ツインリンクもてぎ内のホンダコレクションホールにて2021年5月31日まで開催中の企画展「CIVIC WORLD 受け継がれるHondaのDNA」。これと合わせるように行われた、初代と現行モデルのプレス向け試乗会。約半世紀前に登場した初代シビックCVCCの貴重な動態保存車のイグニッションキーをひねり、ノスタルジーを感じた後に、現行型最終形態「タイプR リミテッドエディション」のスタートボタンを押し、エンジンに火を入れると……。
2020年10月発表のマイナーチェンジで登場したのが、国内は200台限定のリミテッドエディション。タイプRの起源に立ち返って軽さと速さを研ぎ澄ましたという、現時点におけるシビックの最終・最強兵器である。専用ボディ色のサンライトイエローIIは、「ミラクル」で登場した初代をイメージしたものだ。
筆者はリミテッドエディションも初めての試乗になる。南コースを慣熟走行のあと1クール走ってみると、サーキット性能を重視したミシュラン パイロットスポーツ カップ2と、そのハイグリップに合わせたアダプティブ・ダンパー・システムとパワーステアリングの専用セッティングによって、シャシーはいっそうスパルタンな仕上がりだ。
ただ、タイプRの標準車(これも予定販売台数が終了)には公道とJARI(日本自動車研究所)のフルテストで乗っているものの、試乗コースがまるで異なるため両車の印象と照らし合わせるのが難しい。そこで、慣熟の先導車を務めたタイプRの標準車にもあらためて乗ってみると、これがハンパなく違うのだ。
サスペンションは減衰力が格段に引き上げられ、標準車は一番ハードな+Rモードでもスポーツ(デフォルト)やコンフォートモードに感じられるほど。パワーステアリングも操舵力がダイレクトな手応えを増し、標準車はスポーツやコンフォートが軽くて頼りなく思えてしまう。
カップ2のグリップは強力のひと言で、限界も明らかに向上。それでさえ、ボディのロールはノーマルより抑え込まれている。旋回姿勢は路面に張りつくように安定し、コーナリングスピードは目を見張る高さだ。横Gも強烈。試乗時間は2クール合わせて30分ほどだが、これ以上長かったら筆者の体が音を上げたかもしれない。遮音材の削減によって、耳に届く2L VTECターボのサウンドも標準車よりクリア。
これが鈴鹿でFF最速の座をルノー メガーヌR.S.トロフィーRから奪還した、今日における史上最強FFスポーツのすごさなのだ。
初代のノスタルジーと最新タイプRの超コンテンポラリーという、両極のシビックワールドをいっぺんに味わえた今回の取材会。冒頭に述べた“言わずもがな”とは、むろん次のステップに向かうプロローグである。
北米では11代目となる次期型のセダンがプロトタイプとして公開済みで、間もなく発売予定。ハッチバックやタイプRのラインアップもアナウンスされている。
初代の誕生から、2022年7月でちょうど50年。まさしく国内で次期型に刷新する、願ってもないタイミングではないか! 少なくとも国内導入が現行ほど遅くなることはないだろう。
まだ見ぬハッチバック、そしてタイプRはどんな姿で登場するのか。現行型は残るハッチバックも一部カラーが選べなくなっており、モデル末期の状態。シビックへの関心は早くも11代目に集まろうとしている。
〈文=戸田治宏 写真=岡 拓〉
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みんなのコメント
比較は無意味でしょう。
しかし、「史上最強FFスポーツのすごさなのだ」とかw
バカボンのパパなのだ。
車好きって馬鹿なのかな?と誤解されるのでやめて欲しい。