ダイハツが開発し、トヨタにOEM供給される新型コンパクトSUV、ダイハツロッキー&トヨタライズ。東京モーターショーでプロトタイプが初公開となり、2019年11月5日に発売が開始された。
前評判が高く、試乗を待ち焦がれていたが、ようやくロッキー&ライズを同時に試乗する機会を得ることができた。
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ロッキーは、新型DNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)の第一弾「タント」の基本設計をベースに、5ナンバーサイズのコンパクトSUVへとサイズアップ。
広い空間と大容量ラゲッジに加え、17インチの大径タイヤを採用し、力強いデザインを実現。
さらには、主要グレードが200万円前後という「良品廉価」もあり、大人気となる予兆を感じさせてくれるクルマだ。
さて、そんなロッキー&ライズを、元日産の新車開発エンジニアでモータージャーナリストの吉川賢一氏はどんな評価をくだすのか?
※本企画は、本文&写真のほか、動画もご覧ください。
文/自動車ジャーナリスト・吉川賢一
写真撮影・動画/エムスリープロダクション鈴木祐子
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↓ロッキー&ライズの試乗動画はこちら!
https://youtu.be/vKSU8GPbO9w
1/ロッキー&ライズのポイントは?(エクステリア、インテリア)
左がダイハツロッキー、右がトヨタライズ。どちらがカッコいいと思いますか?
1963年に誕生したコンパクトカー、コンパーノをイメージしたコンパーノレッドのロッキーG(17インチ)。六角形のグリルが特徴だ
ロッキー&ボディサイズは、全長3995×全幅1695×全高1620mm、ホイールベースは2525mmと5ナンバー枠に、無理なく収まっているのが特徴だ。
今回試乗したのは、ロッキーGグレード(2WD、17インチ)と、ライズGグレード(2WD、16インチ)。
<ダイハツロッキーG>
■価格:200万2000円(+付属品合計29万801円=229万7801円 )
<トヨタライズG>
■価格:
189万5000円 (+付属品合計36万2450円=225万7450円 )
ロッキーは、六角形のグリルとヘッドランプ、フォグランプ周り、ブラックのフェンダーアーチと大径タイヤなどにより、5ナンバーサイズとは思えないほど、ワイドに見せることに成功している。
大ヒット中のRAV4アドベンチャーグレードを意識した造形に見えなくもないが、流行のSUVテイストを取り入れた秀逸なデザインだ。
「トヨタライズ」も同様に、RAV4ベーシックデザインのグリルの面影が強く、こちらも「ベビーRAV4」を感じさせる。
ライズはフロント回りがロッキーと大きく異なり、グリルが大きく開いたRAV4に似たフロントマスクとなる
異なる2つのフロントマスクを持つ、大ヒット中のRAV4。左がアドベンチャーグレード。ボディサイズは全長4600×全幅1855×全高1685mmとロッキー&ライズよりもふた回りほど大きい
サイドから見ると、ボディサイズに対して大きい17インチタイヤ(16インチタイヤもあり)と、ホイールベースのバランスが良くできており、オフロード走行も器用にこなせそうな雰囲気だ。
また、新型ロッキーのメインカラーである新色「コンパーノレッド」と、流行りのブラックルーフとの2トーンカラーが、このコンパクトなボディに、非常にマッチしている。
ちなみに「コンパ―ノ」とはイタリア語で「仲間、友達」という意味で、1963年に発売したダイハツ初の小型乗用車「コンパーノ」に由来しているらしい。
ロッキーG(195/60R17インチタイヤ)の価格は2WDが200万2000円、4WDが222万4200円
ライズG(195/65R16インチタイヤ)の価格は2WDが189万5000円、4WDが213万3700円。リアスタイルはメーカーのエンブレム以外デザインはロッキーと共通となっている
