現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > アウトドアブームで注目集まる「ルーフキャリア」の知られざる歴史とは? サーフィンやスキーのマストアイテムでした

ここから本文です

アウトドアブームで注目集まる「ルーフキャリア」の知られざる歴史とは? サーフィンやスキーのマストアイテムでした

掲載 4
アウトドアブームで注目集まる「ルーフキャリア」の知られざる歴史とは? サーフィンやスキーのマストアイテムでした

アウトドアの良き相棒「ルーフキャリア」/「ルーフラック」

 昨今のアウトドアブームでこれまでより一層身近になった「ルーフラック」や「ルーフキャリア」。ルーフトップテントを装着したり、大きなルーフボックスを搭載したりすることで、愛車の積載能力や居住性を大きく拡張することができる人気のアイテムだが、その歴史はあまり知られていない。そこで今回はその歴史を紐解いてみよう。

トヨタ「プロボックス」をキャンパー仕様に! リフトアップしたアウトドアスタイルのカスタム方法とは

50~60年代ヨーロッパでは車種別に設計された専用品が一般的だった

 ヨーロッパでは1950年代には、「ビートル」や「ミニ」といったポピュラーな車種に、吸盤状の脚をルーフに載せてレインガーターに引っかけて固定する、車種専用設計のルーフラックの基礎のような形がアクセサリーとして登場している。モンテカルロラリーでミニクーパーがタイヤを積んでいたキャリアを想像してもらえれば、わかりやすいだろう。



 その後、より耐荷重を高めるために、脚をレインガーターに載せるスタイルに進化していく。この車種専用設計のキャリアは長期間大きなモデルチェンジをしなかったミニやビートルの世界ではポピュラーで、今でもリプロダクション製品が入手できる。

モデルサイクルの短いアメリカでは汎用性をアップした製品が登場

 ところがこの専用設計のキャリアは、アメリカ車のように毎年モデルチェンジを繰り返す車種だと成り立ちにくい。アメリカではCarter社から吸盤脚かつレインガーターフックの長さを調整式にすることで、異なる車種にも装着可能な「CARPAC」キャリアがリリースされるなど、汎用性の高い製品が人気となった。

 しばらくはこの方式がポピュラーだったが、アメリカでは1960年代に入るとレインガーターがない車両や、後部がハイルーフになるステーションワゴンなどが出現するようになる。これに対応すべく、ルーフレールを最初から装着した車両や、ルーフに直に荷物が搭載できるように、直接ルーフに穴を開けて装着するキャリアがオプションとして用意されるようになる。この仕組みはステーションワゴンなどの一部車種では1980年代ごろまで存在するほど、アメリカでは長きにわたってポピュラーだった。

アメリカで長いサーフボードの専用ラックが誕生

 これとは別にアメリカではサーフカルチャーが花開く1960年代になると、ルーフにサーフボードを固定するための専用キャリアが登場する。それまではルーフに直接固定していたが、左右のレインガーターを使ってパイプ状のキャリアを固定し、これに専用のゴムでボードを固定する仕組みとなったのだ。これはレインガーターのある古い車種なら左右幅を調整できるために汎用性が高く、また当初のサーフボードが今よりも長いいわゆる「ロングボード」で、車内に格納するのが不可能だったために急速にポピュラーとなった。

 古いクルマには現行のシステムキャリアよりも似合うため、現在でも「アロハサーフラック」などの名称でリプロダクションが入手できるほど、サーファーの間では今でもポピュラーな製品となっている。

一方ヨーロッパではスキーキャリアが進化

 ふたたび場所をヨーロッパに移すと、1962年にスウェーデンのTHULEがスキーキャリアを発売する。バーの幅や高さが調整できるようになっている汎用設計で、それまでにも各車種専用のアクセサリーとしてはスキーキャリアが存在していたものの、汎用性の高いTHULEの商品は各車種向けの商品が主流だった世界に一石を投じるアイテムとなったのだ。

 続けて1968年にこのキャリアに装着するルーフバスケットをリリースすると、このスキーキャリアはシステムアップすることでルーフキャリアも兼ねることができると大ヒットとなる。この汎用性こそが、THULEがメジャーなキャリアブランドとして現在でも最先端を走り続けている原点となったのだ。

クラシックカーにはその時代にあったキャリアが似合う

 ヨーロッパでは1980年代に入ると、現在でも流通している四角いバーのシステムキャリアがTHULEよりリリースされる。当初から多くの車種に装着できるように、脚(フット)を別体とし、さまざまなアタッチメントを組み合わせることで、サーフボードだけでなく、カヌーや自転車なども搭載できる仕組みが出来上がる。

 これにルーフボックスやキャリアラックなどを組み合わせるのは、現在のアウトドアシーンでも基本的には大きく変わっていない。このシステムを基本に現在では複数のメーカーがシステムキャリアをリリースし、これが全国に広がっている状態だ。

 逆に言えば、このシステムラック以前の年代のクラシックカーには、やはり当時のルーフラックやルーフキャリアが似合うのだ。リプロダクションが今でも入手できる製品も多いので、クラシックカーのオーナーはぜひともキャリアの時代考証にも目を向けてみてほしい。

