今回は、第37回(2016―17年)と第38回(2017―18年)の日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)を振り返ります。
第37回は、最終的にSUBARUインプレッサが受賞しました。スバルにとってはレガシィ以来ひさびさの2回目の栄冠となります。この年は早くからインプレッサとトヨタ・プリウスの一騎打ちという様相を呈していて、筆者もどちらも高く評価していましたが、もちろん10点にできるのは1台だけなので、本当に最後の最後まで悩みました。
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両車のプラットフォームであるSGPとTNGA、どちらもすべてを刷新して、クルマ自体の完成度もかなり高まっていた点でも共通します。プリウスは奇抜なデザインが物議をかもしたことを思い出されますが、筆者にとってはむしろ斬新でカッコイイと感じられたほどでしたけどね(笑)。
そして考え抜いた末に10点を投じたのは、インプレッサでした。スバルが新たな一歩を踏み出したことを強く印象づける仕上がりで、そのパワーが若干プリウスを上回っていたように感じられたからです。当時としては、このクラスであの質感を実現していたことにも感心したものです。
ただし、数字としては10点と6点ですが、それは投票レギュレーション(※)を踏まえてのやむを得ないもので、気持ちの中での差はもっとずっと小さかったことをお伝えしておきたいと思います。
この年のインポートカー・オブ・ザ・イヤーは、アウディA4が順当に受賞したのですが、注目すべきポイントは、わずか4点差でボルボXC90が続いたことです。このときはダークホース的な存在でしたが、翌年からボルボはさらに躍進します。
翌年の第38回、ボルボXC60が輸入車で2回目の快挙となるCOTY受賞をなしとげました。この年は非常に点数が割れ、発表会の場でも誰が勝つのか読めない緊迫した状況でした。そんな中でだんだんアタマひとつ抜け出てきたのがXC60でした。
294点のXC60以下、BMW5シリーズが242点、トヨタ・カムリが232点、スズキ・スイフトは210点と4台が200点以上という混戦ぶりで、ホンダN-BOXも189点と高い点数を獲得しました。
筆者は正直なところ、この年はいつもと逆で、10点を投じるべきクルマを選ぶのに悩んだという感じでした。最終的にN-BOXに10点を投じたのですが、それはもし軽自動車で初めてCOTY受賞車になるとしたら、N-BOXこそふさわしいと感じたからです。
まだ初代の売れ行きが好調だったのに、さらによいものができたので少しでも早くユーザーに提供しようと市場に投入された新型の内容が、軽自動車としては望外にハイレベルだったことに感心し、当時はかなり衝撃を受けた記憶があります。
XC60についても、ボルボに期待される安全性へのこだわりはもちろん、エレガントなデザインや優れた走行性能を評価して配点しました。他の選考委員の配点を見ると、XC60は10点評価は少ないものの、まんべんなく多くの選考委員から点を集めて、合計すると大きな数字になったという印象でした。
実際のクルマもまさしくそんな感じで、多くの人にとって印象に残る何かを持っているクルマであることには違いありません。さらに翌年もボルボが2年連続で偉業をなしとげたことは、多くの読者の方々もご存じのことでしょう。
COTYの投票方法
※最終選考は持ち点配分法によって行われ、各選考委員が25点の持ち点を対象車10車(10ベスト)のうち5車に配点する(1台は必ず10点にする)ことが定められている。
おかもとこういちろう/1968年 富山県生まれ。1970年代前半の幼少期を横浜で過ごし、その頃からクルマに目覚め、小学1年生で街を走るクルマの車名をすべて言い当てるほどになる。学習院大学卒業後、自動車情報ビデオマガジンの企画制作や自動車専門誌の編集に携わったのちフリーランスへ。2004年、AJAJ会員入り。2008年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
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