■巨匠ジウジアーロが手がけた国産名車
日本においてクーペは数を減らしていて、レクサス「LC」「RC」、日産「GT-R」に代表される高級路線か、「86/BRZ」のようなスポーティ路線に2極化しています。
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一方、海外ではクーペの需要は日本よりも高いですが、BMW「8シリーズ」の復活など傾向としてはやはり高級路線にシフトしており、クーペは数を減らしているというのが現状です。
現在のクーペは、みな流麗なボディのスポーティなモデルやエレガントなモデルというのが定番で、実用性についてはあまり考慮されていませんが、そこがクーペの大きな魅力でもあります。
昔のクーペはセダンに近いフォルムで、実用性を持たせたものもありましたが、やはり美しいデザインのものも多数ありました。
そこで、ひと昔前に販売されていた国内外のクーペから、美しいと定評があったモデル5車種をピックアップして紹介します。
●いすゞ「117クーペ」
もはや説明する必要がないほどの伝説級なクルマ、いすゞ「117クーペ」は1968年から1981年まで販売されていた高級パーソナルクーペです。
その美しいボディスタイルはイタリアの自動車デザインスタジオである「カロッツェリア・ギア」によるもので、チーフデザイナーは多くのスーパーカーを手掛けたジョルジェット・ジウジアーロです。
「117クーペ」は前後のデザインの違いから大きく3世代に分けられますが、初期のモデルでは生産工程の多くを手作業で行なっていたため後に「ハンドメイド」と呼ばれ、当然希少価値も高いです。
いすゞが乗用車生産を終えたいまも「117クーペ」のスタイルに魅了された方は多く、旧車イベントなどで非常に状態のよい「117クーペ」を見ることができます。
●スバル「アルシオーネSVX」
スバル「アルシオーネ」は1985年に発売されたスタイリッシュなクーペです。シャープなクサビ型のフォルムや、特徴ある内装のデザインは未来的で、それまでのスバルデザインとは一線を画したものとなっていました。
そしてバブル経済終焉直前の1991年に、2代目となる「アルシオーネSVX」が登場します。デザインは先代から一転して曲線を多用した流麗なフォルムになりました。
オリジナルのデザインコンセプトは「117クーペ」と同じくジョルジェット・ジウジアーロによるもので、それを元にスバルのデザイナーによって完成されています。
特徴的な「ミッドフレームサイドウインドゥ」は他に類を見ないデザインで、「アルシオーネSVX」の美しさを表現する重要なアイテムです。
発売直後のバブル崩壊というタイミングの悪さもあり、販売は低迷。それでも6年間販売されて、いまもファンが存在します。
驚くことに「アルシオーネSVX」の専門店までありますから。
■世界一美しいクーペと評されたBMW「6シリーズ」
●BMW「E24型 6シリーズ」
美しいクーペといえばBMW「E24型 6シリーズ」を取り上げないわけにはいけません。
初代「6シリーズ」は1977年にBMWのフラッグシップクーペとして誕生しました。デザインはフランス人のポール・ブラックによるものです。
直列6気筒エンジンを収めるフロントノーズの長さと、キャビンの大きさと高さ、トランクの長さが、まるで黄金比のように絶妙で、他社を含め後のクーペデザインに多大な影響を与えました。
実際に「世界一美しいクーペ」と評されたほどです。
初代「6シリーズ」は美しいだけでなく、ハイパフォーマンスなクルマでもありました。
BMWモータースポーツ社によってチューニングされた「M6」や、アルピナによるコンプリートカー「B7ターボ」「B9 3.5」などがあり、モータースポーツでも活躍するなど「美しく速い」クルマを具現化していました。
●ボルボ「780」
1980年代のボルボというと、安全性を重視し、角ばったデザインで無骨なイメージのクルマでした。しかし、1985年のジュネーブ国際モーターショーに、ボルボから出展された1台の新型車が注目を浴びることになります。
それがセダンの「760」をベースに作られたクーペバージョン「780」でした。
「780」は、それまでもボルボと交流があったイタリアのデザイン会社「ベルトーネ」による設計で、エレガントなデザインとボルボらしさを兼ね備えていました。
ベルトーネというとランチア「ストラトス」や、ランボルギーニ「ミウラ」など、数々のスーパーカーをデザインしており、ボルボとは対岸にあるイメージでしたが、見事に美しいクーペに仕立てられています。
決して流麗なイメージではありませんが、全体のバランスが秀逸で美しいと評価されています。
なお、バルブ経済まっただなかに販売されていたモデルなので、日本にも正規輸入され、いまも中古車が流通しています。
●プジョー「406クーペ」
プジョー「406」というと、映画「TAXi」に登場したセダンが有名ですが、クーペも存在し、これが美しかったと高く評価されています。
1997年に発売された「406クーペ」は、セダンをベースとしていますが外観は完全に別モノになっています。
デザインはフェラーリを手がけていたカロッツェリア・ピニンファリーナが担当し、製造も同社で行なっていました。
特徴的なフロントマスクはセダンと共通なイメージを残しつつも、低くスピード感ある印象に。
また、ボンネットからトランクまで続く、流れるようなサイドラインが「406クーペ」の美しさをかもしています。
日本では1998年から2005年まで販売されていたので、いまも中古車店で販売されています。
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