軽量化と空力性能向上図る
アウディは、来年のダカール・ラリーに投入する新型RS Q eトロンE2を公開した。車体デザインを一新し、パワートレインの制御にも改良が加えられている。
【画像】ラリーで鍛えられるアウディのBEV【RS Q eトロンや市販モデルを写真で見る】 全65枚
アウディは今年、サウジアラビアで開幕したダカール・ラリーに、カルロス・サインツ、ステファン・ペテランセル、マティアス・エクストロームの3人を起用して参戦。4回のステージ優勝を果たしたものの、一連のアクシデントにより総合優勝を逃し、エクストロームは総合9位でフィニッシュした。
RS Q eトロンは「大幅に改良」され、1980年代のクワトロ・グループBラリーカーの第2世代で使われていた「E2」の名称を採用している。
今回の改良は、パワートレインではなくボディワークに焦点を絞っている。現行モデルをベースにしつつ、あらゆるボディパーツが変更され、ボートの船体を模したデザインなど、空力性能の向上に重点が置かれている。
コックピット部分の幅が最も分厚く、フロントとリアに向かって薄くなっている。また、前輪とドアの間にある「象の足」と呼ばれるフェンダーを廃止し、軽量化と空気の流れの改善を図っている。
全長4670mm、全高2300mm、全幅1950mmで、現行より約170mm長い。
アウディによると、空気抵抗は約15%低減されたという。これにより必要なエネルギーが大幅に削減され、効率的な走りが可能になったとしている。
ダカール・ラリーのT1Uクラスの最低重量は2000kgから2100kgに引き上げられるが、昨年のアウディはこの重量を大幅にオーバーしていた。そのため、新型では「数十kg」の軽量化が図られている。
新しいレギュレーションに対応するためにコックピットを大型化したほか、車内レイアウトにも変更を加えた。新しいロータリースイッチで4つの「システムエリア」を選択し、必要な機能に瞬時にアクセスできるようにするなど、ディスプレイと操作系が一新されている。
パワートレインも微調整
パワートレインは現行モデルを引き継ぎ、33kgの電気モーターを3基搭載(1つは発電機)。最高出力391psを四輪に送り込む。このモーターに加え、ターボチャージャー付き2.0L 4気筒ガソリンエンジンがバッテリー充電用の電源として使用され、航続距離の延長に貢献している。
アウディは昨シーズンの経験をもとに、パワートレインの制御システムを改良している。ダカールでは、ジャンプしたり不整地を走ったりしたときに瞬間的にパワーが過剰になり、レギュレーションの出力規制を超えることが判明したのだ。
これを受けて、ソフトウェアを調整し、モーターごとに個別の制限値を設け、常にキャリブレーションするようにした。サーボポンプ、エアコン、ファンといった補助的な装置の制御も、エネルギー消費量を減らすために作り直された。
新型RS Q eトロンE2は、10月1日から6日にかけてモロッコで開催されるラリー・デュ・マロックで初の競技走行に臨む。2023年のダカール・ラリーは、12月31日にサウジアラビアでスタートし、1月15日まで開催される。
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