「身内」との共食い顕著に
ランドローバーは、不振にあえぐ「ディスカバリー」のフルモデルチェンジを間近に控えている。第6世代となる新型では、販売を “共食い” しているディフェンダーとの差別化を図る。
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現行のディスカバリーは2017年から販売されており、ランドローバーで最も古いモデルとなっている。また、最も販売台数が少ないモデルでもあり、昨年の世界販売台数はディスカバリー・スポーツの約半分の1万6750台にとどまっている。
ディスカバリーはJLR(旧:ジャガー・ランドローバー)の総販売台数のわずか4%しか占めていないが、第6世代の投入は確実で、「ファミリー・アドベンチャー」という価値観を中心にディスカバリーのポジショニングをより明確に定義する。
ディスカバリーとディフェンダーのブランド責任者であるマーク・キャメロン氏はAUTOCARの取材に対し、ディスカバリーをディフェンダーから引き離す必要があると語った。
ディフェンダーはエンジン、グレード、ボディタイプが幅広く用意され、快適性や室内空間の広さでディスカバリーと拮抗している。ディフェンダーの2023年の販売台数は11万367台で、ディスカバリーの6倍以上である。
「製品という観点から見ると、ディフェンダーはディスカバリーの上位に位置し、そのビジネスの多くを侵食している」とキャメロン氏は言う。
ハイブリッドとEVを設定か
第6世代では、新しい領域に移すことで差別化を図ろうとしている。おそらくMPV(ミニバン)の設計思想を部分的に採用するだろうと考えられる。例えば、フォルクスワーゲンのID.Buzzが参考モデルになる可能性がある。
設計を白紙に戻すことで、初代レンジローバー・イヴォークがレンジローバーやレンジローバー・スポーツから生まれたように、現在のモデルとは根本的に異なるものが生まれる可能性さえある。
ディスカバリーは、レンジローバー、ディフェンダー、ジャガーと並ぶJLRの4本の独立ブランドの1つである。キャメロン氏によると、独立したブランドになることでディスカバリーは息を吹き返すことになるという。4ブランドは現在、販売拠点を共有し、意図せず競合しているからだ。
「ディスカバリーの象徴を再創造するためには、本当にユニークな領域に収まるようにしなければなりません」とキャメロン氏。
第6世代の新型ディスカバリーは、現在のフラッグシップモデルであるレンジローバーと同じMLAプラットフォームをベースにする可能性が高い。MLAは内燃機関とEVの両方に対応できる汎用性の高い構造だ。
JLRは2026年までにランドローバーを電動化する計画を明らかにしており、新型ディスカバリーもその1つになると見られている。
しかし、同社は最近、変動するEV需要を考慮し、汎用性の高い車両プラットフォームへの投資を150億ポンド(約2兆8500億円)から180億ポンド(約3兆4000億円)に増額し、過渡的技術としてのPHEVの重要性を倍増させている。このため、ディスカバリーには引き続き内燃機関が搭載される可能性がある。
MLAプラットフォームの汎用性から、レンジローバーのように、ハイブリッド版とEV版の選択肢が用意されるかもしれない。
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