ついにスバル初となるEVの新型SUV「ソルテラ」が、そのベールを脱いだ。共同開発車となるソルテラは、トヨタのbZ4Xと主要コンポーネンツを共用。いわゆる兄弟車的な関係ともいえる。
しかし、スバルとトヨタはそれぞれ異なるユーザーを抱えている、ということを前提に考えるなら、ソルテラとbZ4Xに違いがあるのは必然。では、両車の個性を決定づける違いは何なのか? 都内某所、新型ソルテラのお披露目会場で、その謎を探った。
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文/諸星陽一、撮影/中里慎一郎
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■スバル ソルテラとトヨタ bZ4Xの違いを端的に表したパーツとは?
2022年発売予定のスバル ソルテラ。ひと足先に発表されたbZ4Xと兄弟関係にある、スバル初の電気自動車だ
スバルが2022年に日本で発売する初の電気自動車ソルテラを発表した。トヨタのbZ4Xと兄弟関係にあるモデルである。まずはこの2車のこれまでの動きを簡単にまとめてみた。
●2019年6月/トヨタとスバルが中型・大型EVの共同開発を発表。電動化技術はトヨタのもの、AWD技術はスバルものを採用。EV専用プラットフォームをベースに、CセグメントのSUVを共同開発、両社ブランドで発売。
●2020年1月/スバルは技術ミーティングにおいて、EVのデザインスタディを公開
●2020年12月/トヨタがEV専用のプラットフォームとして「e-TNGA」を発表。
●2021年4月/トヨタが電動車のフルラインアップ化を推進することを発表。2025年までにEVを15車種、うち新EVとしてトヨタbZシリーズを7車種導入。第一弾であるbZ4Xはスバルと共同開発し2022年央までに順次グローバルで発売と発表。
●2021年10月/トヨタがbZ4Xの詳細を発表。
●2021年11月/スバルがソルテラをワールドプレミア。
流れとしてはクルマを共同開発することを同時に発表しつつも、トヨタのほうが少し先に進んで発表をおこなっているように感じる。トヨタとスバル、どちらかの主導で開発を進めたわけではないというが、組み立て工場はトヨタであることを見ても、トヨタにウェイトがあるように感じる。
ソルテラ発表会のスピーチのなかでもスバルのエンジニアが発した「トヨタに出向し」という表現が何度となく耳に入った。
とはいえ、トヨタとスバルのエンジニアは「仲良くケンカして作る」ということを掲げていたというのだから、お互いに忌憚のない意見を交わしながら作られたクルマであることは確かだろう。
そして、両車はバッジエンジニアリング的なクルマではなく、それぞれに異なる個性が与えられていることも強調されていた。
もっとも目立つ部分で異なるのが、ステアリングだろう。bZ4Xには丸形ステアリングを備えた一般的な(つまりステアリングホイールとステアリング機構が物理的に接続されている)ステアリングのほかに、物理的には接続されないバイワイヤー方式のステアリングが用意される。
バイワイヤー方式のステアリングの場合、丸形ステアリングホイールではなく“B”の字を時計回りに90度回転させたような形状の操縦桿の形状となるが、現時点ではスバルは一般的な丸形ステアリングのみを用意している。
スバルはバイワイヤー方式を否定しているわけではなく、現時点ではSUVということを重要視して丸形ハンドルにしたとのこと。この発言は、もっとオンロードよりのクルマになるとバイワイヤー方式が採用される可能性があるというようにも取れる。
■ソルテラにみるBRZとGR86的な「味」の違い
EVの象徴であるグリルレスデザインを踏襲
次に注目したいのがデザインだ。bZ4X、ソルテラともにフロントデザインはグリルレスとしている。エンジンモデルのグリルが巨大化しているなか、グリルレスデザインは斬新さがあるとともに、EVであることを主張しやすいデザインである。
全体のシルエットは似ている両車だが、ソルテラはスバル車のグリルに使われているものと同じ六角形をモチーフとしたアクセントが与えられた、またヘッドライトにはスバル車のアイデンティティとなっているCシェイプのデイタイムランニングライトを採用。
bZ4Xとはずいぶんと異なる印象で、スバルらしさをしっかりとアピールしている。
走りにどれくらいの違いがあるか? を技術者に聞くと「パワートレインなどはbZ4Xと同じ設定なものの、足まわりのセッティングを大きく変えている」とのこと。その手法はトヨタ GR86とスバル BRZの違いとも共通性があるという。
BRZはまずは安心感と安定感をねらう足まわりセッティングであったので、今回のソルテラも似たような思想でのセッティングが施されているのだろう。ソルテラにはステアリングパドルが取り付けられ、回生ブレーキの効き具合を調整できるようになっている。
また走行モードの切り替えでワンペダル走行も可能にしたという。ただし、完全停止までをワンペダルでできるという方式ではなく、最終的に完全停止するためにはブレーキペダルを操作する必要があるという。
■肝となる4WDは電動でもスバル流
流行の左右を直線的に繋ぐリアランプデザイン。給電口は前部フェンダーの上にある
AWD(4WD)の制御について両車に違いはないが、そのセッティングの多くはスバルが担当している。
スバルはガソリン車の時代から4輪の駆動トルクとブレーキ独立制御を積極的に行い高い安定性を確保してきたが、電動化されたことでその制御をさらに細かくできるようになり、求めていた性能に限りなく近づくことができたという。
たとえば、パワーユニットの出力を増減させる場合も、エンジンでは遅れが生じるもののEVではリニアな増減が可能で、理想の制御を可能としているとのことで、モーター制御はスバルと親和性が高いとのこと。
スバルのディーラー数を考えると充電インフラなどには不安が残るが、それはスバルも充分に承知している。ソルテラはもちろん日本でも販売されるモデルなのだが、そのメインマーケットは北米となる。
北米のなかでも西海外を中心とした地域がおもなマーケットで、戸建ての自宅に普通充電器を備えている家庭が多いとのことで、日本とはちょっと事情が異なるようだ。北米のスバルユーザーはEVに興味を持つ人が多く、販売については自信のある様子であった。
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みんなのコメント
年間1000台いかんのちゃうかw
大好きな中国メーカーの格安EVという選択肢が増えるのが電動化の良いところですね。