現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > スズキ「ジムニー」のコンペティターはフィアット「パンダ クロス 4×4」!? 試乗して分かった現実とは? 買うなら「エブリイワゴン」も候補に【AMWリレーインプレ】

ここから本文です

スズキ「ジムニー」のコンペティターはフィアット「パンダ クロス 4×4」!? 試乗して分かった現実とは? 買うなら「エブリイワゴン」も候補に【AMWリレーインプレ】

掲載 5
スズキ「ジムニー」のコンペティターはフィアット「パンダ クロス 4×4」!? 試乗して分かった現実とは? 買うなら「エブリイワゴン」も候補に【AMWリレーインプレ】

いつかはジムニー! 実現できるか!?

AMW編集部員がリレー形式で1台のクルマを試乗する「AMWリレーインプレ」の最後を務めるのは、編集長西山。評価基準はスーパーカー&ラグジュアリーカーのオーナー目線ですが、今回のスズキ「ジムニー」は、いつも以上に熱心に長距離で試したりした模様です。

スズキ「ジムニー」は人生を豊かにする相棒! 本気で趣味を楽しむ人におすすめの1台でした

本当はハスラーでなくジムニーが欲しかった

今回のリレーインプレは、いつもと少しスタンスが違うことを最初に断っておこう。スーパーカーやラグジュアリーカーのセカンドカーとしてだけでなく、あくまでも私的に購入対象車としてジムニーを分析してみたいと思う。

10年ほど前、先代ジムニーの末期モデルを家人用として購入する気満々だったことがある。私のたまの山行に使うにはちょうどよかったということと、マルチパーパスではなく目的に特化していることに強く共感していたからだ。しかし、家人用としてだから、ふだんは私が運転することはない。つまり、私の意見など通ろうはずもない。

家人の要望は、「小さいクルマ」「4ドア」できれば「リアドアはスライドドア」というもの。自宅から半径10km内での使用がほとんどだから、軽自動車でいいということになる。いまならBEV(日産サクラ)も候補に上がったかもしれない。

4ドアという条件であえなく却下された先代ジムニーの代わりに提案したのは、「エブリイワゴン」。しかし、こちらは商用車っぽいということで即却下。本人的にはダイハツ「タント」を強く希望していたようだった……。そんな紆余曲折を経てたどり着いたのが、初代「ハスラー」だったのである。とにかく、スズキのディーラーに通うことが大切で、わたくし的にはいずれジムニーへというのが、青写真だったのだ。

それがいつの間にかジムニーだけでなくハスラーもモデルチェンジしてしまい、ジムニーに至っては1年以上の納車待ちらしい……というわけで、ジムニーが遠い存在となってしまって久しい。とはいえ、ジムニー購入を諦めたわけではなく、いつでもチャンスあればハスラーから乗り換えようと狙っていたのである。目下の悩みはMTにするかATにするか……であった。

その悩ましい選択に答えが出せるかもしれないチャンスが巡ってきた。社用車として、MTのジムニーが導入されたのである。これはもう、たっぷり乗ってジャッジするしかない。

まず向かったのは、信州のキャンプ場(もちろん取材)。リアシートを倒してソロテント2張を含むキャンプ用品(主にBBQ用品)と撮影機材を積むと、ほぼ満載状態。分かってはいたことだけれども、こうなると5枚ドアのジムニーシエラが日本でも販売されるのを待ってみたい気もする。いきなり、選択肢が増えてしまう結果となった。

さて、まずは高速道路でのインプレッションから。事前に非力だからATよりMTでないとストレスが溜まるということを聞いていた。ATだと高速道路では満足できない、と。

性能に合わせて走れば、エブリイだって楽しい

話はそれるが、フェラーリ遣いと言われた太田哲也さんがエブリイを所有しているということで、話が盛り上がったことがある。もとプロレーシングドライバーの太田さんが、非力な軽自動車、しかもレースサポートカーとして工具満載のエブリイの走りに満足できるのだろか? それができるのである。

