東京オートサロン2024(会期:2024年1月12~14日・幕張メッセ)のトムスブースには、現行モデルをベースとしたトムスコンプリートカー(コンセプトモデル含む)がズラリと並ぶなか、グリーンカラーの80スープラが展示され異彩を放っていた。
トムスは創業50周年を迎え、これからの50年を見据えた新たな挑戦として旧車のレストア事業に参入することを発表した。これまでのモータースポーツ活動で培ってきたものづくりの技術やカスタマイズパーツ開発、コンプリートカー製作のノウハウを生かし、1970~90年代前半のトヨタ車をレストア(修復)するもの。オリジナルを維持するレストアにとどまらず、その車両を現代の技術でよみがえらせるためのモデファイを施すレストモッドも行う。
その第一弾として1993年から2002年にかけて販売されたスープラ(A80型)をベースにレストモッドした車両がこのグリーンの80スープラだ。
トムスがレストア事業に参入するのは、現在では当時話題となった車両でも現存する車両の減少や、経年により程度のいい車両を入手することが難しくなっていることや、長年乗り続けている人にこれからも乗り続けてほしいという思い、そして同社が培ってきた前述のものづくりの技術の継承などが背景にあるという。
レストアサービスは80スープラ以降、セリカ(TA22型)やレビン・トレノ(AE86型)、ソアラ(GZ20型)、MR2(SW20型)などトヨタ系スポーツカーを対象に展開していく予定だ。
レストアする車両が限定されるのはやはり補修部品が手に入りにくいといったことも要因だという。もちろん展開予定の車両でも部品が手に入らない場合もある。そこでオリジナルにこだわるレストアだけでなく、車両の状態やオーナーの要望に応えながら現代の技術を用いたパーツを組み合わせ、さらにチューニングやカスタマイズを施すレストモッドというサービスも行うのがポイント。
「レース車両を製作するときに全部バラして組み上げるといったことは弊社にとっては普通に行っていることで言わば得意分野です。さらにレースで勝つために培ってきたチューニングの知見とノウハウは強みとなります」と語ってくれたのはトムスの技術革新本部 企画開発部 部長の上野琢也氏。
モータースポーツ活動やカスタマイズパーツを自社で開発するうえで欠かせない技術力。さらにはそれらを具現化する製造技術を持ち合わせていることから、例えば今では手に入らない外装パーツをスキャニングツールで3Dデータ化し、型を起こしてカーボンパーツなどに材料置換を図ることもできるという。これらはパーツ別レストアおよびヘリテージパーツとしてエンジンのオーバーホールやパーツの修復、再生、専用パーツの復刻販売として展開予定だ。
現代の技術を用いてモデファイするレストモッドを行えるのはそうした仕組みが整っているからこそとも言える。
さらにオーナーの要望に合わせたパーツ選びも可能で、純正パーツや自社製品にとどまらずメーカーの垣根を越えて選択、装着できる点も見逃せない。
その提案として仕立てたのが今回の展示車両だという。ベース車両はかつてTRDが販売したロードゴーイングGTカー、TRD 3000GT。ワイドボディキットはそのままに修復。紛うことなく3000GTだが、タワーバーを始めブレーキシステムは「トムス×ブレンボ」、サスペンションにはかつてのAdvoxブランドを復活して採用するなどトムス製でまとめ、タイヤ(ポテンザ RE71RS)とホイール(RW007)はブリヂストン製、シートにはブリッド製(edirb)を採用するなど現代仕様にモデファイされている。
この80スープラのレストモッド車両はもう少し手を加えてナンバー取得が可能な状態に仕上げるということ。そして完成のあかつきには販売される予定で、その価格は2500万円(税抜き)とアナウンスされている。
世界的に人気が高まる日本のネオクラシック車両の相場や、フルレストア+現代的モデファイが施される車両であることを鑑みても、飛び抜けて高価というわけではなさそう。なによりも、ものがものだけに希少性は十分すぎるほど高い。
「今回、この車両を展示することで、その仕様についてやカラーリングなど、どんなことでもいいので興味を持って、みんなであれこれと語っていただけるきっかけになればうれしいです。特にクルマ好きの若者が旧車に興味を抱き、さらにはスポーツカーやモータースポーツの世界を知るきっかけになってもらえれば、ものづくりの現場やクルマ業界の将来にプラスになると思うんです」と上野氏は新事業をきっかけとした話題づくりなどについての思いを語ってくれた。
トムス レストア車両の購入方法は、トムスの在庫車両の中からレストア完成車を選んで購入する「完成車オーダー」(追加のカスタマイズも可能)と、好みのベース車両をオーダーするとトムスが独自のネットワークを活用して中古車を用意し、希望に応じてレストアもしくはレストモッドする「フルオーダー」があり、すでに所有している車両を持ち込んでレストアもしくはレストモッドする「愛車持ち込み」にも対応する。
[トムス スープラ80レストモッド スペック(参考)]
ベース車:トヨタ スープラ
型式/グレード:GF-JZA80/RZ
初度登録:2000年3月
エンジン:2JZ ツインターボ
トランスミッション:6速MT(ゲトラグ)
エアロパーツ:ワイドボディキット、エアロボンネット、リヤウイング(角度調整タイプ)
マフラー:トムスバレル
サスペンション:Advox sports
ブレーキ:前TOM’S×brembo 6ポットキャリパー/後同4ポットキャリパー
アルミホイール:POTENZA RW007 19インチ 前9.5J/後10.5J(カラー:レーシングカッパーゴールド)
タイヤ:POTENZA S007 前255/30R19/後285/30R19
シート:BRIDE edirb 132V
その他:トムスフロアマット
参考価格(税抜き):2500万円
[トムス レストレーションサービス予定車両]
・セリカ(TA22型)
・レビン(TE27型)
・レビン・トレノ(AE86型)
・スープラ(A70型)
・スープラ(A80型)
・ソアラ(GZ20型)
・チェイサー(100系)
・MR2(SW20型)
〈文と写真=ドライバーWeb編集部〉
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みんなのコメント
セダンはカローラ、スポーツカーはハチロクしか選択肢がなくなるなんて当時では考えも及ばなかっただろうな。
まず、なんでエンブレムが無いのか、また、マーカーがチープな物やカサカサの純正のまま磨いていなかったりと、レストモッドとしては完成度が低いと感じました。
多分今回持ち込みは参考であってほとんど板金屋さんが突貫で作っただけなんでしょうが、磨き後のコンパウンドくらいは拭き取ったほうがいいのでは・・・洗車する時間もないくらいギリギリ完成だったのかな・・・
あと、内装ですがシートは変わっていても計器類、手が触れるレバー、ハンドルが中古仕入れのままである点、かなりクラシックなデッキと地デジアンテナのフィルムなど、なんだかなーって感じでした。
北館には2500万円の第二世代GT-Rが展示してありましたがレストモッドってこうあるべきだよなーって思いました。
来年さらに進化したトムスのレストアに期待します