軽自動車とコンパクトカーは、排気量やサイズをみればそれほど大きな差ではないかもしれないが、実際には明確な違いがある。
軽自動車であれば税的な優遇があり維持費が割安だが、ボディサイズに制限があるために、スペースや乗車定員が限られてしまう。
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その点コンパクトはサイズに余裕があるが、軽と比べるとどうしても維持費は高くなってしまう。
今回は、購入するにあたって両車の違いを比較分析してみた。
文/小林敦志、写真/HONDA、SUZUKI、ベストカー編集部
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■販売台数が増え続ける軽自動車
軽自動車販売ナンバー1のホンダ N-BOX。ホンダでは軽自動車販売比率は50%を超えている
最新の新車販売台数統計をみると、新車販売全体における軽自動車の販売比率は40%に迫ろうとしている。軽自動車販売ナンバー1となるN-BOXをラインナップするホンダでは、軽自動車販売比率は50%を超えている。
一方でトヨタでは、軽自動車販売比率は多くても全体の数%となっており、ブランドによって軽自動車販売に対する考え方には違いがあるのだが、全体で見れば軽自動車販売に依存するブランドが目立っている。
軽自動車がここまでよく売れ、多くのブランドで“軽自動車頼み”となっている背景には、大昔の軽自動車のイメージがすでに完全払拭され、NA(自然吸気)エンジンでもラクラクと高速道路を巡航することができるパフォーマンスを持ち、オートエアコンなど登録乗用車と同等の快適装備が充実していることがある。
それなのに、税金などの維持費負担が登録乗用車より軽いというのが最大の魅力となっている。
軽自動車ユーザーの多くでは、登録乗用車については選択肢として考えることなく、軽自動車の乗り継ぎを繰り返すという消費行動が目立つともいわれている。
ジェンダーフリーが声高に叫ばれる時代にありながら、軽自動車ユーザーはまだまだ女性が目立っている。
いままでは「大きなクルマは苦手」とか、「自分の運転技術に自信がない」、「可愛いから」などが理由として挙げられて女性が軽自動車ユーザーのメインとなるとされてきた。
だが、いまは、リタイア層、つまり公共輸送機関が充実していない地域に住むが日々の通院や買い物の利用でクルマが手放せないといった高齢層のクルマニーズを軽自動車が担ったりもしている。
エアロ系モデルも充実してきているので、若い男性ユーザーも目立ち、セカンドカーニーズではなく、“1家にクルマ1台”というファーストカーニーズも目立っている。
■安全装備の充実で“軽”が選択肢に
安全性へのマイナスイメージを払拭するため、軽自動車には安全装備が早くから充実していった
軽自動車ユーザーの多様化というものが、今日の軽自動車需要が目立つことにもつながっているともいえる。
いまの傾向を“軽自動車人気”とするひともいる。だが積極的に好んで乗るひともいれば、維持費負担の問題などで“現実的な選択肢”として軽自動車を選ぶひともいるので、筆者としてはいまの状況を“人気”とするのには少々違和感を覚えている。
軽自動車ユーザーの多くは登録車という選択肢は想定していない傾向があると前述したが、それでも過去には“リッターカー”などと呼ばれる、登録車のコンパクトカーと比較検討するひとも存在する。
10年までは遡らないが、一昔前には自動ブレーキなどの安全運転支援デバイスについては、軽自動車の先行採用が目立ち、そして圧倒的に充実していた。積極採用していった理由はメーカー個々に事情が異なるかもしれないが、軽自動車にはどうしても“安全性”に対する不安というものがつきまとっていた。
「登録車よりは事故になった時のダメージが大きい」というのである。そのイメージを払拭するためにも、安全運転支援デバイスが先行して充実していったのかもしれない。
コンパクトカーもモデルチェンジのタイミングで、安全運転支援デバイスを充実させており、いまでは軽自動車と比べても見劣りしないものとなっている。
■生存空間や燃費ではコンパクトカーに軍配
登録車であるソリオの室内イメージ。後席とリアガラスの間にはじゅうぶん余裕がある
軽自動車とコンパクトカーを比較購入検討するひとは、安全性をより意識するひとが多いと販売現場で聞いたことがある。