こんな記事も読まれています

2戦連続で表彰台を獲得も、ライバルとの差は縮まっていないとメルセデスF1代表「それを埋めたら勝利を目指せるはず」
2戦連続で表彰台を獲得も、ライバルとの差は縮まっていないとメルセデスF1代表「それを埋めたら勝利を目指せるはず」
AUTOSPORT web
【超ビミョー】何コレ?可愛い?珍妙? アバルト製ボート お好きならどうぞ「アバルト オフショア」イタリア人も時々破天荒!
【超ビミョー】何コレ?可愛い?珍妙? アバルト製ボート お好きならどうぞ「アバルト オフショア」イタリア人も時々破天荒!
AutoBild Japan
【AMGラインエクステリア標準】 メルセデス・ベンツCLEにカブリオレ発表 艶消しカラーも
【AMGラインエクステリア標準】 メルセデス・ベンツCLEにカブリオレ発表 艶消しカラーも
AUTOCAR JAPAN
仏アルピーヌ初の電動モデル『A290』、日本導入も…本国では年内ローンチ
仏アルピーヌ初の電動モデル『A290』、日本導入も…本国では年内ローンチ
レスポンス
後席の広さで選ぶ燃費優良車3選! [シエンタ]はさすがに広さ!! なんと[フィット]までランクイン!? 
後席の広さで選ぶ燃費優良車3選! [シエンタ]はさすがに広さ!! なんと[フィット]までランクイン!? 
ベストカーWeb
ショウエイ、ツーリングフルフェイス『GT-Air3』の新グラフィック『NILE』を2024年6月に発売
ショウエイ、ツーリングフルフェイス『GT-Air3』の新グラフィック『NILE』を2024年6月に発売
AUTOSPORT web
リカルドかローソン、どっちなんだい! RB、サマーブレイクでF1ドライバー人事決定か「静かな話し合いを行なう」
リカルドかローソン、どっちなんだい! RB、サマーブレイクでF1ドライバー人事決定か「静かな話し合いを行なう」
motorsport.com 日本版
【MotoGP】アプリリア移籍決定後、初レースウィークにマルティン「ドゥカティの人達と話すのは奇妙な感じ」
【MotoGP】アプリリア移籍決定後、初レースウィークにマルティン「ドゥカティの人達と話すのは奇妙な感じ」
motorsport.com 日本版
「FLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYO TIRES」のアジアクロスカントリーラリー2024参戦マシンがテスト走行を実施! 総監督の哀川翔氏とドライバー川畑真人氏の意気込みとは?
「FLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYO TIRES」のアジアクロスカントリーラリー2024参戦マシンがテスト走行を実施! 総監督の哀川翔氏とドライバー川畑真人氏の意気込みとは?
くるまのニュース
日本らしさを全面に押し出したグラフィック! オージーケーカブトが自転車用ヘルメット「FLEX-AIR」に新色を追加
日本らしさを全面に押し出したグラフィック! オージーケーカブトが自転車用ヘルメット「FLEX-AIR」に新色を追加
バイクのニュース
先代[N-BOX]の中古車相場が約10万円アップ!? 新型登場も旧型が高騰するワケ
先代[N-BOX]の中古車相場が約10万円アップ!? 新型登場も旧型が高騰するワケ
ベストカーWeb
発売前は「AE86の再来」と期待されたトヨタ「アルテッツァ」は残念な1台でした…というのは昔の話。現在では中古価格が上昇中です
発売前は「AE86の再来」と期待されたトヨタ「アルテッツァ」は残念な1台でした…というのは昔の話。現在では中古価格が上昇中です
Auto Messe Web
6月29日(土)THE MOTOR WEEKLY 放送予告!
6月29日(土)THE MOTOR WEEKLY 放送予告!
Auto Prove
伊藤かずえの愛車は「もう1台」ある!? “30年以上”乗り続ける「シーマ」以外のクルマに「驚きの声」! 6か月点検の様子に反響集まる
伊藤かずえの愛車は「もう1台」ある!? “30年以上”乗り続ける「シーマ」以外のクルマに「驚きの声」! 6か月点検の様子に反響集まる
くるまのニュース
中国吉利の主力セダン『エムグランド』、世界販売386万台…現行型はEVやPHEVも設定
中国吉利の主力セダン『エムグランド』、世界販売386万台…現行型はEVやPHEVも設定
レスポンス
え、そんな大変なことになるの….. エンジンに重大なダメージを与えかねえない[ノッキング]の恐怖!!
え、そんな大変なことになるの….. エンジンに重大なダメージを与えかねえない[ノッキング]の恐怖!!
ベストカーWeb
【MotoGP】ヤマハ、オランダGPで新型エンジンを投入。クアルタラロとリンス改善実感もTTアッセンでは効果控えめ?
【MotoGP】ヤマハ、オランダGPで新型エンジンを投入。クアルタラロとリンス改善実感もTTアッセンでは効果控えめ?
motorsport.com 日本版
えっ、雨の日は死傷事故が4倍!? よく聞く「ハイドロプレーニング現象」って何? スリップして事故らないために気をつけるべきポイントとは
えっ、雨の日は死傷事故が4倍!? よく聞く「ハイドロプレーニング現象」って何? スリップして事故らないために気をつけるべきポイントとは
VAGUE

みんなのコメント

4件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

677.3698.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

435.0726.0万円

中古車を検索
ヨーロッパの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

677.3698.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

435.0726.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村