SUVらしい力強さと洗練されたイメージのコクピット。着座位置が665mmと高く、フロントピラーとドアミラーの間の死角が少ないため視界も良好で、ボンネットの左右両端がよく見える。9インチのスマホ連携のディスプレイオーディオやダッシュボードのエアコンスイッチを含めデザインに新しさを感じる
インテリアは、表皮に出ているプラスチック感は強いものの、インパネ周りやダッシュボード、中央の大型ディスプレイモニター、縁取りに使われているシルバーの加飾など、オシャレにまとめられている。
運転席/助手席ともに足元にある小さな収納の中をレッドにするなど、収納面にも細かく配慮がされており使い勝手もよさそうだ。
なお、徐々に一般化してきた電動PKBや足踏み式ではなく、全グレードが手引式のサイドブレーキとなっているが、車体設計担当によると「オーソドックスなSUVの雰囲気を出したかった」とのこと。
一見、古臭さを感じるものの、「ギッ」と力強く引く感覚は、どことなく懐かしくて、むしろ新鮮に感じた。
赤いパイピング(G)が入る、座り心地のいいフロントシート
前後席の間隔はゆとりの900mm。実際に身長170cmの吉川氏が前席でベストポジションをとった後、後席に座ると膝前空間はこぶし1つ半、頭上空間はこぶし1つ入る余裕のスペースだった。後席のリクライニング機構は体格に合わせて2段階に調整できる
2/走りはどうだったのか?(ボディ、シャーシ、エンジン、サスペンション)
ロッキー&ライズに搭載されるエンジンは98ps/14.3kgmの1L、直3ターボにCVTを組み合わせている。980kg(2WD)という車重の軽さと相まって想像以上に軽快に走る
エンジンは排気量1L、直3ターボ(1KR-VET)のみ。エンジンスペックは、最高出力98ps、最大トルク14.3kgm。
これにスプリットギアを用いて変速比をワイドにしたD-CVTを組み合わせ、燃費と静粛性を向上させている。
アクセル開度はやや早開きに設定されており、「1.5Lエンジン相当の動力性能を与えた」とのダイハツの説明の通り、3人乗りの坂道登りでも、苦労することなくグイグイと登っていくだけのパワフルさがある。
サスペンションは、フロントマクファーソンストラット式、リアトーションビーム式と、オーソドックスな組み合わせだ。
ロッキーのエンジニアから、ベースのサスペンションジオメトリーは「タント」だと聞いて驚いたが、ロッキーでは「5ナンバー幅」を生かし、フロントロールセンター高の低下、フロントスタビライザー太径化とビーム大断面化によるロール剛性アップ、アンチダイブ角の変更、リアの横力オーバーステア低減のための斜めブッシュ採用、リアビーム配置変更、リアショックの角度適正化、といった、可能な限り基本性能を磨き、操縦安定性を高めたとのこと。
※サスペンションジオメトリー/サスペンションを構成するアームやリンクの長さ、取り付け位置、角度など、幾何学的な形状や位置関係。これによりサスペンションの動きが決まる
ステアリングは軽めだが、直進性もよく安心できるハンドリング特性
ハンドリングに関しては、軽めのステアリング特性と、軽さを感じる身のこなしによって、オンロード性能が高く、直進性が良く安心できる。路面入力をいなすよう、スプリング剛性も低めに設定しているようだ。
そのため、うねりのある路面を走ると「フワッ」とするボディの上下動と、ピッチングの大きさがやや気になった。
おそらく、軽量ボディと大径で重たいタイヤホイールがアンパランスなためにバネ下がバタつき、それを抑えるためのスプリングやショック特性に苦労をしたのではないだろうか。
ロール方向の揺れも大きめだが、積極的にハンドルを切るクルマではないため嫌みには感じない。
なお、一般道でのロードノイズは静かな部類だが、高速道路試乗にて見極めたいところだ。
3/試乗してわかった このクルマのココが凄い ココがダメ
良い点(1)ボディサイズのわりに、小回り性能が高い
