本気でEVの充電環境を考え自社開発
アウディは、EVの利便性を向上させるために独特なアプローチを行っているブランドだ。
アウディが屋久島で電気自動車e-tronのレンタカーサービスを開始
インポーターのアウディ ジャパンは、現在独自に8kW普通充電器の設置を全国で進めており、6月末時点で103か所202基の設置が完了している。また、急速充電器としては、アウディ、フォルクスワーゲン、ポルシェのBEVオーナーを対象に提供する、最大150kWの急速充電ネットワーク「プレミアム チャージング アライアンス(PCA)」を国内ディーラー網で展開し、さらに都市部のユーザー向け蓄電池型超急速EV充電施設「Audi charging hub(アウディチャージングハブ)」の運営も行うなど、各地のニーズと環境に準じた充電ネットワークの拡充を行っている。
そんなアウディ ジャパンがEVの利便性向上の次なる一手として発表したのが、海辺に設置する電気自動車(EV)用充電器を塩害から守るボックス付き充電器だ。しかもなんと自社開発だというから恐れ入る。
この耐塩害ボックス付き充電器が設置されたのは鹿児島県屋久島の「THE HOTEL YAKUSHIMA Ocean & Forest」というホテルの一角だ。アウディは2023年7月に、屋久島町とアウディ正規ディーラーを運営するファーレン九州の3者間で包括連携協定を結んでおり、その一環で島内の4か所に7基の8kW普通充電器を寄贈している。
そのうちの1か所である「THE HOTEL YAKUSHIMA」には普通充電器が2基設置されているものの、雄大な東シナ海を望む海岸沿いに建つホテルだけに、EV充電器の設置には塩害を防ぐ対策が必要だった。何せ潮風に含まれる塩分は、電気機器を腐食し劣化させてしまう恐れがあり、機器の不具合の原因となりかねないからだ。
そこでアウディ ジャパンは充電器の設置を拡大するだけでなく、各地域の自然と共存できるような設備を整えることが、EVを普及させる上でも大事なことであるとしており、専門家のアドバイスやガイドラインを参照して、自社で「EV充電器用耐塩害ボックス」を開発してしまったのだ。
ボックスには、SUS(304)というニッケルを多く含んだ耐食性に優れたステンレス鋼板が採用されている。また、塩害を防ぐ強力な特殊塗料を塗布し、潮風の塩分から充電器を守る工夫を施している。海岸沿いの屋外駐車場という立地条件から、吹き付ける強風にも耐えられるよう、充電器をアンカーボルトで強固に固定する対策も行っている。
一方で、充電の利便性を損なわないよう、ボックス中央部に開口部を設けて充電ケーブルを通し、ボックスの扉を閉めたままでの充電を可能にしている。開口部にはブラシを付けることで、充電時のケーブルの動きにも対応できるよう工夫がされている。
同ホテルでは、先の包括連携協定の一環として、アウディの電気自動車「e-tron」のレンタカーサービスを運営しており、今回耐塩害ボックス付き充電器を設置したことで、屋久島での電気自動車の利便性のさらなる向上が期待できるとしている。
アウディ ジャパンはEVを販売するだけでなく、購入後の利便性や常日頃目にする細部のディテールにまで気を配り、地域性や環境を考慮したブランディングがなされている。それはまさに「ブランドは1日にして成らず」を地で行く地道な活動だ。
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