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ヴァルター・ロール、歴代ポルシェ911 ターボを語る。最高の911 ターボはどのモデルか?

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ヴァルター・ロール、歴代ポルシェ911 ターボを語る。最高の911 ターボはどのモデルか?

41年前にロールが初めて手に入れた911 ターボ

ラリー界のレジェンドであり、長らくポルシェのテストドライバーとして活躍してきたヴァルター・ロール以上に911ターボを理解している人物はいないだろう。彼が初めて自身のために911ターボを手に入れたのは41年前であり、ポルシェから与えられた初の“カンパニーカー”もまた、911ターボだった。

ヴァルター・ロール、歴代ポルシェ911 ターボを語る。最高の911 ターボはどのモデルか?

今回、ホッケンハイムリンクのポルシェ・エクスペリエンス・センターへ7世代にわたる911ターボを集め、ロールに各世代の911ターボについてインプレッションを訊いた。

Porsche 930 Turbo

ポルシェ930ターボ

「すべての911ターボの祖先と言えるのが、この930ターボです。911のGシリーズに加わった930ターボは自動車における技術的な革命を起こしました。最高出力260psと4速マニュアルギヤボックスを搭載した最初の仕様は、特にパワーに関してピーキーでしたが、スキルを持ったドライバーにとっては非常に挑戦し甲斐のある存在だったのです」

「930のスタイリングは、夢のようなカッコよさを持っていました。この大型リヤスポイラーはもちろん、拡大されたリヤフェンダーとフックス・ホイールの組み合わせは最高ですよね。私は1979年、発売から4年後に930ターボを購入しました。まさに夢がかなったのです」

Porsche 911 Turbo(964)

ポルシェ911ターボ(964)

「911 Gシリーズの後継モデルとして登場したタイプ964でしたが、タイプ964のターボモデルは930ターボから流用した3.3リッターターボを搭載し1991年に登場しました。特徴的なヘッドライト、そして迫力のワイドフェンダー、パワフルなリヤウイングは、今でも十分魅力的です」

「964ターボはベースとなったタイプ964の911と同様に、ABSやパワーステアリングなどが装備され、走行安全性が大幅に向上しています。ただ、デビュー当時に搭載されていたエンジンはやや時代遅れだったことも確かです。パワーに関してはダイナミックな進化ではなかった。それこそ、964ターボの前期型があまり人気のない理由です」

「しかし、1993年に3.6リッターエンジンが導入されたことで、964ターボは完全に生まれ変わりました。新設計された3.6リッターボクサー6ターボは最高出力が360psにまでパワーアップしています。この後期型に関しては今でも夢のクルマであり続けています」

Porsche 911 Turbo(993)

ポルシェ911ターボ(993)

「タイプ993のターボは4輪駆動という大きな一歩を踏み出したモデルです。開発段階において私は『4輪駆動の採用を見送るのは、その場しのぎの解決策だ』と進言しました。993ターボの4WD化において重要な役割を果たしたと自負しています。開発初期段階で『4輪駆動なしで408psのクルマを完成させるのは不可能』と、はっきり分かっていたのです」

「多くのテストを経て、ポルシェはビスカスカップリング式4WDの採用を決めました。リヤに採用された新開発のマルチリンク式サスペンション、調和の取れたパワー感を持つツインターボの組み合わせによって、993ターボは特にドライビングダイナミクスという点で当時のライバルの追随を許さない素晴らしい走りを実現しています」

Porsche 911 Turbo(996)

ポルシェ911ターボ(996)

「タイプ996も、水冷化という歴史におけるマイルストーンを築いたモデルですね。それ以外にも様々な技術的トピックが多いのも特徴となります。例えばモータースポーツに導入されていた『ポルシェ・カーボン・セラミック・ブレーキ(PCCB)』が標準装備されるようになりましたね」

「996ターボはデビュー時点で歴代ターボモデルの頂点に位置する存在でしたが、エクステリアの評判があまり良くありませんでした。多くの人が“涙目型”ヘッドライトに不満を持っていたのです。私自身は、市場でのこの低評価は正しくないと考えていますが・・・」

「ポルシェと働く私からの内部情報として聞いて欲しいのですが(笑)、996ターボはオススメの1台です。今の基準で考えても十分に速いですし、リーズナブルな価格で日常の運転にも適しています。個人的にはマニュアルトランスミッションの方が好きですが、タイプ996には911ターボとしては初めて導入されたティプトロニックもありますからね」

Porsche 911 Turbo(997)

ポルシェ911ターボ(997)

「何よりもタイプ997は、スタイリングという点で現代への一歩を踏み出したモデルです。その美しいフォルムは、いま見ても一切陳腐化していません。ポルシェの美学が現在に至るまで体現し続けられることになった、その源流になったと言えるでしょう」

「技術的な面では、997ターボ後期型から最高出力500psという魔法のようなパワーを手にしました。さらに7速のデュアルクラッチトランスミッション『PDK』も初めて導入されています。私自身、この997ターボのステアリングを握ると否定的なコメントは一切出てきません。純粋にドライビングを楽しんでしまいます。ひとつ付け加えると、ステアリング、ランニングギヤ、ブレーキのセットアップには、驚くほどアナログな感覚が残っているのも魅力ですね」

Porsche 911 Turbo(991)

ポルシェ911ターボ(991)

「991ターボの拡幅化されたフェンダーの膨らみは、930ターボを彷彿とさせます。4輪駆動の洗練されたパワー配分、初の4WSシステム『アクティブ・リヤ・ホイールステアリング』の導入、そして当然のことながら、さらなる高出力化が図られました」

「991ターボは、特にドライビングダイナミクスの点で非常に高い開発目標が掲げられました。私の目から見ても、これ以上に改善すべき点が見つからないほどです。エンジンレスポンス、バランス、凄まじいパワー・・・。本当に信じられないレベルにあります」

Porsche 911 Turbo(992)

ポルシェ911ターボ(992)

「正直に話さなければなりませんね。991ターボでの経験をさらに上回ることがあるなんて、私には想像できませんでした。しかしホッケンハイムで992ターボのステアリングを握ると、まさに信じられないレベルでした。思わず言葉を失いそうになったほどです。本当に多くの面が改善されています」

「992ターボはスーパースポーツと呼べるだけのパフォーマンスを持ちながら、誰もが怖がらずにドライブすることができます。オーバーステアもアンダーステアもありません。ただ、信じられないほど速いのです。開発部門には脱帽です。これだけ多種多様な性能を高いレベルで揃えるなんて、数年前には考えられませでした」

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みんなのコメント

1件
  • 漢字の意味としては
    「遣い」より「使い」
    「訊く」より「聞く」
    熱心さを加えるなら「聴く」
    あえて選んでいるのは中二病

※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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