現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 青森‐函館だけじゃない 本州最北端へ向かう津軽海峡フェリーに乗ってみた レア便だけど由緒あり!

ここから本文です

青森‐函館だけじゃない 本州最北端へ向かう津軽海峡フェリーに乗ってみた レア便だけど由緒あり!

掲載 15
青森‐函館だけじゃない 本州最北端へ向かう津軽海峡フェリーに乗ってみた レア便だけど由緒あり!

100年近い歴史を持つ大間航路

 本州最北端・下北半島の先端に位置する青森県の大間と、北海道の函館を結ぶ大間航路。現在は津軽海峡フェリーにより運航されていますが、実は100年近い歴史を持ちます。同区間に定期航路が開設されたのは1929(昭和4)年まで遡るのです。

新幹線グリーン車のような座席(写真)

 太平洋戦争などもあっていったんは廃止されたものの、1951(昭和26)年に道南海運(津軽海峡フェリーの前々身)が函館~大間~佐井間の定期航路について国から認可を得ます。なお、実現まで時間を擁し、その間の1962(昭和37)年、道南海運の社長がヨーロッパを視察して、ドーバー海峡のカーフェリーをヒントに、日本初の外洋カーフェリー「大函丸」(初代)を就航させました。

 当初は大間港の設備制限もあり、「大函丸」は総トン数451t、大型トラック8台または大型バス6台の航送能力を備え、旅客定員256名という能力でした。大間~函館間には1時間40分を要しました。

 大間航路の需要は増え続け、1971(昭和46)年には深夜便を含む1日15往復が運航されました。この時期には5隻の船舶が投入されて、国道279号の海上道路にも指定されたほどです。

 その後、航路利用客は減少を始め、2010年代には存続が危ぶまれる事態となりました。青森県と大間町、津軽海峡フェリーは協議を行い、大間町が新造船を建造し、運航は津軽海峡フェリーが担う、赤字が出た場合でも大間町が補助し、青森県が新造船の建造費の一部や大間港の改修費用を負担するということで合意し現在に至ります。

初代を襲名した2代 速力もアップ!

「大函丸」(2代目)は、初代の船名を受け継いで2013(平成25)年に就役しました。総トン数1912tは初代の4倍。8tトラック21台および乗用車3台、または乗用車60台という搭載能力は実に3倍です。

 航海速力も13ノット(約24km/h)から18ノット(約33.3km/h)へ増えたため、大間~函館間の所要は1時間30分に短縮されました。

 2025年3月の土曜日、筆者(安藤昌季:乗りものライター)は函館港フェリーターミナルを訪れました。五稜郭駅から向かおうとしたのですが、駅と五稜郭バス停はかなり離れており、徒歩乗船する場合はJR函館駅から出ているシャトルバスに乗る方がよさそうです。

 午前9時30分発の大間行き「大函丸」に徒歩乗船するのは30人ほどでした。この日は1番のりばに「大函丸」が到着し、船尾が開くとクルマが吐き出されていきました。徒歩客が乗船できるのは9時15分からで、筆者が船尾から乗船すると、先に乗りこんだクルマ利用の乗客がすでに寛いでいました。

 エスカレーターを上がると、右手と正面奥にフリースペースが見えます。近づくとマグロの形をした巨大テーブルがあり、マグロで有名な大間に行く船を感じさせます。そこからはバリアフリールームの椅子席が見えますが、当日は車いす利用客がいなかったからか、閉鎖されていました。

「ファーストシート」は昔の新幹線グリーン車のよう

 一般の椅子席は2クラスあり、ひとつは特急普通車のような「カジュアルシート」と、もうひとつは昔の新幹線グリーン車のような「ファーストシート」です。筆者は「ファーストシート」を予約。100系新幹線や300系新幹線を思わせる重厚な座り心地の座席で、ひじ掛け内部にはインアームテーブル、ほかにも引き出し式のレッグレストや毛布も備わっていました。

