■なぜカローラはいまだにシリーズ戦略を続けるのか
トヨタを代表するグローバルモデルとなる「カローラ」ですが、2021年3月時点で5つのモデルを設定しています。
かつての国産モデルではボディタイプ毎に派生車を設定していましたが、現在では珍しいケースです。なぜカローラはいまだに派生シリーズを展開しているのでしょうか。
SUV風トヨタ「カローラ」発表! 新型「カローラトレック」は車高アップで走破性向上
カローラの歴史が始まったのは、初代モデルが登場した1966年からです。
国内市場では1969年から2002年までの33年間連続で1位を獲得。その後も、2003年から2007年の間で1位になるなどトヨタの看板車種として君臨。その結果、2019年には累計生産台数(海外含む)は4750万台を突破しました。
歴代カローラは、異なるボディタイプとしてセダン、クーペ、ハードトップ、リフトバック、ハッチバック、ステーションワゴン、バンなどさまざまな派生モデルを設定しています。
かつての国産車では、トヨタ以外でもセダンをベースにした派生モデルが設定される傾向が続きましたが、2000年以降は単一のモデル名を付けて販売されることが増えていきます。
現行となる12代目カローラシリーズは、2018年に「カローラスポーツ(ハッチバック)」、2019年に「カローラ(セダン)」、「カローラツーリング(ステーションワゴン)」が国内で販売されています。
なお、11代目カローラシリーズとなる「カローラアクシオ(セダン)」、「カローラフィールダー(ステーションワゴン)」は主にビジネスユーザー向けに継続販売されているため、2021年3月時点では5モデルをラインナップ。
カローラシリーズについて、トヨタの販売店スタッフは以下のように話します。
「全体的に現在ではツーリングが販売の半数近くを占めていると聞きます。
実際のお客さまからの反響としても、ツーリングはラゲッジルームの広さなど使い勝手面で支持されています。
残りの半数は、セダンとスポーツが均等に分け合っている状況で、セダンはご年配の人が多い傾向です。
スポーツを選ぶ人は、走りにこだわった人が多いです。ほかのタイプに比べ全幅が広く設定されているので、走りに安定感があります。
アクシオとフィールダーは、ビジネスユーザー向けという形で残っていますが、企業からの受注では新型のセダンとツーリングのベースグレードを検討されることが多いです」
※ ※ ※
なお、旧型となるアクシオとカローラが残る理由として、トヨタは「設定グレードや一部の装備を見直し、引き続き販売することで、法人のお客さまを含めた幅広いニーズにも対応するため」と説明しています。
昨今、自動車メーカーは「選択と集中」という流れに乗り、国や地域の市場によって、ボディタイプ毎のモデルのラインナップを整理しています。
とくに、最近ではセダンの低迷とSUVの好調により、各社セダンのラインナップが減る一方でSUVのラインナップを増やしている傾向です。
前述のトヨタでもセダンの「マークX」(2019年)、「プレミオ/アリオン」(2021年3月末)に生産終了となる一方で、SUVの「ライズ(2019年)」「ヤリスクロス(2020年)」と新規SUVが登場しました(トヨタはこれ以外にも車種整理をおこなっている)。
しかし、カローラシリーズに関しては作り上げたカローラブランドと多様なニーズにより細分化させることが販売戦略として重要な部分になっているようです。
そして、SUV需要とカローラの販売戦略により、2021年秋頃に日本市場における新たなSUVとなる「カローラクロス」が登場するといわれています。
現実的に発売されれば、国内カローラシリーズの6番目となり、ますますカローラブランドが強固なものとなりそうです。
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みんなのコメント
少し前に、カローラハッチバックからカローラを外してオーリスにしたけど、結局は「カローラ何たら」に戻した。
逆に、なぜ日産はジュークのようにせっかく育てた車名を捨てたり、ノート名でモデル展開しないのだろう。もったいなーい。