シリーズが誇る“祭典”こと『レプコ・バサースト1000』を軸に、例年カレンダー終盤戦に恒例の長距離戦“エンデューロ・カップ”を実施するRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップだが、その今季緒戦となる第9戦『ペンライト・オイル・サンダウン500』に向け、フォード陣営ブランチャード・レーシングチーム(BRT)が来季2台体制拡大への端緒となるワイルドカード枠のカラーリングを発表。同じくペンライト・グローブ・レーシングも、サンダウン限定のトリビュート・リバリーを披露している。
来季の体制縮小を発表したティックフォード・レーシングのアナウンスを受け、チームが手放すシリーズ参戦枠“チーム・レーシング・チャーター(TRC)”のひと枠を入手したBRTは、2台目のクルマである“BRT002”のシャシーをこのサンダウンから先行投入。週初めにはエンデューロ前のテストとして、ウィントン・モーター・レースウェイでのシェイクダウンを実施した。
ケビン・エストーレがGen3フォード・マスタングをドライブ『すべてが初で大変だった』/RSC
今週末の9月15日より30分間×3回の公式練習セッション開始とともにデビューする“BRT002”シャシーは、ワイルドカード枠の7号車『レーサー・インダストリーズBRTマスタング』としてエントリーし、ルーキーのアーロン・ラブとジェイク・コステッキが、続くバサースト含む2戦でドライブすることに。
今季導入Gen3規定向けコンポーネントの主要プロバイダーであり、豪州最大のモータースポーツ・オンラインストアでもあるレーサー・インダストリーズ社がサポートを担当し、レギュラーの3号車『クールドライブ・レーシング・フォード』は引き続きティム・ブランシャードとトッド・ヘイゼルウッドがシェアする。
「アーロンとジェイクのためにこのレーサー・インダストリーズのカラーリングをお披露目できてエキサイティングな瞬間だ。実際に見るとさらに素晴らしく、我々の小規模な家族運営チームがついに2台のクルマに拡大するのと相まって、より一層の興奮があるね」と語るのは、BRT共同代表を務めるブランシャード。
「モータースポーツ業界向けのサプライ品について考えるとき、彼らレーサー・インダストリーズは頼りになるブランドだ。我々はモータースポーツを生業とする情熱的な組織を中心に成り立っている。マスタングはサンダウンのトラックで“映える”だろうし、ファミリー全体に誇りを与えるだろうと確信しているよ」
一方のペンライト・グローブ・レーシングは同戦サンダウン限りの特別カラーとして、カナダ出身でタスマン時代から伝説的な活躍を演じ、同地のV8時代にはシリーズの殿堂入りも果たした名手アラン・モファットに敬意を表するスペシャルカラーを施した。
チームのネーミングライツサポーターであり、サンダウン戦のタイトルパートナーも務めるペンライト・オイルは、オーストラリアでの認知症啓発活動を支えるモファットとの提携を発表し、認知症患者とその家族に対する意識の向上と地域社会の支援を目的とするパートナーシップの一環として「この週末は特別なカラースキームで参戦する」とした。
■「サンダウン500の復活を記念する素晴らしい方法」とチーム代表。第9戦前には規則改訂も
通算4回のシリーズチャンピオンと、サンダウンでの6回の優勝、そして“聖地”マウントパノラマ、バサーストでは4勝を記録する伝説のドライバーをトリビュートすべく、彼がドライブした1979年型『フェデレーション・ファルコンXCクーペ』を彷彿とさせるレッド・オレンジ・イエローのラインに、創業オリジナルのロゴが組み合わされた。
前週の富士スピードウェイで開催されたWEC世界耐久選手権第6戦富士6時間レースに出場し、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ6号車の感触をして「ポルシェ963のデビュー以降で最善だった」と首位快走も披露した、ファクトリー契約ドライバーのケビン・エストーレは、ルーキーのマット・ペインとペアを組み26号車で初参戦を迎え、同じく19号車で戦うデビッド・レイノルズ/ガース・タンダー組と共通のスキームが与えられた。
チーム代表のデビッド・カウチは「ペンライトがアラン・モファットおよびディメンシャ・オーストラリア(今大会の公式慈善パートナー)と協力し、このカラーリングに命を吹き込んだのは素晴らしい取り組みだ」と語った。
「これはオーストラリアでの認知症に対する意識を高めるとともに、サンダウン500の復活を記念する素晴らしい方法だね。我々は4名の耐久登録ドライバーがステアリングを握り、このクルマがトラックで走る姿を楽しみにしているよ」
その第9戦『ペンライト・オイル・サンダウン500』を前に、シリーズはいくつかのレギュレーション改訂も実施し、車両の最低重量が1335kgから1340kgへと一律に引き上げられることに。これはレーシング装備のドライバーバラスト(95kgまで)を含む乾燥合計で、最小フロントアクスル重量の725kgは維持される。
また2013年のカー・オブ・ザ・フューチャー(COTF)規定導入以降、耐久レースに関して重要なルールとなっていた強制的なピット(コンパルソリー・ピット・ストップ/CPS)が撤廃され、戦略的自由度がより高まることに。
これは当時のメルセデスやニッサンが投入したDOHCと、ホールデン&フォードが積むOHVとの間に存在した燃料消費量の差を補うべく導入されたもので、当時のCOTF規定モデルはE85燃料を使用した111リットルの燃料タンクセルを搭載していた。ただ、現在のGen3でもフォード・マスタング・スーパーカーは5.4リッターのDOHC、同シボレー・カマロZL1スーパーカーは5.7リッターOHVと諸元が異なり、それぞれ133リットルのセルとE75燃料を採用する。
それでも燃料セルが大きくなり、車両が軽くなり、ダウンフォースが少なくなったことで、チームは「より多くの戦略を立てることができるようになった」と、テクニカルワーキンググループ(TWG)の要請に応じたスーパーカー委員会によって、この規約変更が追加承認された。
ただし、サンダウンとバサーストではドライバーの最低周回距離は引き続き54周となり、第10戦『レプコ・バサースト1000』では大会補足規定により55周目から120周目までのブレーキパッド交換が義務付けられている。
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