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【完璧・万能なスーパーカー】ポルシェ911ターボSへ初試乗 992型 650ps獲得 後編

掲載 更新 26
【完璧・万能なスーパーカー】ポルシェ911ターボSへ初試乗 992型 650ps獲得 後編

輝く中心は秀逸のステアリング

text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)

【画像】992型ポルシェ911 991型ターボも 全98枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


最新の992型ポルシェ911ターボS。もはや明確なターボラグは存在しない。アクセルを深く踏み込んだ瞬間、1000rpmから、リミッターのかかる7200rpmまで、桁違いの鋭さで1640kgの911を推し進める。

極めてスムーズで切れの良いトランスミッションが、新しいエンジンの即時的なレスポンスを引き立てている。フラットプレーン・クランクのユニットほど、最新のフラット6は狂気の吹け上がりは見せないものの、ポルシェとしての強い意思が伝わってくる。

特に高回転域でのシャープさが、走りを表すようだ。従来のユニットよりも力強く、気勢を感じる。

もちろんターボSが持つダイナミクスの魅力は、直線加速とスピードだけではない。すべてを輝かせる中心は、秀逸のステアリングにある。

速度感応式の電子制御4輪操舵システムは、素晴らしい滑らかさと反応の良さを兼ね備えている。ステアリングホイールに伝わる重みは、速度域を変わらず一定。近年のターボSでは叶えられなかった、強い一体感を生み出している。

俊敏さを引き上げるため、ポルシェはリアタイヤ側のステアリング動作を見直し、レシオを6%増やした。その結果、シャープでピタリと決まるターンイン特性が得られている。

数多く施されたシャシー周りの改良の中でも、アクティブ・ロール制御システムは目玉といえる。これは、アダプティブダンパーによるポルシェ・アクティブ・サスペンション・マネージメントシステム(PASM)と同調して機能する。

呆れるほど速いが、穏やかさが残る乗り心地

992型のポルシェ911ターボSでは初めて、車高が10mm低いオプションのスポーツサスペンションが用意された。歩道の段差などでフロントの車高を40mm持ち上げる、フロントリフト機能もオプションとして選べる。

このスポーツサスペンションは、波長の長い路面のうねりとも上手に息を合わせ、細かな凹凸や隆起部分に対しても、優れた衝撃吸収性を備えている。先代の991型で見られた、フロントの上下動も見られない。

よほど酷い路面でない限り、ターボSを路面に吸い付くように保ってくれる。サスペンションのメインスプリングに追加された、ヘルパースプリングの採用も効果的に働いているのだろう。

弱点があるとすれば、極めて滑らかな路面以外、常にタイヤから発せられるロードノイズ。特にリアタイヤからのノイズが大きい。

初代911ターボから2倍以上の馬力を獲得している992型のターボS。すべての技術が、即時に生み出される大パワーへのアクセスを可能としている。呆れるほどに速いが、乗り心地には穏やかさすら残っている。

足回りの設定は充分にドライバーに優しい。コンフォート・モードを選んでいれば、充分なしなやかさで長距離ドライブを楽しめる。スポーツとスポーツプラス・モードでも、引き締まるとはいえ、乗り心地はよく調整できている。

完全に引き出すにはサーキットが必要

猛烈な加速や減速を披露するものの、ピッチングやダイビングの抑制は見事。凄まじいグリップ力によって、クルマのパフォーマンスを最大限に引き出せる。高速コーナーへ侵入すれば、白眉の姿勢制御を披露。狙ったラインを確実にキープできる。

最新の4輪駆動システムは、フロント側に軽量で高剛性のドライブシャウトを採用し、ユニバーサルジョイントは1カ所のみへと変更。フロントが255/35で、リアが315/30というサイズの新しいタイヤと組合わさり、巨大なトラクションと接地性を提供している。

この4輪駆動システムは、最大で50.9kg-mものトルクを前輪に分配することも可能。リアタイヤ側には、トルクベクタリング機能も備えている。

かなり後ろよりの重量配分を考えると、すべての設定が見事でしかない。コーナーの進入時から頂点をかすめて、出口で加速するまで、一貫してニュートラルが保たれる。

本気で攻め込んでいくと、安定したアンダーステア状態に落ち着く。高速コーナリング中に期待する通りの仕草だ。

スタビリティコントロールをオフにすると、ある程度の調整しろを与えてくれる。より腕利きのドライバーは、幅員の広いタイトコーナーを探すことだろう。

こただし、タイヤのグリップ力は極めて高い。911ターボSの運動性能を探り、完全に引き出すには、サーキットへ向かう必要がある。

最も完璧で万能なスーパーカー

非常に高い性能という点では、ブレーキも同様。ブレーキペダルの踏み始めから力強く、安心感のある初期制動を発生。そこからペダルを踏み込むほどに、漸進的に制動力が高まっていく。

カーボンセラミック製のディスクで、フロントは直径420mm、リアが390mmもある。キャリパーはフロントが10ポッド、リアが4ポッドとなっている。

新しい992型ポルシェ911ターボSの最大のストロングポイントは、振り幅の大きさ。安楽な走りと、スリリングなドライビングを、1台で楽しむことができる。

サーキット前提の911と比べれば、反応の鋭さという点で、並んでいるわけではない。しかし、ドライバーは一生懸命になることなく、長距離を一気に飲み込むハイパフォーマンスを引き出すことができる。しかも比較的快適に、公道でも許される範囲でも楽しめる。

最新のポルシェ911ターボSは、これまでで最も完璧なスーパーカーだと断言できそうだ。しかも、季節を問わない万能性すら実現させている。やはり最新のポルシェは裏切らなかった。

ポルシェ911ターボS(欧州仕様)のスペック

価格:15万5970ポンド(2154万円)
全長:4535mm
全幅:1900mm
全高:1300mm
最高速度:329km/h
0-100km/h加速:2.6秒
燃費:8.9km/L
CO2排出量:254g/km
乾燥重量:1640kg
パワートレイン:水平対向6気筒3745ccツインターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:650ps/6750rpm
最大トルク:81.4kg-m/2500-4000rpm
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック

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