 船体中央部には売店と、レセプションと呼ばれるロビーがあり、その周辺には自動販売機が置かれていました。

 自動ドアで区切られた船体後部は、「スタンダード」と呼ばれるカーペット席です。旅客が思い思いにゴロゴロしつつ、テレビを見たりしていました。ちなみに階段を上がった場所にも「スタンダード」が設置されています。

 先述の通り航行時間は1時間半ほどですが、船内はなかなか充実しています。階段を上れば展望デッキへも出られますが、座席が快適だからか、休息を取っている人が大半でした。「ファーストシート」には8人、そのほかのシートを合わせると乗船客は50人ほど。「大函丸」の定員は478名ですから、乗船率は約10%です。

 小さい船体ながら速度は18ノットを出しますが、揺れは小さくエンジン音も静かです。大間港フェリーターミナルには定刻の11時に着きました。

 大間ではマグロや海鮮料理のほか、本州最北端であることもPRされていました。路線バスに乗り継げばJR大湊線の下北駅を目指すこともできます。今や最盛期の7分の1以下となってしまった「大函丸」の運航便数ですが、津軽海峡を渡るルートのひとつとして、100年の歴史も見えてきました。

文:乗りものニュース 安藤昌季(乗りものライター)
【キャンペーン】第2・4金土日は7円/L引き!ガソリン・軽油をお得に給油!(要マイカー登録&特定情報の入力)