「軽自動車の性能に合わせて走れば、楽しめるよね。80キロで走ってればそれはそれなりに面白いよ」

とのこと。グループCカーのようなモンスター、オープンホイール、箱のGTカー……と、いろんなレーシングカーの特性に合わせてサーキットを走っていた太田さんにとっては、エブリイもまた同じなのである。

話をジムニー戻して──「ジムニー、高速はかったるいよー」と、ご忠告してくれた方々が、何と比べているのかは定かではないけれど、高速巡航に焦点を当てて開発されたクルマではないことは間違いない。しかもたったの64psである。ジムニーの性能に見合った走りを心がければ、高速で遅いと苛立つこともないだろう。果たして、100km/h以下で走るジムニーはどうだったか。2250mmというホイールベースから想像できるように、直進安定性はイタリアの小粋なスモールカー、フィアット500ツインエア(ホイールベース:2300mm)をドライブしていると考えたらいい。

そこでツインエアで思い出したけれど、スーパーカーオーナーならずとも、イタリア車趣味の人にとってのジムニーのコンペティターは、フィアット「パンダ クロス 4×4」であると常々思っていた。イタリアで「エスクード」や「シグナス」などのスズキ車を見かけたことがあるが、これがなんともイタリアの歴史ある街の風景に溶け込んでいたのである。スズキとイタリアの組み合わせ、実は悪くないと思っていたのだ。

ただし、ツインエア独特のエンジンの脈動は、トコトコしていて遅いなりにも心地よかったりする(とはいえ、85psもある!)。ジムニーにはそうしたエンジンの味がないので、V8やV10、V12といったエンジンでも名機のフィーリングに慣れ親しんだ人には物足りないだろう。

ヒルクライムでは楽しめるのか?

小諸ICを降りてチェリーパークラインに入ると印象は異なってくる。浅間ヒルクライムのステージになったヒルクライムのコースである。

ジムニーは、2WDと4WDを切り替えることができるパートタイム4WDである。通常はフロントエンジン/リアドライブのFR車として使うことができる。よほどの悪路か冬季の雪道の場合には4H(4WD高速)が活躍するのであろうが、通常は2H(2WD)というわけである。

さて、小排気量車でのヒルクライムは、ストレス発散にちょうどよい。アクセルペダルを踏み切って、エンジンをレッドゾーンまで回しながらコーナーを攻める快感は、スーパーカーでは味わえない。しかも、非力ゆえに実際はそれほどスピードが出てもいなかったりする。この点、パンダ クロスも楽しい。しかし、やはり後輪駆動の方がステアフィールが心地よいのはいうまでもない。エンジンフィールでのビハインドを、ヒルクライムで挽回! と言いたいところだけれども、実はひとつ致命的な欠陥──あくまでもワインディングを楽しんで走るという、ジムニーに求めるのは筋違いの部分であるが──を見つけてしまった。 それは左足のフットレストのスペースがほぼないに等しいということである。Gがかかった時に、踏ん張ることができないのである。

その点パンダ クロスは、ボディをロールさせながらのコーナーでもしっかりと左足で身体を支えることができる。そういえば、スペインのワインディングロードで、猛烈な勢いで追いついてきて抜き去っていったルノー「エスパス」を思い出した。私がドライブしていたのはアストンマーティン「ヴィラージュ」。ロケ地を探しながら走っていたとはいえ、それなりの速度である。エスパスのドライバーにしてみたら毎日走り慣れている道を、いつものペースで走っていただけであろう。こうした時、むやみに速度を上げたりはせず、追いついた後続車に抜かせるがままにしている。追いついたクルマは先行車をパスするのが常識なのである。抜かれたからといって腹を立てて煽ってくるドライバーもいない。むしろ、追いつかれたのにモタモタ走っていると、どこでパスしてやろうかとピッタリ背後に張り付かれてしまう。日本なら煽り運転認定間違いなしの車間で、である。

