ハイパーレブ/ManiaxCars編集長のケン太郎す。これまで『OPTION』や『R30&R31 Magazine』なんかでも書いてきたけど、運転免許証を取得して30年弱、国産車を中心に、中古車ひとすじ30ン台を乗り継いできた立場から、その楽しさや思うことなんかをツラツラと書いていきたい。前回に続き、ヒロシマ家に初めて導入されたドイツ車、初代オペルティグラのその後について書いてみたい。
カミさんの足グルマとして主に毎日の買い物、ごくたまに群馬の実家までのハイウェイエクスプレス(笑)として盤石の走りを見せてくれたティグラ。オレにとっても結構なお気に入りで、ステアリングを握るたび、ガッチリと剛性感のあるボディとしっかりダンピングの効いた乗り味に、「K11じゃなくてティグラ買って正解だった!」と思うことしきりだった。
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ウチに来て10ヵ月、なんのトラブルもなく車検の時期を迎えたんで練馬陸事に持ち込み。近所のテスター屋でトーとヘッドライトの光軸だけ診てもらって検査ラインに並んだら、いとも簡単に車検をパスした。ま、ノーマルなんだから当然だわな。
EK10マーチスーパーターボは、上げたつもりだったのに最低地上高がギリギリ90mmに足りなくて陸事の駐車場で車高を上げたり、ワンオフマフラーがうるさいってことで検査ラインに入る前、排気音量を測定されたり(102dBだったんでぎりぎりセーフ、汗)、すんなり車検を通せた試しがなかったから、ティグラの継続車検はラクショーそのものだった。
そう、ここまでは一点の疑いもなく「ティグラ最高~っ!!」なんて思ってたんだけど、車検を取って半年くらい経った頃、エンジンがかすかに異音を発し始めた。
むむむ、ついにトラブルが起こったか?
ヤナセで見積もりを取ったら…マジかよ(笑)!?
まさか、エンジンからの異音とは…さて、困ったぞ。
国産車だったら、とりあえず近所の白山自動車に持ってけばいいけど、オペルだもんなぁ。でも、考えてるヒマもないから、当時まだオペルを取り扱ってた練馬のヤナセに診てもらうことにした。
メルセデスベンツを始め、高級な輸入車が並んでるヤナセディーラーへと乗り込んでいく、中古で買ったセラミックブルー、電動サンルーフ付きのティグラ。
「なんか場違いな感じがするなぁ」と思いつつ、ショールーム入口の前にクルマを横付けする。これでボディが薄汚れてたりしたら目も当てられないけど、せめてもの救いは時間をかけてバッチリ洗車してきたことだ(笑)。
すると、間髪入れずにパリッとしたスーツを着た営業スタッフが歩み寄ってきて、「お客さま、本日はどのようなご用件でしょうか?」と。おおおおお! コレがウワサに聞いてた“ヤナセクオリティ”か!?(←意味不明、笑)
クルマを預けるとショールームに通され、いま出ている症状について話を。すると、「今回のケースはエンジンの重整備が必要になりそうなので、港北のデポで詳しくチェックすることになります。お時間がかかりますが、いかがでしょうか?」と営業スタッフ。とりあえず現状どうなってるのかが知りたいし、修理が必要ならいくらかかるのかも知りたい旨を告げて、その日はヤナセを後にした。
1週間後、営業スタッフからの電話で再びヤナセに出向くことに。そこで、衝撃のひとことを耳にすることになる。いわく、「エンジンのオーバーホールが必要ですね」と。
ええええええええ!? それ、マジすか?
もっとも、こんな状況で営業スタッフがウソや冗談を言うはずはない。さらにダメ押しだったのが、目の前に差し出された修理代見積書だ。A4の用紙に上から下までびっしりと交換パーツと作業内容の項目が記入され、修理代トータル56万円也。
おいおい、クルマの乗り出し価格を超えちゃってるじゃねーか(笑)。
さすがにその修理代にはひるんだけど、車検取ってからたいして時間が経ってないし、それ以前に気に入ってるクルマだからティグラに乗り続けたいし、でも、56万円ってのはいくらなんでもナシじゃね? と。
そこでオレは考えた。
自分でもみみっちいと思うんだけど、ヤナセのことだから先を見越して、まだ交換しなくてもいいパーツまで見積書には含まれてるんじゃないか、と。もちろん、それがお客さんのことを考えての結果だってことはわかる。同じような箇所が壊れて二度手間になるくらいなら、トラブル予防を含めて一緒に作業しましょうみたいな。そっちの方が、長い目で見たら作業工賃も安く済むし。
でも、その時のオレはできるだけ修理代を安く済ませたい気持ちの方が圧倒的に勝っていたんで、「ちょっと検討したいんで、いちど持ちかえりまーす」と営業スタッフに断り、修理見積書を手に近所のクルマ屋、白山自動車に向かった。そこの社長に見積書に書かれた項目ひとつひとつを吟味してもらい、「いまやらなければならない作業」と「あと回しにしてもいい作業」をふるいにかけてもらったのだ。
そう、今どきに言うなら“セカンドオピニオン”だーねー(笑)。
すると、56万円だったはずの修理代が30万円ちょっとへと半減! これならティグラに乗り続けるため払ってもオッケーと納得し、ヤナセに修理作業をお願いすることにした。
修理から戻ってきたティグラのエンジンはキレイに異音も消えていて、快調そのもの。のちにもう1回車検を取って手放すまでの3年とちょっと、エンジンに関してはトラブルが出なかったから、結果的にヤナセに対して依頼した修理内容は間違ってなかったってわけだ。
ここでひとつ学習したこと。それは、なんでもかんでもディーラーの言う通りにしてればたしかに安心かもしれないけど、そのために払わなくてもいいお金まで払わされるケースが現実的にあるってこと。
そりゃあディーラーだって商売でやってるわけだから、過剰整備(と、あえて言う)によって売上げをあげることもあるだろうし、その行為自体を否定するつもりもない。ユーザー側も、それを“保険”と考えることができて、安心感を得られるひとなら、おおいに払えばいいと思う。
でも、それってあえて悪い言い方をすれば、ムダ金を払わされてると捉えることもできるわけ。そのへんを踏まえた上で、決して金銭的な余裕があるわけじゃないオレは、「必要最低限の作業だけをお願いして、出費も最小限に抑える」ということを実践してるまでなのだ。
それは2回目の車検時に発覚した!