“事故時のダメージの違い”については、事故のシチュエーションが千差万別なこともあり、一概には説明できないようだが、「規格の関係もあり、生存空間はコンパクトカーのほうがあります」といった説明をすることは多いとのこと。
人気のハイト系軽自動車では、後席に座ると頭上付近にリアガラスがあったりするが、コンパクトカーでは、そこに余裕が生まれるというのである。
また、軽自動車は乗車定員が4名となるが、コンパクトカーは5名となることもアピールするとのこと。時おり、軽自動車を乗車定員オーバーで運転していて大きな事故になったというニュースを聞く。
確信犯的に定員オーバーで運転することもあるだろうが、なかには4名と知らなかったというケースもあるようだし、その点でも海外からの観光客が軽自動車を定員オーバーで運転していた摘発されるケースも目立つようだ。
また、軽自動車は燃費がいいとされているが、実走行燃費ではアクセルを踏み込む頻度も多くなるので、ケースにもよるが20km/Lをやや下回る程度の燃費性能が限界などともされることもある。
あるひとは、コンパクトカーから軽自動車に乗り換えたのだが、「確かに給油時の給油量は少ないのだが、ガソリンタンク容量が少ないことに気がついた。そのため給油頻度も増えたことにも気がついたので、コンパクトカーに戻した」と話してくれた。
■割安感が軽自動車の大きなメリット
スズキ スペーシア。軽自動車の強みはもろもろの必要経費だろう
税金などが優遇される軽自動車が登録車と比較して、新車購入時にどれぐらいメリットがあるか見ていこう。サンプルとしてスズキ スペーシア ハイブリッドXと、スズキ ソリオ ハイブリッド MXを比較した。価格よりも装備面などで近いことでこのふたつのサンプルを選択している。
スズキのウエブサイト上のシミュレーションで試算すると、スペーシアの支払い総額は189万6395円、一方ソリオは228万3830円となった。車両本体価格で32万5600円、販売諸費用で8万535円ソリオのほうが高くなっている(今回の見積りではオプションはスペーシアのほうが1万8700円高くなった)。
諸費用では、ソリオは自動車税が月割課税され、環境性能割も加算、重量税は1万9000円高く、自賠責保険料が440円高く、販売諸費用が3145円高くなっていた。
スペーシア(軽自動車)とソリオ(登録車)の諸経費の比較(スズキウェブサイト上のシミュレーションで試算)
こうやって比較すると、軽自動車がかなり割安で購入できることがより鮮明となっている。
過去には、軽自動車の値引きがかなり限定的なものとなっていたので、値引きも含めた支払総額ではコンパクトカーも購入時にはかなり軽自動車と“いい勝負”になっていたのだが、いまどきは軽自動車もかなり値引きが拡大しているので、購入費用面で見れば軽自動車は圧倒的に割安感が出てしまっているのが現状である。
リセールバリューでは軽自動車がコンパクトカーよりはるかに良いものとなっている。今回の試算をベースに、5年払いで残価設定ローンプランを試算した。すると支払い最終回分の額を車両本体価格で割ることで、簡易的に残価率の目安を計算すると、ソリオが約18%なのに対し、スペーシアは約28%となった。
今回はソリオで試算したが、試しに同様の試算で大ヒットしているトヨタ ルーミーを見ると、残価率目安は30%となった。また、軽自動車販売ナンバー1となっているN-BOXでは約35%となっている。リセールバリューのブランド間格差はコンパクトカーのほうが目立つようだ。
ただし、これは各ブランドの残価設定ローンプランをベースにした、あくまで残価率の目安であり、実際の5年後の中古車市場での相場を現すものではないことだけは注意してもらいたい。
■リセールにも有利な軽自動車
軽自動車を買うなら新車ディーラーで残価設定ローンを組んで買ったほうが断然お得となる(Nomad_Soul@Adobe Stock)
軽自動車はそれこそ、いまから30年ほど前のバブル経済のころでも、「低年式車でも価値がしっかり残る」とされていたが、その当時のコンパクトカーではモデルによっては初度登録から3年目で残価値がゼロというケースもあったので、そのころに比べると、コンパクトカーでも価値が残るようになっている。