ヨーロッパ──それもイタリアやスペインを走っていて感じるのは、ドライバーたちは自分の速度で走ることを大切にしている──というより固執しているのではないかということだ。だから、パンダ クロスはダートや悪路を走らせるより、舗装されたワインディングを思い切り走らせるほうに重点を置いてセッティングされているように思う。逆にジムニーは、ワインディングよりもダートを走った方が楽しいに違いない。履く靴も踵にアールがついた細身のドライビングシューズではなく、ゴツいトレッキングシューズや作業ブーツのような幅広で厚手のソールだとちょうどよいペダル配置である。スポーツカーのようにワインディングを楽しむものでは、そもそもないのである。

というわけで、あり余るパワーのほんの少ししか使うことができずにフラストレーションの溜まっているスーパーカーオーナーには、パンダ クロスをオススメする。ツインエアのフィーリングもきっと楽しんでもらえるはずだ。

購入前提での妄想は楽しい

しかし、今回の試乗はわが家のご近所買い物用兼たまの山行に使うクルマ選びとう側面も持っている。具体的にはハスラーからの乗り換えということ。ということは、維持費がかからない軽自動車一択。パンダ クロスと比べるのではなく、MTかATかをジャッジするための試乗であることをすっかり忘れていた。

帰路の関越自動車道の渋滞にハマって考えたのは、下山してから帰宅には、やっぱりATがいいよなぁ、ということ。いくらクラッチペダルが軽いとはいえ、登山で疲れた脚では、渋滞が辛いのはこれまでに経験済み。そもそも家人の免許はAT限定だし。って、最適解は最初から出ていたんじゃないか、というツッコミはなしで。クルマ好きなら購入する前の妄想期間がどれくらい至福のひとときか、改めて説明するまでもないでしょう。

そしていま、妄想しているのは、太田さんとの会話でも登場したエブリイワゴン。ジムニーと同じ64馬力、パートタイム4WD、しかも通常の2WDは後輪駆動。家人が求めるリアドアがスライドでもある。エブリイワゴンだと単独登山の際、車中泊にも使えそう。あとはCVTのフィーリングがどうであるか、ちょっと試してみたい気もする。目下の悩みは標準ルーフにするかハイルーフにするかである。

