900万円の衝撃!! GT3でも物足りないツワものへ、ポルシェからの新提案

　911シリーズには、GT2やGT3といった上位グレードが用意されている。通常使いを意識したカレラとは異なり、サーキット走行をメインとした、いわばガチガチのスポーツグレードである。しかし、それでは物足りないというユーザーに向けて、さらに上の設定が用意されることに。そのキットの詳細、登場背景を紹介してみたい。

文：藤野太一　写真：ポルシェ

【画像ギャラリー】名前からしてそそる!! 魅惑すぎるマンタイキットの全貌がコレ（8枚）

■名門レーシングチームの名前がなぜ？

ポルシェマンタイパフォーマンスキットを装着した911GT3。キットの価格は車種によってことなり、約400～900万円となっている。

　2024年10月5日、ポルシェジャパンは、「ポルシェマンタイパフォーマンスキット」を発売した。

　これはGTモデルの性能を最適化し、サーキットでの走行性能を向上させるアップグレードキット。対象は、「718ケイマンGT4」、「718ケイマンGT4 RS」、「911 GT3」、「911 GT3 Touring」（911は992前期型）というGTモデルの4車種となっている。

　「マンタイ」と聞いて、ピンとくる人はかなりのモータースポーツ通だ。マンタイは1996年、ドイツ人レーシングドライバーのオラフ・マンタイによって創業されたレーシングチーム。

　ドイツのニュルブルクリンクを拠点にポルシェをベースとしたレースカーをつくりあげ、ニュルブルクリンク24時間レースで2006年から4連覇を達成。過去四半世紀にわたってニュルブルクリンクの耐久レースで通算54勝を挙げるなど地元ではつとに知られた存在だ。

　その活躍をうけ、2013年に本家のポルシェAG がマンタイレーシングの株式の過半数となる51％を取得。マンタイレーシングは正式な子会社となり、ポルシェのワークスチームとしてDTM(ドイツツーリングカー選手権)やWEC (FIA世界耐久選手権)でGT3マシンを走らせている。

　ちなみにWECの2024シーズンではLMGT3クラスでドライバーおよびチームの両タイトルを獲得した。

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■ライバルとの熾烈なタイム争いが参画のきっかけ

エアロダイナミックスのノウハウを注ぎ込んだ911GT3マンタイ。ポルシェマンタイパフォーマンスキットの詳細はこちらhttps://www.porsche.co.jp/service/accessories/manthey-racing-parts/

　しかし、そもそも超高性能ないわばメーカーチューンドモデルであるポルシェのGTモデルを、マンタイレーシングはどうしてモディファイする必要があったのか。

　このキットの日本発表に際して来日していたマンタイレーシングのブランド担当は、「イタリアの友人にニュルブルクリンク北コースでのタイムを破られたことがきっかけだった」と話していた。

　実はそのイタリアの友人とはランボルギーニのことだ。2017年当時、ニュルブルクリンク北コースにおいて公道走行可能な市販車としての最速タイムは、ポルシェ918スパイダーがもつ6分57秒という記録だった。

　その年、ランボルギーニはウラカン・ペルフォマンテで6分52秒01のラップタイムを記録し史上最速への名のりをあげた。ニュルはいわばポルシェのホームコースであり絶対に負けは許されない。ポルシェは911 GT2 RSで6分47秒3という新記録を打ち立てた。

　しかし、イタリアの友人、ランボルギーニも引き下がらない。2018年にはアヴェンタドールSVJが6分44秒97という記録を樹立。ニュルのラップタイムはものすごいペースで削り取られることになる。ここで満を持してニュルのスペシャリストである“マンタイレーシング” が登場する。

　先の911 GT2 RSをベースにモディファイを施した「911 GT2 RS MR」で6分40秒33という驚異的な記録を叩き出したのだ。

　晴れて、このマンタイレーシングのシャシーやエアロダイナミクスに関するノウハウが詰まったものが、「ポルシェマンタイパフォーマンスキット」として市販化されることになったというわけだ。

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■ノーマルに戻すことも可能な高性能キット

木更津市にあるポルシェのブランド体験施設、PEC東京で、マンタイパフォーマンスキットを装着した911 GT3のドライビングプログラム「マンタイパフォーマンスプログラム」の予約受付を10月8日（火）より開始。マンタイパフォーマンスキットによる走行性能の向上を2.1kmのクローズドコースで体感できる。https://porsche-experiencecenter-tokyo.jp/pages/47

　911GT3を例に見てみると、外観はフロントに大型のスポイラーリップとサイドフラップを装備し、フロントアクスルのダウンフォースを増加。

　リアのウィングは、よりワイドになりガーニーを採用。リアディフューザーはカーボンファイバー製でフィンの長さを延長。リアホイールには特徴的なカーボンファイバー製のエアロディスクを装備する。

　また軽量ホイールセットやレーシングブレーキパッド、牽引ループのトーフックなどを備えていた。

　今回の取材時にはポルシェ・エクスペリエンスセンター東京（以下PEC東京）で、プロドライバーがドライブする911GT3マンタイへの同乗が許可されたが、そのしなやかさに驚いた。

　圧倒的なダウンフォースと、まるでスリックタイヤであるかのようなグリップ感で、さすがニュルの覇者がつくるクルマは、ひと味もふた味も違うと感じた。

　マンタイパフォーマンスキットは、トレーニングを受けた対象のポルシェ正規販売店で受注可能。もちろん保証が適応され、ノーマルに戻すことも可能という。

　キットの価格はモデルによって異なり、車種ごとの販売価格（税込み）は
・718ケイマンGT4マンタイパフォーマンスキット：3,977,600円
・718ケイマンGT4 RSマンタイパフォーマンスキット：8,017,900円
・911（992前期型） GT3マンタイパフォーマンスキット：8,959,500円
・911（992前期型） GT3 Touringマンタイパフォーマンスキット：5,143,600円

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投稿 900万円の衝撃!!　GT3でも物足りないツワものへ、ポルシェからの新提案 は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。

Comments

[NAS********]

GT3で満足しないあなたは変態です。

[motorider]

不覚にも900万円に釣られてしまった。買えたとしても日常で使えない。盗難を防ぐ為にガレージがいるし維持するだけでも大変。それなりの収入にガレージ付きの家等の環境がある方だけのクルマです。