こんな記事も読まれています

【ホットロッドショー】ロイヤルエンフィールド「ショットガン650」が大化け! 昨季アワード3冠のマシンも登壇
【ホットロッドショー】ロイヤルエンフィールド「ショットガン650」が大化け! 昨季アワード3冠のマシンも登壇
WEBヤングマシン
【気になるクルマ2025】日産のやる気を感じる「新型リーフ」と「ルークス」、そして三菱の「デリカミニ」の新鮮度をズバリ評価
【気になるクルマ2025】日産のやる気を感じる「新型リーフ」と「ルークス」、そして三菱の「デリカミニ」の新鮮度をズバリ評価
カー・アンド・ドライバー
【ワークマン】累計60万点突破の「着るコタツ」ヒーターウエア“WindCore”シリーズ最新4アイテムが登場!
【ワークマン】累計60万点突破の「着るコタツ」ヒーターウエア“WindCore”シリーズ最新4アイテムが登場!
WEBヤングマシン
国道2号~山陽道“直結”の「無料高速」が開通! 12kmも「信号なし」で加古川沿いアクセスを劇的改善! 神戸・姫路にも行きやすい「東播磨道」11月末に全通 兵庫
国道2号~山陽道“直結”の「無料高速」が開通! 12kmも「信号なし」で加古川沿いアクセスを劇的改善! 神戸・姫路にも行きやすい「東播磨道」11月末に全通 兵庫
くるまのニュース
国産HVの脅威となるか⁉︎日本初導入のBYD製ハイブリッドSUV「SEALION 6」登場
国産HVの脅威となるか⁉︎日本初導入のBYD製ハイブリッドSUV「SEALION 6」登場
Auto Messe Web
“軽自動車”よりも安い! 日産「“ニセ”GT-R」登場!? “格安の140万円”&なんか「小さいボディ」採用! 2.5L「V6」×MT搭載の「R35!?」独国サイトに登場
“軽自動車”よりも安い! 日産「“ニセ”GT-R」登場!? “格安の140万円”&なんか「小さいボディ」採用! 2.5L「V6」×MT搭載の「R35!?」独国サイトに登場
くるまのニュース
中露の「巨大な怪鳥」と空自機が睨み合い!? 沖縄を通り越して“四国沖まで”共同飛行 防衛省が画像を公開
中露の「巨大な怪鳥」と空自機が睨み合い!? 沖縄を通り越して“四国沖まで”共同飛行 防衛省が画像を公開
乗りものニュース
ホンダが開発した後付け“電動アシスト自転車”システム「スマチャリ」がついにキット化! 多様な自転車で利用可能に!? ネットでの反響とは
ホンダが開発した後付け“電動アシスト自転車”システム「スマチャリ」がついにキット化! 多様な自転車で利用可能に!? ネットでの反響とは
VAGUE
「憧れのナナハンキラー」ライバル比較試乗でヤマハの2ストが見せた圧倒的な性能とは
「憧れのナナハンキラー」ライバル比較試乗でヤマハの2ストが見せた圧倒的な性能とは
WEBヤングマシン
“エスティマ後継機”なトヨタ「“新”8人乗りミニバン」に反響多数! 約620万円からでヘビーメタル新設定に「日本導入して」「欲しい」の声も! 4WDもアリの米国「シエナ」が話題に
“エスティマ後継機”なトヨタ「“新”8人乗りミニバン」に反響多数! 約620万円からでヘビーメタル新設定に「日本導入して」「欲しい」の声も! 4WDもアリの米国「シエナ」が話題に
くるまのニュース
レクサスが次世代のBEVスポーツモデル「LFAコンセプト」を公開
レクサスが次世代のBEVスポーツモデル「LFAコンセプト」を公開
@DIME
クルマはアイドリングストップする? だったら気を付けたい冬エアコンの“禁じ手”
クルマはアイドリングストップする? だったら気を付けたい冬エアコンの“禁じ手”
ベストカーWeb
ホンダ「イブパックス」(1985年)【80年代に登場したホンダのバイク図鑑】
ホンダ「イブパックス」(1985年)【80年代に登場したホンダのバイク図鑑】
webオートバイ
ホンダが新「スーパーカブ110」発売! “時速30km制限”の無いパワフルな「原付二種」仕様! 世界で愛される「ビジネスバイクの“絶対王者”」が刷新して登場!
ホンダが新「スーパーカブ110」発売! “時速30km制限”の無いパワフルな「原付二種」仕様! 世界で愛される「ビジネスバイクの“絶対王者”」が刷新して登場!
くるまのニュース
全日本ロード:希望ゼッケン制度を再び採用。ST1000は性能調整優遇措置導入へ。JP250はJP-SPORTに名称変更
全日本ロード:希望ゼッケン制度を再び採用。ST1000は性能調整優遇措置導入へ。JP250はJP-SPORTに名称変更
AUTOSPORT web
トランプの制裁で消えた200機! 翻弄された「イラン航空」空白の10年とは
トランプの制裁で消えた200機! 翻弄された「イラン航空」空白の10年とは
Merkmal
プロに聞いた「好きなクルマBEST3」人生最後の1台として選ぶ憧れの国産名車
プロに聞いた「好きなクルマBEST3」人生最後の1台として選ぶ憧れの国産名車
グーネット
旅を華やかに彩る「THE KUKUNA」のオリジナルワイン【心を満たす温泉宿24選】
旅を華やかに彩る「THE KUKUNA」のオリジナルワイン【心を満たす温泉宿24選】
グーネット

みんなのコメント

15件
  • poc********
    大間の方々遊びや病院通いはフェリー利用して函館もよく行くと泊まった宿のおばちゃんに聞いた。
    青森行くよりはるかに近いから。
    確かに函館は天気良ければ目視できるし、何よりテレビは青森県内のは電波悪く視聴困難だが、逆に北海道のは電波悪いが青森よりは視聴できた。
  • go6********
    北海道にマイカーで行きたい!
    でも船酔いが…。2回、マイカーで北海道行きましたが、いつぞや苫小牧→仙台の太平洋フェリーで出港し港湾出た途端にうねり。
    仙台着くまで穏やかにならず、ずーっとゲ◯吐いてました。
    以来、北海道渡るときは所要時間最短の大間函館、大函丸が頼りです…
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

167 . 3万円 234 . 2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

15 . 0万円 239 . 8万円

中古車を検索
フォルクスワーゲン アップ!の買取価格・査定相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

167 . 3万円 234 . 2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

15 . 0万円 239 . 8万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村