エンジンの修理から1年半。ティグラは、ウチに来てから2回目の車検を迎えることになった。「前回がほぼフリーパスだったから、今回もだいじょぶだろ?」と気楽に構えて検査ラインに突入していくと、サイドブレーキテストで引っかかった。
あれ? なんで??
2回、3回とチャレンジしても、目の前の電光掲示板には、サイドブレーキ『×』の表示が…。どうした、ティグラ!?
どうしようもないんでこの日は車検をあきらめ、その足で白山自動車に向かってリヤドラムブレーキをバラしてチェックしてもらうと、シリンダーからブレーキフルードが漏れてやがった。パーツ交換するしかないんで、そのまま白山自動車に修理を依頼。
当時の請求書を見てみると、リヤホイールシリンダーO/H作業が行われ、ブレーキライニングやカップキット、ブレーキオイルなどパーツ代が1万9500円、工賃1万4000円で、税込トータル3万5000円で直してもらった。ヤナセだとシリンダーASSY交換になるんで、パーツ代がもっと高くついたような気がする。
さらに1年後、今度はアイドリング不調&Dレンジに入れてアクセルを踏み込むとエンスト…という症状が発生。さすがにこれはヤナセに持ち込んだけど、原因はインタンク式燃料ポンプに接続しているフィード(圧送側)ホースの亀裂と判明。燃圧が安定しないからアイドリングが落ち着かず、アクセルを踏むとホースの亀裂から燃料が漏れてるからエンスト…ということだったらしい。
これも請求書が残ってて、燃料ホースや燃料ポンプシールの他、スピードメーターケーブルも切れてたんでそれらパーツ代で1万円、エンジンルーム内の各ハーネス&バキュームラインや燃料ポンププレッシャーの点検、燃料ポンプ単体テスト、燃料ラインの各部リーク点検などの作業工賃が4万円、占めて税込5万2000円の出費となった。
これが2007年夏のこと。結局、車両代と同じくらい修理代を突っ込むことになったんだけど、それでも乗り続けるだけの価値がある! と思ってたティグラ。
ところが、ファミリーカーとして使うには別の意味で限界を迎えつつあった。小学5年生になった娘の身長が160cmを突破し(笑)、後席に乗れなくなったのだ。なもんで、家族4人で移動する時は娘が助手席、カミさんが後席…とポジション変更を試みたりもしたんだけど、「そのうち息子の身長も伸びてきたらティグラじゃダメじゃん」ということに気付き、今後またなんらかのトラブルが出て修理代をかけるくらいなら、このタイミングで乗り替えるだなということで、泣く泣くティグラを手放すことにしたのだ。
で、次期カミさんグルマの検討に入るんだけど、いちどドイツ車に乗ってしまったカミさんは、当然のように「次もドイツ車がいい。できればベンツ!」とか言い出す始末。その瞬間、「K11マーチにしときゃよかったかも…」と思ったけど、もう後の祭りだ。
ちなみに、ウチのおふくろが脳梗塞で倒れて前橋の病院に入院してた時、カミさんはお見舞い&身の回りの世話をするため、1週間毎日、関越道の練馬~前橋間を往復してたんだけど、「ティグラだと高速でも安定してるから、安心して走れる」なんて言ってたっけ。クルマには疎いカミさんだけど、やっぱドイツ車はちょっと違うってことをわかってたらしい。だとしたら、次のクルマもドイツ車がいいよな、と。
ベンツで家族で乗るなら4ドアセダン。てことは、中古車価格がこなれてきてる初代Cクラスか? なんて思いながら、オレは次期カミさんグルマの捜索に入るのだった。
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