こんな記事も読まれています

冷静に考えて「ジムニー」が日本にあることを日本人はもっと誇っていいのではないか
冷静に考えて「ジムニー」が日本にあることを日本人はもっと誇っていいのではないか
ベストカーWeb
スズキのゴツすぎ「超本格SUV」がカッコいい!「ジムニー」譲りの“悪路走破性”でアウトドアでも大活躍! 斬新モデル「X-HEAD」に期待大
スズキのゴツすぎ「超本格SUV」がカッコいい!「ジムニー」譲りの“悪路走破性”でアウトドアでも大活躍! 斬新モデル「X-HEAD」に期待大
くるまのニュース
スズキの本格SUV「ジムニー」なぜ“軽”より“小型車”が人気急上昇? 「ジムニーシエラ」選ぶ人が激増したワケとは?
スズキの本格SUV「ジムニー」なぜ“軽”より“小型車”が人気急上昇? 「ジムニーシエラ」選ぶ人が激増したワケとは?
くるまのニュース
「アバルト595」の走りが繊細かつキレッキレに!「KW」の2WAY車高調でスポーツ走行の楽しさが大幅アップです【デモカー試乗】
「アバルト595」の走りが繊細かつキレッキレに!「KW」の2WAY車高調でスポーツ走行の楽しさが大幅アップです【デモカー試乗】
Auto Messe Web
商用バン&ワゴン宿命の対決 ぶっちゃけハイエースと日産NV350キャラバンどっちがいいの?
商用バン&ワゴン宿命の対決 ぶっちゃけハイエースと日産NV350キャラバンどっちがいいの?
ベストカーWeb
スーパーハイト軽って「装備」「使い勝手」が注目されるけど……じつは走りにも大きな違いがある! ライバル5台を徹底比較!!
スーパーハイト軽って「装備」「使い勝手」が注目されるけど……じつは走りにも大きな違いがある! ライバル5台を徹底比較!!
WEB CARTOP
街中で乗っても面白い!──新型トヨタ・ランドクルーザー70試乗記
街中で乗っても面白い!──新型トヨタ・ランドクルーザー70試乗記
GQ JAPAN
なつかしい昭和のスズキ「サンバー」を美しくレストア! 板金屋から引き継いで、ホワイトリボンタイヤで見事にオシャレな1台に仕上げました
なつかしい昭和のスズキ「サンバー」を美しくレストア! 板金屋から引き継いで、ホワイトリボンタイヤで見事にオシャレな1台に仕上げました
Auto Messe Web
スズキが新型「ハスラー」発表! レトロに変わった「めちゃゴツ顔」採用に反響多数!“カッコいい”と評価された「ワイルド仕様」とは
スズキが新型「ハスラー」発表! レトロに変わった「めちゃゴツ顔」採用に反響多数!“カッコいい”と評価された「ワイルド仕様」とは
くるまのニュース
スズキが軽SUV「ハスラー」の「クーペ仕様」を提案! 悪路も走れる「スポーツカー」に変身! 斬新モデル「ハスラークーペ」登場に期待大
スズキが軽SUV「ハスラー」の「クーペ仕様」を提案! 悪路も走れる「スポーツカー」に変身! 斬新モデル「ハスラークーペ」登場に期待大
くるまのニュース
72歳、中古のダイハツ「エッセ」でサーキットデビュー!? いいえ、半世紀前から富士や筑波でレースを楽しんでいたベテランでした
72歳、中古のダイハツ「エッセ」でサーキットデビュー!? いいえ、半世紀前から富士や筑波でレースを楽しんでいたベテランでした
Auto Messe Web
スバル「新型レイバック」がスゴい! 新たな“都会派SUV”はタフ×上質デザインなのに割安!? 新SUVの魅力とは
スバル「新型レイバック」がスゴい! 新たな“都会派SUV”はタフ×上質デザインなのに割安!? 新SUVの魅力とは
くるまのニュース
パレットから改名してブレーク!! タント、N-BOXに迫る「よさ」は?? 初代スペーシア試乗プレイバック
パレットから改名してブレーク!! タント、N-BOXに迫る「よさ」は?? 初代スペーシア試乗プレイバック
ベストカーWeb
[初代レガシィ]ならツーリングワゴンよりセダンだ! 実はこっちのほうが本命!? [WRX S4]のご先祖モデルに最敬礼!!
[初代レガシィ]ならツーリングワゴンよりセダンだ! 実はこっちのほうが本命!? [WRX S4]のご先祖モデルに最敬礼!!
ベストカーWeb
EV小型トラック用タイヤにスポーツカー向け以上のこだわりが…エコ性能が高まれば、送料だって安くなる!?【Key’s note】
EV小型トラック用タイヤにスポーツカー向け以上のこだわりが…エコ性能が高まれば、送料だって安くなる!?【Key’s note】
Auto Messe Web
電気自動車を買って試す本音レポート リアルEVライフ[モータージャーナリストに聞く]の巻
電気自動車を買って試す本音レポート リアルEVライフ[モータージャーナリストに聞く]の巻
グーネット
昭和生まれの「バモスホンダ」を当時ナンバーで引き継ぐ奇跡。生粋のバイク好きが選んだ趣味グルマは家族も大満足でした
昭和生まれの「バモスホンダ」を当時ナンバーで引き継ぐ奇跡。生粋のバイク好きが選んだ趣味グルマは家族も大満足でした
Auto Messe Web
ジムニー乗り必見! アルパインが提案するハイレベルなオーディオシステム登場
ジムニー乗り必見! アルパインが提案するハイレベルなオーディオシステム登場
レスポンス

みんなのコメント

5件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

165.4200.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1.0420.0万円

中古車を検索
ジムニーの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

165.4200.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1.0420.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村