 現行モデル以外は当然中古車となるわけですが、初代モデルは登場から30年が経過したれっきとしたクラシックモデル。

 2017年にはマツダがレストアプロジェクトを開始し、部品の供給の不安は解消されましたが、かなり趣味性の高いモデルといえるでしょう。値段もここ数年で大きく上がってきています。

 2代目モデルは乗りやすく、タマ数も豊富ですが、こちらも13年以上が経過している古いモデルであり、初代の影響でジワジワと価格が上がりつつあります。手ごろで良質なモデルを見つけるラストチャンスかもしれません。

 一方の3代目モデルは歴代ロードスターの中では比較的安価で見つけることができるモデル。性能的には2リッターの排気量の余裕もあり、ATも6速化されたことでATを狙う人にもオススメできます。

 対する現行モデルもデビューから3年以上が経過し、市場に中古車が多く出てくるタイミングとなりました。条件によっては150万円を切るものも見つかるようになってきましたが、程度とのバランスが難しいところでしょう。

※ ※ ※

 ロードスターの魅力は、人馬一体の気持ち良さはもちろん、中古車も含めて比較的手ごろな価格で購入できるというところにあります。

 また、致命的なトラブルの発生率も低く、スポーツ走行だけでなく日常的なドライブも楽しいという点が、長く愛されている理由といえるでしょう。

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