全長3995mm、全幅1695mmという5ナンバーサイズもさることながら、軽いステアリングとアクセルのオンオフに敏感に反応するレスポンスのいいエンジン、そして最小回転半径は16インチタイヤ装着車で4.9m、17インチタイヤ装着車で5.0mを実現と、とにかく運転しやすいのが印象的
カタログの最小回転半径が5.0m(16インチ車は4.9m)と、小回り性能が素晴らしく、狭い駐車場内での切り返しや、片側1車線の道でのUターンなどが、容易にできる。
ライバルとなるスズキクロスビーやイグニスは最小回転半径4.7mと更に小さな数字だが、タイヤ外径が616mm程度と小さい。ロッキーの195/60R17のタイヤ外径666mmで5.0mを達成したダイハツ設計チームの仕事ぶりが窺える。
良い点(2)リアラゲッジルームの使い勝手の良さ
最大荷室長755mm、荷室容量369L(2段可変式デッキボードを下段にした場合)を実現。写真の上段位置は開口部とデッキボードの段差がなくなり、重い荷物を出し入れしやすく、前倒しした後席の背面とほぼフラットになる
パンク修理キットや工具などの配置を見直し、買い物カゴ2個分、80Lの大容量アンダーラゲッジが出現。付属の2段可変式デッキボードを活用することで荷室の高さや容量を変えることができる
後席を倒すとおよそ1500mmあまりとなり、長尺物も積むことができる
大容量ラゲッジも魅力だ。最大荷室長755mm、6:4分割式の後席を倒せば、1500mm近い奥行きが得られる。
2段可変式のデッキボードの活用で、荷室の高さや容量を変更でき、アウトドアやキャンプなど、さまざまな用途に使える。ただしスペアタイヤではなく、パンク修理剤キットとなる点は、覚悟が必要だ。
良い点(3)右足用フットレストもポイント高い
アクセルペダルの右側に足を置けるフットレストがあるため、疲れた時に右足を置けるのがいい
細かなところだが、現代のクルマにおいて、ACC(オートクルーズコントロール)やLKAS(車線維持支援システム)は、もはや必須の装備。
ロッキーにはアクセルペダルの右側にフットレストがあり、ACCやLKAS作動時に、右足が疲れないよう、しっかりと実用的な大きさで設置されているのは、ドライバーの疲労軽減を考慮した、良い設計といえるだろう。
ちなみに、ゴルフ7などのVW車には立派な右足フットレストが付いているが、国産車ではほとんど見られない。
気になる点(1)ディスプレイオーディオがメーカーオプション扱い
9インチのスマホ連携ディスプレイオーディオ、スマートパノラマパーキングパックは14万8500円のメーカーオプション
193万6000円のカローラ(G-Xグレード)にすら標準装備されるディスプレイオーディオ。ロッキーにはメーカーオプション(9インチスマホ連携ディスプレイオーディオ:14万8500円)での設定となっている。
販売台数の多いカローラシリーズとは事情が異なるのは仕方ないことではあるが、スマホ連携による利便性はもっと広げるべきだと筆者は考える。
「トヨタ/ダイハツ車は全車ディスプレイオーディオ標準装備」というキャッチーなインパクトを与えられたかもしれない。
まとめ
まだ発売1カ月後の受注台数は出ていないが大ヒット間違いなしといったところ
ちなみに、月販目標台数はロッキーが2000台、ライズは4100台だという。ジムニー派生のジムニーシエラや、ハスラー派生のクロスビーなど、軽SUVをベースにした排気量1~1.5LのコンパクトSUVをスズキが出しており、ロッキー/ライズは、このコンパクトSUVジャンルに飛び込む1台となる。
ロッキー&ライズが有利と考えられるのは、ミドルサイズSUVのRAV4にデザインを寄せている(寄ってしまった)ことだろう。
RAV4のイメージを感じさせてくれるため、安さを感じにくいデザインであり、さらにはダウンサイズを要望するニーズにも対応できる。
5ナンバーサイズながら後席に大人2人が余裕を持って座れ、ラゲッジ容量も充分。価格はお手頃な200万円前後。しかも、レスポンスがいいエンジンで軽快な走りが楽しめる1Lターボとくれば、売れないワケがない!
