新しいカテゴリーの創造を目指すホンダの新型モビリティ
ホンダは、2025年9月24日に新型の移動用小型車「UNI-ONE」の事業化を決定し、日本国内の法人向けに発売します。
【画像】未来的な姿が魅力的!! 免許不要で乗れるホンダの新型移動用小型車「UNI-ONE」を画像で見る
ホンダの二足歩行ロボット「ASIMO(アシモ)」などのロボティクス研究で培った技術と、二輪、四輪の開発で得たノウハウを活かして開発されたUNI-ONEは、全方位工動車輪機構の車輪座ったまま体重移動するだけで歩行するように安定して移動でき、両手が自由に使える着座型のパーソナルモビリティ(モビリティロボット)です。
ホンダは「U3-X(ユースリーエックス)」(2009年)、「UNI-CUB(ユニカブ)」(2012年)など人と協調する独自のモビリティを開発してきましたが、その流れを組む車両として2022年に登場したUNI-ONEは、「移動」ではなく「目的地で利用するモビリティ」を想定した新しいカテゴリーの創造を目指すモデルです。
移動の負荷を軽減することにより、足腰の負担への不安から外出を控えていた人の外出を後押し、「自由な移動の喜び」に貢献することを目指すUNI-ONEは、約2時間の充電で約3時間(10kmに相当)の航続が可能。
車体後部に交換式のバッテリーを採用し、乗員最大重量は110kg、時速6km(4.5 km、3 km、1.5kmに切り替え可)、シート高の調整機能も備え、濡れた路面や水たまりを通ることも出来ます。
今回の発表に際し、9月8日に行われたメディア向け発表会で登壇した新規事業開発部 UNI-ONE事業ドメイン 事業責任者 中原大輔さん、開発責任者の小橋慎一郎さんは同モデルについて次のようにコメントしています。
■新規事業開発部 UNI-ONE事業ドメイン 事業責任者 中原大輔さん
「ホンダは地上から空、そして宇宙へと、様々な多様なモビリティにチャレンジしております。
そんな中、UNI-ONEはより人に身近なモビリティとして、自由な移動の実現に挑戦してきました。ホンダの持つ4輪2輪のモーター技術やバッテリー技術に加えASIMO開発で培った、高度な制御技術を融合した確信的な製品となっております。
人の可能性を拡張するホンダのロボティクスの、最初の製品となるのがUNI-ONEです。UNI-ONEは歩行者と共存するポニーのような相棒となるロボットを作りたいと思い開発されたものです。
UNI-ONEは乗る人の動きからその意図を汲み取り、自然な動きで反応を伝える、乗る人とロボットがループで繋がっているというコンセプトです。
自分で動こうとする力こそ人が生きる原動力になる。それこそがUNI-ONEの価値だと信じています。
今までできなかったことが、UNI-ONEのテクノロジーによって、できることによって生活の可能性を広げていきたい。UNI-ONEを通し家族や友人との外交遣いを増やし、社会参加の促進に繋げたいとおもっております」。
■UNI-ONE開発責任者 小橋慎一郎さん
「UNI-ONEを開発した目的は、自分の思いで自由に移動する喜びを提供することです。
そしてもう1つは、UNI-ONEを目的地で使ってもらいたいという思いです。
ホンダは、2輪、4輪を通して目的地までの安全で快適な移動を提供してきましたが、行先の目的地で乗れるモビリティはまだご提案できていない気づきまして、実はそこには課題があります。行った先で非常に長く歩くことが想定されると、そもそも外出自体を諦めてしまう。そんな声を、このUNI-ONEで解決していきたいという思いです。
UNI-ONEの特徴を3つご紹介いたします。
1つはコアの技術、座ったまま体重移動だけで全方位に移動可能ということで、ハンドル操作やジョイスティック操作など一切不要です。これによって、自転車にまだ乗れない小さなお子様も、それから免許返納した高齢者でも、UNI-ONEなら自由な移動を実現できます。
そして2つ目は、目的地で使うということは、人混みの中で歩行者と共存ができないといけません。
