積算2万6020km トヨタへ感謝の気持が湧いてくる
マニュアルのトヨタ・スープラで発進すると、新車の殆どがオートマティックへ置き換わった理由を再確認できる。AUTOCAR編集部のガレージを出発して数kmは、渋滞する市街地を走り続けるからだ。
【画像】乗り心地と操縦性の変化は? トヨタ・スープラ ヤリス/カローラ/86 GRシリーズも 全111枚
ATに慣れてしまうと、そんな環境では、ギアを自分で選ぶことが面倒に感じてしまう。以前まで身体に染み込んでいた、MTを操るという記憶が蘇るまで、毎回ギクシャクしがちだ。やっぱりATは勝手が良い。
しかし、そんな思いは長く続かない。左手と左足の動きが自然になり、ロンドンの混雑した市街地から抜け出せば、MTを求める人が今でも少なくないことを理解できる。郊外の道を数100mも走れば、トヨタへ感謝の気持が湧いてくる。
e-CVTが組まれるハイブリッド開発へ注力する日本の自動車メーカーは、MTを介したカリスマチックな高性能モデルを、このご時世に提供してくれた。走行する機能としては無意味だとしても、バッテリーEV用のギミックMTすら試作が進められている。
GRスープラのために開発された、6速MTは素晴らしい。5世代目の量産プロジェクトが始まったときから、BMWと共有するプラットフォームを超えた進化を施すことが、重要視されてきたらしい。
340psを発揮する、3.0L直列6気筒ターボエンジンは、確かにBMW譲りではある。しかし6速MTは、ZF社と手を組んでトヨタ独自に仕上げたユニット。努力した成果が、しっかり報われている。
基本に立ち返ったアナログな2シーターGT
シフトレバーの動きは心地良く、クラッチペダルは重すぎない。ゲートへするりと入り、アナログな感覚がなんとも気持ちいい。直列6気筒エンジンのパワーとサウンドを、より直接的に、自由に引き出せる。AT以上の喜びと充足感をもたらす。
6速MTが、スープラ本来の特徴を大きく変えることはない。だが、手が加えられたパワーステアリングやアダプティブダンパー、アンチロールバー・ブッシュなどと相乗し、従来以上に本物のスポーツカーらしく感じられる。Z4ではなく、スープラしている。
登場当初から、BMWと基盤を共有することに批判的な声はあったが、少し意識しすぎだろう。iドライブと呼ばれるインフォテインメント・システムは、トヨタ独自のものより遥かに優れている。そしてスープラは、トヨタの狙い通りのクルマが追求されている。
つまり、アナログで基本に立ち返った、2シーターのグランドツアラーだ。これこそ、スープラの魅力の原点といえる。
長期テスト車両はほぼ素の状態で、オプションといえばプレミアム・ソリッド塗装のみ。特別なステレオは備わらない。しかし、直列6気筒エンジンの甘美なサウンドを楽しめることを考えれば、必ずしも必要なアイテムではないだろう。
多少の不便を遥かに超えた報酬
こんなモデルと日常的に付き合うには、多少の妥協も求められる。荷室は広くないし、子どもに適したリアシートもなく、後方視界は限られる。燃費も10.5km/L前後と褒めにくい。ドアは長く、狭い駐車場では乗り降りに気を使う。
それでも、多少の不便を遥かに超えた報酬がある。郊外の一般道で2速から3速へシフトアップすれば、自ずと満ち足りた気持ちになる。限られた車内空間である代わりに、軽く小さく、優れた操縦性を味わえる。
同僚のソーンダースがタイヤの空気圧を調整したことで、ロードノイズは若干大きくなった。しかし、コーナーでの印象には磨きがかかった。
妥協を受け入れてしまえば、多くの2シーター・クーペと異なり、普段使いのクルマとしてもまったく問題なく機能する。ライバルモデルの少ないジュニア・グランドツアラーだが、魅力には事欠かない。
もしかすると、われわれが期待する最新世代のスープラには届いていないのかもしれない。ドラマチックに変化する自動車業界を踏まえると、これが最良の形なのだろう。
電動化が進む現在にあって、スープラが存在すること自体を喜びたい。しかも、絶滅寸前のマニュアルが選べるのだから。
セカンドオピニオン
グレートブリテン島を1500kmほど思う存分走らせたが、スポーツカーとグランドツアラーのいいとこ取りといえる特徴に、感銘を受けた。路面の荒れた一般道を快適にこなせ、ボディサイズへ気を使うこともなかった。 サム・フィリップス(Sam Phillips)
テストデータ
気に入っているトコロ
シンプルな成り立ち:2シーターでMTのスポーツカーが存在しない世界には、住みたいと思えない。トヨタには感謝したい。
サウンドトラック:360psを発揮する直列6気筒ターボエンジンは、サウンド的な個性も強い。
驚くほど広い車内:荷室が大きいとはいえないものの、このタイプのクルマとしては、印象的なほどゆとりがある。
気に入らないトコロ
リバースゲート:MTは最高なのだが、リバースへ入れるのが思いの外難しい。
後方視界:スタイリッシュなリアピラーのおかげで、狭いスペースへの駐車には少し手を焼く。
走行距離
テスト開始時積算距離:1万4872km
テスト終了時積算距離:2万6020km
英国価格
モデル名:トヨタ・スープラ 3.0(RZ) マニュアル(英国仕様)
開始時の価格:5万2730ポンド(約849万円)
現行の価格:同上
テスト車の価格:5万5280ポンド(約1028万円)
オプション装備
プレミアム・ソリッド塗装 プロミネンスレッド:650ポンド(約12万円)
燃費&航続距離
公称燃費:11.0km/L
タンク容量:89L
平均燃費:10.7km/L
最高燃費:11.0km/L
最低燃費:9.4km/L
航続可能距離:947km
主要諸元
全長:4379mm
全幅:1854mm
全高:1292mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.6秒
車両重量:1502kg
パワートレイン:直列6気筒2998ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:340ps/5000-6000rpm
最大トルク:50.9kg-m/1600-4500rpm
ギアボックス:6速マニュアル
トランク容量:290L
ホイールサイズ:19インチ9.0J
タイヤ:255/35 ZR19 ミシュラン・パイロット・スーパースポーツ
メンテナンス&ランニングコスト
リース価格:768ポンド(約14万3000円/1か月)
CO2排出量:198g/km
メンテナンスコスト:なし
その他コスト:なし
燃料コスト:1630ポンド(約30万3000円/ガソリン)
燃料含めたランニングコスト:1630ポンド(約30万3000円)
1マイル当りコスト:0.24ポンド(約45円)
不具合:なし
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