軽自動車は、初度届け出から10年以上経過していても、それぐらいの中古車を乗り継ぐひとも多いとされ、いつまでも中古車人気が持続されるので、リセールバリューが高まっているのである。
軽自動車は、ナンバープレートのついていない、未届け出状態での在庫車をディーラー名義などで新規届け出を行い(ナンバープレートをつける)、未使用のまま中古車市場に“届け出済み未使用軽自動車”として流通させるケースが多い。
新規届け出から6カ月ぐらい経過してから店頭に並べるので、新車購入では値引き交渉を頑張っても引き出すことがほぼ無理な価格で並ぶことになる。ただし、原則中古車なので業者の多くが用意するローンは金利がかなり高めなことが多い。
ある未使用中古車専売店では「ウチで買うなら現金購入が圧倒的にお得ですよ」とし、「ローンで買うなら、軽自動車はリセールバリューがいいので、新車ディーラーで残価設定ローンを組んで新車を買った方が断然お得ですよ」と話してくれた。
実際あるメーカー系新車ディーラーを訪れた時に、「10年スパンなどで長く乗られないで、短期間で乗り換えを予定しているならば、軽自動車は残価設定ローンを組んで購入されたほうがお得ですよ」と同じような話を聞いている。
損得勘定でいけば、コンパクトカーと軽自動車を天秤にかけるひとはまずいないだろう。税金や保険料まで異なるのだから勝負にならない。
■多彩なキャラクターはコンパクトカーの魅力
スズキ ソリオ。軽自動車は規格が厳格なため、エクステリアやインテリアの違いで差をつけることになる
ただし、軽自動車は維持費で優遇されているが、その規格は厳重なものとなっており、ボディサイズやエンジン性能などのパフォーマンスなどはほぼ横並びで、エクステリアやインテリアで違いがつけられるだけとなっている。
その一方コンパクトカーでは、ルーミーやソリオなどのMPV(多目的車)は、軽自動車で売れ筋のN-BOXやスペーシア、タントなどの登録車版ともいえるし、主流のハッチバックでも、フィットのように広い居住空間をアピールするモデルもあれば、ヤリスのようなパーソナルイメージを強調したモデルもある。
軽自動車メインのスズキやダイハツが開発するコンパクトカーと、トヨタや日産、ホンダやマツダなど、登録車も充実しているブランドオリジナルのコンパクトカーでは、かなりイメージが異なる点では、軽自動車よりもブランドごとにキャラクターがわかりやすく分かれており、コンパクトカーの魅力といっていいだろう。
また軽自動車やコンパクトカーは、3ナンバー車などを乗っていたユーザーのダウンサイズニーズも取り込んでいる。ただ、そのようなユーザーは、長い間スズキやダイハツといったブランドに馴染みが薄いひとも多く、そのようなニーズがホンダや日産ブランドの軽自動車に流れているのも間違いない。
トヨタディーラーでは、軽自動車を販売しても実績カウントはできないので、コンパクトカーを勧めてくるのは間違いない。
トヨタ以外のブランドでは、無理強いすれば商談が破談して、他メーカーへ流れることもあるので、あくまでお客側次第としながらも、その時のキャンペーン(軽と登録車どちらを売りたいかなど)次第では、軽またはコンパクトカーになんとなく誘導していくことになるだろう。
すでにダイハツでは、軽自動車と登録コンパクトカーのプラットフォーム共用化を進めており、この傾向はますます進んでいくことになるだろう。
そうなると、“軽自動車vsコンパクトカー”というものではなく、新車購入での注目ポイントの違いなど、個々の価値観で、軽自動車とコンパクトカーを選び分けるということにもなるといわれている。
さらに車両電動化が進むなかでは、その規格自体も限界があるともされ、軽自動車というカテゴリー自体が終焉を迎えるのではないかともいわれている。
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みんなのコメント
違反報告なんていっちょまえのシステムがあるけど、審査なんてしてないよ。たぶん。
これまでは棺桶の煽りのおかげでアクセス数稼げてたんだろうけど
今じゃコイツが出るや否や誰も来なくなってるじゃん
そりやそうだよ。まっとうな人間ならコイツの誣告に不快感覚えるもん。
アクセス数至上主義の運営もそろそろ限界だと思うぞ。
思ったほど維持費も変わらんし、小型車の方がいいかも
ただ小ささで選ぶ私みたいな人も居るから、一方的に軽を否定する気はないよ