■マイナーチェンジでガラッと印象を変えたクルマたち
ほとんどのクルマは新型がデビューすると数年でマイナーチェンジを行ないます。理由としては時間が経つにつれて失われてしまう、商品力をアップさせるためということが多いでしょう。
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昔はフルモデルチェンジの周期は4年ほどで、マイナーチェンジは2年というのが定番でした。現在は新車が出ると10年近く売るのが珍しくないので、何度もマイナーチェンジを行なうこともあります。
ひとくちに「マイナーチェンジ」といっても種類はいくつかあります。通常マイナーチェンジで行われる内容は、安全装備の追加などメカニズムに関わる変更、サスペンション設定やエンジンコントロールの改善、カラーリングの追加や変更などにとどまります。
しかし、フルモデルチェンジではないものの「フェイスリフト」とも呼ばれるように大幅な外観デザインの変更や、エンジンやトランスミッションの更新など大規模な変更が行われる、通称「ビッグマイナーチェンジ」や、もっと細かな変更が毎年のように行なわれる「年次改良」といわれるものもあります。
そこで、フルモデルチェンジではなく、マイナーチェンジでガラッと印象を変えた国産車のなかから、5車種をピックアップして紹介します。
●トヨタ「プリウス」
現行のトヨタ「プリウス」は4代目として2015年に発売されました。先代からボディサイズを大きくしたにも関わらず、燃費も向上させるなど、トヨタとしては自信作だったはずです。
ところが、販売台数は先代までの勢いがなく失速感は否めませんでした。とくに北米の評価で顕著だったのがデザインについてです。
デザインの意匠を変更し、後に発売された「プリウスPHV」がおおむね好評だったこともあり、余計に「プリウス」のデザインが酷評されてしまいました。
そこで、2018年12月、ついに前後のデザインを変更することになり、ロサンゼルスモーターショーで発表されました。
これまで縦基調だったヘッドライトとテールライトを横基調に変更し、それに伴いバンパーなども改修され、大きく印象を変えています。
現時点(2019年1月)では、まだ本格的なデリバリーが始まっていないため不明ですが、販売台数がどうなるか注目です。
●三菱「デリカD:5」
三菱「デリカD:5」のデビューは2007年で、じつに10年以上ものロングセラーなモデルとなっています。
ミニバンでありながら本格的な4WDシステムを搭載し、優れた悪路走破性を実現。後にクリーンディーゼルエンジンが追加されるなど、唯一無二のミニバンSUVとして、アウトドア好きのファミリー層に絶大な人気を誇っていました。
しかし、一般のユーザーからは日産「セレナ」やトヨタ「ノア」3兄弟や、「アルファード/ヴェルファイア」の方が、使い勝手やデザインなどトータルで人気があるのが実情です。
そこで「デリカD:5」は2018年11月に大規模なデザイン変更が行なわれるに至りました。これまでのオフロードをイメージするようなアクティブな印象から、都会的な重厚感をもたせたデザインに。
評価は賛否両論あるようですが、従来型(ガソリン車のみ)も併売されるので、選択肢は残されています。
■本当にマイナーチェンジ? と思わせた「プロボックス/サクシード」
●トヨタ「プロボックス/サクシード」
トヨタを代表するビジネスバンといえば「ハイエース」と「プロボックス/サクシード」ですがどちらも10年を軽くオーバーするロングセラーです。もともと商用車は新型が出ると長く売るのが一般的で、細かな改良は2年から3年ごとに行なわれています。
しかし、2014年に「プロボックス/サクシード」はマイナーチェンジとは思えないほどの変更を受けることになりました。
まず、先代まで「プロボックス/サクシード」は前後のデザインと、内装、積載量、全長が異なっていましたが、マイナーチェンジを期にエンブレム以外統一されます。
そして、フロントのデザインと内装のデザインは完全に変更されました。内装は先代以上に使う人に寄り添うアイデアが盛り込まれています。衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全装備も搭載されています。
また、2018年8月にはハイブリッド車もライナップに加わりました。
2002年に発売され17年も経ちますが、マイナーチェンジを受けたことでまだまだ現役を続行することになりそうです。
●スバル「インプレッサ」
スバル「インプレッサ」というとラリーに代表されるモータースポーツでの活躍で、走りを重視するユーザーに絶大な人気を誇ったモデルです。
現在販売されている「インプレッサG4/スポーツ」は、かつてのポジションを「WRX」に譲り、オーソドックスなセダン、ワゴンとなっています。
その「インプレッサ」ですが、これまで高性能版である「WRX/WRX STi」グレードのアップデートと併せて、大規模な改修を行なった歴史があります。
とくに顕著だったのが2000年から2007年まで販売されていた第二世代です。
2000年のデビュー時は円形のヘッドライト(通称:丸目)でしたが、2002年には横長型(通称:涙目)、2005年につり上がった精悍な印象(通称:鷹目)へと、変化しました。
これだけ短期間に変更を繰り返したのは、やはりデザインが不評だったということがあったようです。
なお、ヘッドライトの形状変更は、ボンネットやフロントフェンダーの造形にも影響がありますので、コストも相当かかっていたと思います。
■販売台数の少ないモデルでもテコ入れ
●日産「フーガ」
現行モデルの日産「フーガ」は2代目で、2009年に発売され今年でもう10年経ちます。
メイングレードは3.7リッターV6エンジンと、3.5リッターV6エンジンをベースとしたハイブリッドのモデルで、日産のフラッグシップカー「シーマ」のベースにもなっています。
デビューから6年経った2015年にマイナーチェンジが行われることになったのですが、この時に日産は公式に「ビッグマイナーチェンジ」とアナウンスしています。
外観ではフロントとリアのデザインが大きく変わり、押出しの強さが増しています。これにあわせてエンブレムを「日産」から「インフィニティ」に変更されました。
メカニズム的には先進安全装備の機能が大幅に向上しています。
ライバルの「クラウン」に対して販売台数がかなり少ない「フーガ」が、これほどの変更を行なったのはなぜでしょうか。
高級車として線が細かったということがあったと思いますが、おそらく主戦場である北米からのリクエストも強かったのでしょう。
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