車もそうですが、通常のモビリティは、センサーをつけて人を“避ける”という設計思想です。そうすると、人混みの中ではセンサーが働いて全く動けなくなってしまいます。
そこであえてUNI-ONEは、逆転の発想で人とぶつかっても安全な設計思想で作って、あえてセンサーをつけておりません。それによって、人混みの中でも自由な移動を実現、実証しております。
そして3つ目は島国、日本での課題となる坂道に対応する技術です。
UNI-ONEは、傾斜がかっていても平坦と同じようにバランスを取ります。これによって、坂道の途中でのUターンみたいなのも安心してできますし、下り坂に関しましてはスピードが出ることなく、非常に安定した形で下ることができます。これは、他のモビリティないUNI-ONEの差別化要素の1つかなという風に思っております。
UNI-ONEは、自転車のように人より早く移動することはできませんが、目的地の中で人と一緒に、会話しながら、もしくは手をつなぎながら、そういった移動をしながら、歩行の疲労度を削減できる、軽減できる。これが価値でございます。実際我々の実証では、70%の疲労低減を確認しております。
そしてさらに、UNI-ONEのバランス技術によって、映像酔いしづらいというこの利点を活かしまして、ARと組み合わせたような新しい体験ができます。ARをかけることで水中の中を移動しているような、デジタルの移動も提供ができます。
このようにUNI-ONEとしましては、テーマパークや観光地、ショッピングモールやアウトレットモール、こういった目的地で動く歩道の代わりとなる自由な移動を提供する、インフラモビリティロボットとして、販売を開始いたします。
施設の中で働いている方の中には、1日2万歩、3万歩とかなり、足に負担のかかる作業をされている方もいます。こういった方々に両手が使えるということを特徴に持つUNI-ONEを使ってもらうことで業務効率の向上も実際に実証しております。
このように、UNI-ONEのターゲットとしては目的地になりうる施設への導入で、価値としましては移動の疲労の軽減、それから、スタッフの業務効率の向上、そして車椅子の方がこちらに乗り換えることによって両手が使えるようになりますので、今までできなかった仕事ができるようになる、そういった就労支援、それからARのような最先端な技術の導入による他施設との差別化という形で、施設の価値向上に貢献できると考えております。
事業方針としては、個人販売はせずに目的地である施設の方に、法人販売を限定とさせていただきます。単なる、移動だけを提供するのではなく、そこの、施設、導入施設様が持っているコンテンツや、DXを連携した形でより快適な移動を一緒に提供していきたいと思っております」。
※ ※ ※
2022年に開発段階のモデルに乗ったことのある筆者(バイクのニュース編集部員)ですが、当時の車両は試作段階ということもあり、車両の着地時の荒っぽさや操作性に若干の複雑さがありましたが、市販車はそうした要素も解消され、起動もスマートフォンのロック解除のような簡単な操作で出来るよう改善されていました。
また、開発者の小橋さんに自身の体験を踏まえて質問したところ、やはり試作車の段階では色々と不満に思うことや問題もあったとのことで、すべてを作り直したと話してくれました。その操作性は “漕がなくていい一輪車”といった感覚で、目線を行きたい先に向け、上半身を前後左右に傾斜させると自然に動いてくれます。
なお、UNI-ONEは交換式バッテリーに加え、メンテナンスや保険をパッケージとした「サービス契約」の形式で販売され、3年契約10台未満の場合は12万円(以下:月額料金/1台、消費税込)、10台以上の場合は10万円、6年契約10台未満の場合は9万円、10台以上の場合は8万円となっているほか、短期レンタルサービス」UNI-ONE1台、バッテリー2個、充電器、保険)」を、1日当たり5万5000円で提供、年間200台で5年、トータル1000台を販売予定です。(バイクのニュース編集部)
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