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なぜ日本人はハイブリッドに乗りたがる? 割高で元が取れなくても人気を高めた理由

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なぜ日本人はハイブリッドに乗りたがる? 割高で元が取れなくても人気を高めた理由

 最近の小型/普通乗用車の売れ行きを見ると、ハイブリッド車の比率がこれまで以上に高まりました。

各メーカーからさまざまなハイブリッド車がラインナップされている 各メーカーの小型/普通乗用車(軽自動車を除く)の販売台数のうち、ハイブリッドとプラグインハイブリッドの割合は、2018年(暦年)のデータでは、トヨタが45%、ホンダは54%、日産は58%に達します。いずれも簡易型のマイルドハイブリッドを含む数値で、モーターを備えたクルマが急増しています。

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 とくに日産は、「e-POWER」と呼ばれるハイブリッドシステムを搭載した「ノート」「セレナ」に加えて電気自動車の「リーフ」も堅調に売れており、EVも含めると電動車の割合は66%になります。

 ハイブリッド車や電気自動車などの電動車を購入する人が増えたのは、なぜなのでしょうか。

 同じ車種にノーマルエンジン車とハイブリッド車が設定される場合、価格はハイブリッド車の方が30万円から50万円ほど高くなります。ハイブリッド車はエコカー減税額が多いものの、減税額を引いてもノーマルエンジン車より25万円から40万円は上まわる計算です。

 この25万円から40万円の負担差額を燃料代の節約で取り戻せる距離は、車種やガソリンの平均価格によっても異なりますが、一般的に7万kmから12万kmといわれています。

 1年間に走る距離が1万5000km以上であれば、ハイブリッドの燃費節約効果も感じられますが、逆に5000km程度しか走らない場合は負担差額を取り戻しにくいということになります。

 ハイブリッドや電気自動車の本来の目的は、化石燃料の使用量を抑えることです。二酸化炭素や排出ガスの発生を抑えることと同じ意味になります。走行距離の短いユーザーがハイブリッドを購入することも推奨されますが、元は取れないでしょう。

 トヨタの販売店でハイブリッドが人気を得た理由を尋ねると、以下のような返答が得られました。

「『プリウス』や『アクア』などのハイブリッド車を購入するお客様が、必ずしも走行距離の伸びる使い方をするとは限りません。もっと単純に、いつかはハイブリッドに乗ってみたかった、という理由で買われるお客様も多いです」

※ ※ ※

 いまさら「いつかはハイブリッド」なのかと思いますが、近年はクルマの耐久性が高まり、新車を買うと7年から9年にわたって乗り続けるユーザーも多いです。

 9年前に新車を購入したとき、当時はハイブリッド車の選択肢が少なくて購入に踏み切れなかったユーザーもいたでしょう。いまではハイブリッド車のラインナップも増え不安なく買えるようになったことで、購入する人が増加したのです。

残価設定ローンもハイブリッド車購入の後押しに 現行型の日産「ノート」は、2012年に発売され、2016年にハイブリッドのe-POWERを加えると売れ行きを一気に伸ばしました。2018年には、現行モデルノートの発売から6年を経過しながら、小型/普通車の最多販売車種になっています。

e-POWER搭載で販売が好調な日産「ノート」 ノートが好調に売れる理由を、日産の販売スタッフは次のように説明します。

「ミニバンの『セレナ』やSUVの『エクストレイル』のお客様がコンパクトな車種に乗り替えようとしたとき、ノートが有力な候補になります。

 ただ、普通のエンジンを搭載したノートでは、物足りないと感じるお客様も多いです。その点でe-POWERなら、話題性が高く運転感覚も上質なので、満足して購入されます」

 この背景には、日産の車種が減っているという事情もあるでしょう。以前はコンパクトカーの「ティーダ」、ワゴンの「ウイングロード」、SUVの「デュアリス」なども選べましたが、今では廃止されています。

 現在ラインナップされているコンパクトなサイズのクルマでも、「キューブ」は発売から10年、「マーチ」や「ジューク」も8年以上を経過して、古さは否めません。

 こうなると日産のコンパクトカーに乗り替えたい場合、選択肢は軽自動車を除くと実質的にノートしかないのです。ノートのノーマルエンジンに物足りなさを感じるユーザーにとって、ノートe-POWERは「これなら満足できる」と思える貴重な選択肢なのでしょう。

 ハイブリッドは、「普通のエンジンでは物足りない」「いつかはハイブリッドに乗ってみたい」といった理由で売れているのです。

 さらに、ハイブリッド車の購入を後押しする要因のひとつに、残価設定ローンがあります。

 残価設定ローンとは、契約時に数年後の残価(残存価値)を設定して、残りの金額を分割返済するローンです。

 例えば、200万円のクルマを契約して、3年後の残価が新車時の40%だとすれば、自分が使う間に価値の減る60%(120万円分)を3年間で分割返済します。

 ローンの返済期間を終えても車両は自分の所有になりませんが、月々の返済額を抑えられるため、残価設定ローンは人気を高めています。販売店によっては「残価設定ローンの利用率が50%以上」という話も聞きます。

 そして販売店のスタッフは、残価設定ローンについて次のように説明します。

「残価設定ローンでは、残価を除いた金額しか返済しないために、グレードを上級化しても月々の返済額があまり変わりません。そのために価格の高いハイブリッドを選ぶお客様も多いです。

 またノーマルエンジンは3年後の残価率が45%でも、ハイブリッドならリセールバリューが高く50%に増えることがあります。このように残価設定ローンの普及も、ハイブリッドの人気を高めています」

※ ※ ※

 ハイブリッド車は、環境意識の向上、乗り替えサイクルの長期化、さらに残価設定ローンの普及まで、いまのさまざまなトレンドを反映させて、人気を高めているのです。

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