また、電子制御式カップリング機構を用いたダイナミックトルクコントロール4WDを採用したグレードが用意されているというのも大きいが、残念ながら今回の試乗では、オフロードでその価値を試すことはできなかった。
まだまだ乗り足りないため、正確に課題があるのかを見いだせていないが、もしも、この価格帯でRAV4譲りのオフロード走行性能が伴っていれば、さらに魅力的といえるだろう。
<元開発技術者目線から見た辛口採点チェック!!>
■コーナリング性能 7点/適度な操舵力で軽め。軽やかにコーナーをぬける印象。ブレーキングでの視線変化やコーナーでのロールはやや大きめ
■高速直進安定性 7点/直進安定性は高いがやや不安感あり
■乗り心地 7点/フワ付きややあり、路面外乱でヒョコつき感じる
■ロードノイズ 7点/一般車並み。静かではない
■エンジンフィール 8点/滑らかに加速。ラバーバンドフィールは感じない
■加速フィール 7点/1Lターボにしてはパワフル。サウンドも軽快。
■走りの質感 7点/石畳路ではザラザラ、ステアリングの振動もある。微振動のため良く感じない
■居住性 8点/前席が快適な広さをしている。シートもソフトで座り心地良い。後席も狭さを感じにくい
■インテリアの質感 7点/造形は良くできている。プラスチックパーツはやや多め
■コストパフォーマンス 9点/このデザインと広い荷室を持つクルマで税込200万円をきる価格設定は安い
総合点/74点
■コメント:
ベビーRAV4なデザインはカッコ良いと感じる。小回りもよく利くので狭い道や駐車場でも運転が怖くない。荷室も十分にあり、例えば流行りのソロキャンプにも適している。(196万円のカローラには標準装備だった)ディスプレイオーディオがメーカーオプションで15万円弱の価格設定はやや高い。標準ナビを買うのと同じであまりリーズナブル感がない。
※個別項目は10点満点、総合点は各項目を集計したものです
ダイハツ ロッキーG 主要諸元
■全長×全幅×全高 :3995×1695×1620mm
■ホイールベース :2525mm
■車両重量:980kg
■駆動方式:前輪駆動
■エンジン:直列3気筒12バルブDOHCインタークーラーターボ横置 (1KR-VET型)
■エンジン排気量:996cc
■最高出力 :98ps/6000rpm
■最大トルク :14.3kgm/2400~4000rpm
■トランスミッション :CVT
■サスペンション前/後:マクファーソンストラット/トーションビーム
■タイヤ前/後: 195/60R17/195/60R17
■WLTCモード燃費:18.6km/L
■最小回転半径 :5.0 m
■燃料・タンク容量 :無鉛レギュラーガソリン・36L
■価格:200万2000円(+付属品合計29万5801円=229万7801円)
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みんなのコメント
見ても乗ってもないけどダイハツ車はペナペナ感しかないな。軽ならしょうがないけど。
でもそれなりには売れるんでしょうね。
返信コメント1
そう思わない:122
そう思う:1251
zap*****|2019/12/04 08:04
炎上パクリ車。
偽アウディと指差して笑われて終わりですね。
田舎のコンビニに止まってそう。
返信コメント14
そう思わない:115
そう思う:985
aim*****|2019/12/04 06:49
実車見たら小さい、貧相なRAV4に見えるほどエクステリアの造形が洗礼されてなく、服に例えるとユニクロ、GUのようで気付かない人達は気にならないが目の肥えた人達には刺さらない商品力、CVTと四駆の性能が良くないのも×実車を見るまでは良いなと思ってたけど見たら萎えた。
返信コメント3
そう思わない:117
そう思う:564