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なぜ「背の低いミニバン」絶滅? かつては定番ジャンルも今は「背の高いミニバン」ばかり… 需要の変化で何が起きたのか

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なぜ「背の低いミニバン」絶滅? かつては定番ジャンルも今は「背の高いミニバン」ばかり… 需要の変化で何が起きたのか

■そういえばあったね… 「背の低いミニバン」なぜ絶滅?

 ミニバンと言えば、基本的に背が高くスクエアボディに3列シートを設定するモデルですが、かつては背が低いワゴンボディも存在しました。
 
 なぜ最近ではそうした背の低いミニバンは姿を消してしまったのでしょうか。

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 現在ミニバンと言えば、「高い全高/スクエアボディ/3列シート/スライドドア」を備えるというスタイルで多積載&多人数乗車を特徴とするモデルです。

 日本ではミニバンジャンルとして1990年代にトヨタ「エスティマ」やホンダ「オデッセイ」が登場したことから確立されました。

 その後、現在でも2022年にミドルクラスにおいてトヨタ「ノア/ヴォクシー」、ホンダ「ステップワゴン」、日産「セレナ」がそれぞれフルモデルチェンジ。

 さらに2023年にはラージクラスのトヨタ「アルファード/ヴェルファイア」のフルモデルチェンジ、レクサス「LM」の日本投入、ホンダ「オデッセイ」の日本復活と、ミニバンの話題は事欠きません。

 これらのミニバンは、前述の特徴を備えたミニバンですが、かつては「低い全高/ワゴンボディ/3列シート/ヒンジドア」というミニバンも国産メーカー各社から登場していました。

 例えば、トヨタ「イプサム」や「ウィッシュ」「パッソセッテ」「プリウスα」「マークX ZiO」 、ホンダ「ストリーム」「ジェイド」、日産「ラフェスタ」「バサラ」、スバル「トラヴィック」「エクシーガ」、三菱「グランディス」、マツダ「プレマシー」といったモデルが挙げられます。

 中でも最も後発で2015年2月に販売されたジェイドは、スポーティなステーションワゴンのスタイルでありながら、3列シート/6人乗りのミニバンとして新たなジャンルを切り開いたモデルです。

 その後、2018年5月のマイナーチェンジでは2列シート車を追加しており、追加した理由について当時のホンダは、「ジェイドのクラスは一定規模の需要があり、走りやデザインの激戦区であるステーションワゴン市場にホンダらしいスポーティなモデルとして2列仕様を投入することを決めました」と説明しています。

 しかし、2列シート車を追加した約2年後の2020年7月に、ホンダはジェイドの生産終了を公表。

 その翌2021年3月にはプリウスαが10年の歴史に幕を下ろしています。

 そして2023年現在では、プリウスα以降に背の低いヒンジドアのミニバンは姿を表していませんが、なぜなのでしょうか。

 国産メーカーAの担当者は次のように話します。

「現在の新車市場での売れ筋は、大きくいくつかのタイプに分けられます。

 ひとつは、ボディサイズが小さく扱い易い軽自動車やコンパクトカー。

 もうひとつは、背が高く居住性もそれなりにあるうえにアクティビティにも向いているSUVで最近では3列シートを備えるものもあります。

 そして、背が高く室内空間が広いスライドドアを備えた3列シートを備えたミニバンです。

 こうした中で、背の低いミニバンは『丁度良い』ように思えますが、逆に言えば中途半端な存在とも言えます。

 居住性では背の高いミニバンに劣りますし、扱い易さでは軽自動車やコンパクトカーに劣ります。

 またかつて背の高いミニバンが支持された要因として『人と荷物が積める上に走りも良い』というものもありました。

 しかし、最近ではクルマの性能自体も良くなったほか、SUVという万能タイプが定番化したこともあり、背の低いミニバンは中々需要が見込めないといった状態で、この先新たに出てくる可能性は低いと思います」

※ ※ ※

 かつては「低い全高/ワゴンボディ/3列シート/ヒンジドア」という特徴を持つミニバンが各メーカーから数多く展開されていました。

 しかし最近では「高い全高/スクエアボディ/3列シート/スライドドア」を備えるというスタイルが定番化したことで、背の低いミニバンは姿を消したままです。

 では今のユーザーはミニバンに何を求めているのでしょうか。

■いまのユーザーは「ミニバン」に何を求めているのか?

 2023年7月現在、国産メーカーがラインナップするミニバンは下記の通りです。

 ●トヨタ
 ・シエンタ
 ・ノア/ヴォクシー
 ・アルファード/ヴェルファイア
 ・グランエース
 ・ハイエースワゴン

 ●日産
 ・セレナ
 ・エルグランド
 ・キャラバン
 ・NV200バネット

 ●ホンダ
 ・フリード
 ・ステップワゴン

 ●三菱
 ・デリカD:5
 
 ●スズキ
 ・ランディ

 こうしたラインナップの中で、実際に国産ディーラーの担当者は昨今のユーザー事情について、次のように話しています。

「最近のユーザーがミニバンに求めるものは『居住性(積載性)』が大きいと思います。

 また乗り心地も向上していますので、昔ほど背が高いデメリットは感じられないことや、スクエアボディゆえに運転がし易いという声もあります」

 また別メーカーのディーラー担当者は「ミニバンでなくワゴン(2列シート車)を選ぶ人は、そのクルマが好きという理由以外の場合、駐車場の高さ制限によって選んでいることが多い」と話しています。

 またトヨタのラージクラスミニバンとなるアルファードは、いまでは「国産高級車の代名詞」と言える存在です。

 実際に最近では、かつてトヨタ「クラウン」に付けられたキャッチフレーズ「いつかはクラウン」ならぬ「いつかはアルファード」という憧れの現象が起きているほどです。

 SNSでも「アルファード欲しい、いつか乗りたい」、「将来はアルファード欲しい」「ヴォクシーの次はアルファードにステップアップしたい」というような声も見られています。

 またその他のミドルクラス以上の国産ミニバンでは内外装をより上質なものに仕立てるなど、かつての多積載&多人数乗車という需要だけではない新たなユーザー層も取り込んでいるようです。

 実際に前出とは別の国産メーカーの担当者は次のように話しています。

「ミニバンはいまや日本だけでなく、アジアなどで高級志向なモデルとしても確立しはじめています。

 またアジアでは、現在も背の低いミニバンも展開しており、都市部/郊外などの需要に応じてそれぞれ売れています」 

※ ※ ※

 日本では今後、背の低いミニバンが新たに登場する可能性は低いようですが、ミニバンジャンル自体は時代に合わせて変化し続けているようです。

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