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た…高い…でも付けたい…新型セレナ最上級グレード約480万円の鍵を握る「ハンズオフ」の性能と値段

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た…高い…でも付けたい…新型セレナ最上級グレード約480万円の鍵を握る「ハンズオフ」の性能と値段

 11月28日に発売開始となった、日産新型「セレナ」。最大のトピックは、最上級グレードのLUXION(ルキシオン)に、高速道路上の同一車線において、全車速ハンズオフ走行が可能となるプロパイロット2.0が搭載されたことだ。ライバルであるトヨタ「ノア」/「ヴォクシー」に、高速道路における渋滞時ハンズオフが搭載されたことも驚きだったが、新型セレナでは、さらにその上をいくシステムを搭載してきた。

 しかし気になるのは、税込478万円という車両価格。ハンズオフ走行ができる車種の中では、最も安い価格なのだが、セレナe-POWERハイウェイスターV(税込368万円)に対し、(プロパイロット2.0以外の装備も含まれるが)約110万円も価格が高まる。

た…高い…でも付けたい…新型セレナ最上級グレード約480万円の鍵を握る「ハンズオフ」の性能と値段

 何にそんなにお金がかかるのか、そして今後安くなる見込みはあるのか!?? これまでの取材をもとに、考察しよう。

文:吉川賢一
アイキャッチ写真:Adobe Stock_ryanking999
写真:NISSAN

プロパイロット2.0と1.0の価格差は、約50万円

 現時点(2022年12月時点)で、設定車速で高速道路をハンズオフ走行できるのは、新型セレナのほか、日産「スカイライン」(プロパイロット2.0搭載モデルは販売終了)と日産「アリア」に搭載される「プロパイロット2.0」、ホンダ「レジェンド」(販売終了)に搭載された「ホンダセンシングelite」、レクサス「LS」、トヨタ「MIRAI」に搭載されている「アドバンスト ドライブ」の3システム、(新型セレナを含めて)6車種のみだ。

 全車速ではなく、(高速道路上での)渋滞時に限ってハンズオフができるシステムとなると、スバル「レヴォーグ」の「アイサイトX」、BMW 「X3」/「X4」以降に順次搭載された「ハンズオフ機能付き渋滞運転支援機能」、冒頭でも触れたトヨタ「ノア」/「ヴォクシー」の「アドバンスト ドライブ(渋滞時支援)」など、搭載車種も増えてきている。なお、「アイズオフ」までできるのは、現時点、ホンダ「レジェンド」に搭載された、トラフィックジャムパイロット(渋滞運転機能)のみであり、現時点において、世界で唯一、自動運転レベル3(条件付自動運転車(限定領域))を実用化させたモデルだ。

 新型セレナLUXIONの価格は、冒頭でも触れたように、税込478万円。プロパイロットが「2.0」ではなく「1.0」となるセレナe-POWERハイウェイスターVとの価格差は110万円だが、この価格差には、アダプティブLEDヘッドランプシステム、12.3インチディスプレイ、インテリジェントルームミラー、6スピーカーなどが含まれ、これらがトータルでおよそ60万ほどであると見込めることから、プロパイロット2.0と1.0の差は、おおよそ50万円ほど。

 メーカーごとに原価を販価へ落とし込むルールは異なるが、新型セレナでいえば、478万円の車両価格のうち、先進技術分が50万円を占めるというのは、相当にウエイトが高い。この手の先進運転支援システム(ADAS)には、やはり、かなりのコストがかかっているのだ。

プロパイロット2.0と1.0の価格差は、約50万円。これだけ高いと、搭載率も低くなり、量販効果が得られないことから、安くなりづらい

高性能を追求するほど、センサーの数と性能が高くなる

 ハンズオフ(渋滞時のみを含む)走行を可能とするには、周囲の障害物との距離を測るミリ波レーダーや音波ソナー、信号や標識、障害物が何かをとらえるカメラ、また、ドライバーの顔を監視するカメラ、3D高精度地図データ、前後/左右方向の実車位置を高精度で把握する強固な通信システムなど、多くのセンサーやデバイスが必要。

