これぞコンフォートのあるべき姿!
教習車としての専用装備が眩しすぎる!!
「コンフォート教習車を本気でインプレしてみた」助手席ブレーキを踏みたくなる衝動との戦い!?【ManiaxCars】
タクシーや教習車として使われることを念頭に開発され、1995年12月に発売された初代XS10系コンフォート。「教習所で乗ったよ」という人もきっと多いだろう。
コンフォート教習車の何が凄いかというと、カタログの冒頭にも書かれているが、「初めてステアリングを握る教習生が親しみやすく、学びやすいクルマであること」「教官の皆様が教えやすく、長時間におよぶ教習でも疲れを感じにくいこと」などを徹底的に追求した設計思想だ。細部を見ていく。
エンジンは吸気側カムシャフトだけをタイミングベルトで駆動し、排気側カムシャフトは吸気側と噛み合うシザースギヤで駆動されるハイメカツインカムを採用した3S-FE型。カムシャフト同士の距離を近づけられることで、幅が狭いコンパクトなシリンダーヘッドが特徴となる。これを搭載するのが中期型だ。
当初、コンフォート教習車に搭載されたエンジンは1.8Lガソリン4S-FE型と2.4Lディーゼルターボ2L-TE型の2種類(タクシー仕様には2.0L・LPGの3Y-PE型もあり)だったが、2001年8月のマイナーチェンジで2L-TE型が廃止され、ガソリンエンジンも2.0Lの3S-FE型に変更。いずれもミッションは5速MTと4速ATが用意された。
さらに2007年10月の一部改良で3S-FE型に代わり、同じ2.0Lの1TR-FE型を搭載することに。スペックは3S-FE型に対して3ps/0.1kgmアップとなる133ps/18.6kgmを発揮した。
2009年から2011年まで生産を見合わせてた時期がありながら、結果的には約23年間も生産され続けたコンフォート教習車。途中、衝突安全ボディGOAの採用(2000年1月)やABS&前席エアバッグの標準装備化(2002年10月)、ホイール&タイヤの15インチ化(2008年8月)、VSC&TRCの標準装備化(2013年10月)など、たびたび改良が加えられたのだ。
室内の基本デザインはベースのコンフォートと同じだが装備は異なる。教習車はオーディオなどがレス仕様(メーカーオプションでAM電子チューナー付ラジオ+2スピーカーを用意)だ。ステアリングホイールは標準が3本スポーク、メーカーオプションのデュアルエアバッグを選ぶと4本スポークタイプとなる。
視認性に優れるメーターはスピード&タコメーターを中心に、右側に水温計、左側に燃料計を配置。また、中期型からオド&トリップメーターが液晶デジタル式になった。
向きが逆になってしまっているが、カタログによると上が教官用、下が教習生用ルームミラー。ワンタッチでミラー角度を変え、後続車ヘッドライトの眩しさを緩和する防眩レバーを装備している。
エアコン操作パネル左側に装備された、メーカーオプション設定の教官用デジタル補助スピードメーター。光学フィルターによって、運転席からは表示を確認できないというギミックが採用されている。
もっとも教習車らしい装備といえばコレ、助手席に設けられた教官用補助ブレーキペダルだろう。左右フットレストが違和感ありまくりだ。
シート表皮は両サイドをビニール、センターをファブリックとしたものが標準で、フルファブリックはオプション設定。シートリフターとランバーサポートは運転席だけでなく助手席にも装備される。
後席の背もたれはヘッドレスト一体型。居住性にも優れ、セダンとして超マジメに設計されていることが実感できる。
ドアミラーの上にビス留め装着された教官用アウターミラー。これはディーラーオプション品だ。ちなみに、教習車のボディ色はいさぎよくスーパーホワイトII(カラートリム040)のみの設定となっている。
その他、4.9mに抑えられた最小回転半径やボディ形状などなど、それこそ数え上げたらキリがなかったりする。なお、同じタイミングでクラウンコンフォートも登場したが、こちらは中型タクシー専用車という位置付けで、コンフォートよりも全長とホイールベースが105mm長い設計とされていた。
そしてお待ちかねの試乗タイム。ハイメカツインカムの3S-FE型は、低中速トルクが十分で2000~3000rpm辺りでも乗りやすい。そこからアクセルペダルを踏み込むと、パワーを高めながら6000rpmオーバーまで気持ちよく吹け上がってくれる。意外なほど回るエンジンだ。
一方の足回りは、ソフトで加速時のスクォートや減速時のノーズダイブ、コーナリング時のロールは大きい。ただし、前ストラット、後リジッドというオーソドックスなサスペンション形式だからか、挙動そのものは非常にナチュラル。ドライバーの操作がクルマの動きとしてハッキリ現れるから、ドライビングの練習に打ってつけな1台だと思う。
それより、助手席に乗ってると足元のブレーキペダルが気になって仕方がない。人間、そこにペダルがあれば踏んでみたくなるわけで、踏まないように我慢するのが大変だった。コンフォート教習車は、助手席にいても自制心を求められる稀有な存在なのである。
■SPECIFICATIONS
車両型式:SXS13Y
全長×全幅×全高:4590×1695×1510mm
ホイールベース:2680mm
トレッド(F/R):1455/1400mm
車両重量:1290kg
エンジン型式:3S-FE
エンジン形式:直4DOHC
ボア×ストローク:φ86.0×86.0mm
排気量:1998cc 圧縮比:9.5:1
最高出力:130ps/5600rpm
最大トルク:18.5kgm/4400rpm
トランスミッション:5速MT
サスペンション形式(F/R):ストラット/4リンク式1リジッド
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ドラム
タイヤサイズ:FR175/80R14
●TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)
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みんなのコメント
現行教習車と違って小さすぎず四隅が見やすい車体形状、余計な加飾のない室内、FRかつ古典的なメカニズムなど、
コンフォートは若者にとっては一見地味でタクシーみたいでダサく感じても、車の運転や動きの基本を学べる、近年の車としては本当に教習車に向いていたといまでも思っている。