 たとえば、渋滞時ハンズオフが可能なレヴォーグのアイサイトXでは、ステレオカメラの視野角、視認距離を、ともに約40%拡大したオン・セミコンダクターの2.3Mイメージセンサーを採用、車体四隅にレーダーを4個、リアソナー、GPS測位システムを追加した構成。センサーの数はかなりシンプルであり、コストも低く抑えられている。

2代目レヴォーグに搭載のアイサイトX。非搭載グレード「GT」(税込310万円)と、搭載グレード「GT EX」(税込347万円)との差額は約38万円

 ただ、全車速ハンズオフが可能なスカイラインのプロパイロット2.0となると、レーダーが5個、カメラが7個、音波ソナーが12個、高精度地図、高精度GPSが搭載される(後述のLiDARは使用していない)。「1.0」では単眼のカメラも、「2.0」では「トライカム」と呼ぶ画角と焦点距離が異なる3つのカメラを装備し、左右に広く遠くまで補足できるようにしている。

 レクサス「LS」やトヨタ「MIRAI」のアドバンスト ドライブや、ホンダ「レジェンド」のホンダセンシングeliteではさらに、ミリ波レーダーとカメラの構成ではセンシングが不可能な、先行車や歩行者、建物などの形状や距離を三次元で把握できる「LiDAR(ライダー、Light Detection and Rangingの略称。レーザー光線を対象物へ照射し、その反射光を光センサーで補足し、形状や距離を3次元で読み取る)」という超高性能なレーザーセンサーを搭載。LSのアドバンスト ドライブは、レーダーが5個/カメラが4個/ LiDARが4個の構成(※2021年10月に、LiDARを前方1基から左/右/後方の3基を追加)であり、レジェンドのホンダセンシングeliteは、レーダーセンサーが5個、フロントセンサーカメラ2個、ソナーセンサーが12個、LiDARが5個の構成という武装ぶりだ。

 ここまでやるのは、各メーカーが安全性能にこだわっている証拠。ハンズオフ走行で一度でも事故がおきると、そのシステム自体はもちろんのこと、会社の信頼性まで揺らいでしまう。メーカーとしてあってはならない事態を引き起こさないよう、念には念を入れたシステムとしているため、高額となってしまうのだ。

スカイラインのプロパイロット2.0は、レーダーが5個、カメラが7個、音波ソナーが12個の構成

いかに性能を落とさずに価格を下げるか、目下研究中

 ただもちろん、これらはコストとのトレードオフ。そのため、これまでは比較的コスト高のインパクトを吸収しやすい高額車を中心に搭載されてきたが、台数が売れない高額車に使うよりも、廉価なクルマに広く搭載し、多くのお客様に使ってもらったほうが、事故も減るし、量販効果も得られる。各メーカーとも、いかに性能を落とさずに価格を下げるか、目下研究中のようだ。

 例えばホンダでは、ハンズオフ走行ができる次世代ホンダセンシング360を、2024年以降に投入予定だという。つい先日、ホンダテストコースにてその体験会に参加させてもらったが、LiDARを使わずに既存のセンサーを駆使したハンズオフ走行とハンズオフでの自動レーンチェンジは、すぐにでも商品化できそうなレベルの完成度と感じた。

 スバルも、アイサイトXの取材の際、エンジニアが、新型レヴォーグのアイサイトXでも、高速道路上でのハンズオフ走行は可能だが、予測がつかない不測の事態にどこまで備えるのか、他メーカーがどういったタイミングでハンズオフ商品を投入してくるのか、世の流れを見計らっている状況だ、と語っていた。

 たとえば、かつてのカーナビゲーションと同価格程度である、車両価格プラス30万円程度のメーカーオプションであれば、ハンズオフ走行の装着が視野に浮かぶ方も増えてくるのではないだろうか。「ハンズオフ」ときくと、「手を離すなんて怖すぎる」とか、「別に現状のアダプティブクルーズコントロール(ACC)で十分」と考えるだろうが、かつてACCのときだって「ペダルから足を離すなんて」とか、「別にペダル踏むくらい自分でやる」と考えたはず。いまはまだ、アイズオフまでは(レジェンドを除いては)できないが、ハンズオフができるだけでも、長距離走行時の運転負担はかなり軽減されるし、それだけの価格を投じる価値は十分にあると思う。

 はたして、ハンズオフ走行が標準搭載となる日は来るのか!? そしてそれはいつになるのか!?? 今後が非常に楽しみだ。

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