次世代車の本命は電気自動車だけじゃない!? 燃料電池車が絶対必要な理由とは?
間もなく2020年12月に水素燃料電池車(FCV)の新型MIRAIが発売される。次世代車の筆頭といえば、電気自動車(EV)というイメージが強く、実際各メーカーから続々と新型のEVが発表されている。
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その一方でなかなか普及の気配がないようにも見えるFCVだが、実はEVでは実現できないFCVならではの長所があるという。FCVの普及が確実に見込まれる理由とは? 以下、国沢光宏氏が解説する。
文/国沢光宏、写真/池之平昌信、TOYOTA
【画像ギャラリー】内装やエンジン、カットモデル写真も! 日本のFCVのミライを背負う新型MIRAIを見る
■FCVに期待される役割は「次世代のディーゼルエンジン」
まもなく発売されるトヨタのFCV(水素燃料電池車)新型MIRAI
燃料電池車の話になると必ず「電気をそのまま使った方が効率良いでしょ」という意見も出てくる。その通りです。
燃料電池の“燃料”となる水素を作る方法はたくさんあるものの、今のところ太陽光や風力など自然エネルギーで作った電気を使うようになると思う。だったら水素などにせず、そのまま電気自動車用にしたらいい、ということ。
効率を考えたら圧倒的に「電気をそのまま使う」が有利だ。水を電気分解して水素にすることだけ考えたら決して効率悪くないけれど、作った水素を800気圧に圧縮するのに膨大なエネルギー使う。遠からず電気自動車用の現地技術だって進む。
20年もしたら1回の充電で500km走れる乗用車が、今のハイブリッド車と同等の価格になると思う。そうなったらMIRAIのような燃料電池車は意味を持たなくなる。私も20年すれば燃料電池を搭載する乗用車などなくなっていると予想している。
では、なぜ燃料電池が次世代エネルギーとして重視されているのだろう? 簡単に言えばディーゼルエンジンの代替パワーユニットです。バスやトラックなどを考えていただきたい。
■EVでは実現できないFCVの美点は?
車体の床下に見える黄色い筒が水素タンク。水素の充填時間は充電時間にくらべると格段に速い
バスもトラックも基本的に終日運航される。一方、走行に使うエネルギーといえば乗用車など比べものにならないくらい大きい。
大型トラックを1時間、距離にして90kmくらい走らせると、大雑把に言って150kWh程度使う。10時間移動するとなったら、日本車で最も多い電池を搭載している日産 リーフe+の30倍近い容量が必要です。
当然ながら途中で急速充電することになる。けれどリーフe+の10倍の電池ですらけっこうな時間が必要。今の3倍程度の性能を持つ急速充電器だって1時間以上掛かってしまう。
加えて、大型トラックやバスの平均使用走行距離は乗用車より圧倒的に長い。50万kmなど普通。劣化の進む急速充電を繰り返しての50万kmは厳しいと思う。
といった使い方を得意とするのが燃料電池です。水素の充填に掛かる時間は軽油の給油時間より短い。連続して運用することも容易。連続して1000kmの移動なんか普通に出来てしまう。
長距離バスや観光バスなども充電しようとすれば運航時間内に1時間以上の時間を必要とするが、水素充填であればトイレ休憩の時間に終了する。
■「ガソリンエンジンを電気に。ディーゼルは燃料電池に」
長距離を終日稼働で走行するトラックやバスの代替としてFCVはEVには賄えない役割が期待されている(写真=トヨタと日野が共同開発する燃料電池大型トラック)
またディーゼルエンジンより圧倒的に軽くてコンパクト。新型MIRAIに搭載されている燃料電池は重さ32kgで174馬力を発生する。
2個搭載すれば348馬力と大型トラック用のディーゼルエンジンに匹敵。3個搭載すると522馬力で、大型トレーラーヘッドや高速バスなどのパワーユニットとして使える。3個使ったって96kg!
同等の出力をディーゼルエンジンで出そうとした場合、1200kgくらいになってしまう。空気ポンプやインバーター、モーター、水素タンクの重量全てを合計したって3分の1くらいの重さで済む。
しかも、排気ガスを出さないばかりか、超絶静か。エンジンサイズだってコンパクトになるため、運転席を低い位置するという手もあります。
その他、国家単位でカーボンニュートラルを目指すとなったら、漁船など小型船舶用や建設機械、鉄道用車両なども地球温暖化ガスを出さないようにしなくちゃならない。
これまた電池だと大量に搭載しなければないようなパワーユニットの代替は燃料電池しか無いと考えていいだろう。つまり「ガソリンエンジンを電気に。ディーゼルは燃料電池に」です。
■新型MIRAIが担うFCVのコストダウンと普及への道筋
新型MIRAIは年間4万台程度なら生産可能。大量生産できればコストは大きく減らせる
ところが、である。トラックやバスの生産台数は乗用車と比べ圧倒的に少ない。年間50万台規模。すぐ全台数を燃料電池に切り換えればいいけれど「徐々に」となったら最初はホンの少ししか売れず、大量生産できない。
それだと燃料電池のコストダウンは難しく、いつまで経っても普及しないことになってしまう。
乗用車なら最初から生産規模が大きくなる。新型MIRAIは年間4万台くらいなら作れるそうな。この程度の規模になってくればコストダウンが大きく進む。
数年内に燃料電池はディーゼルエンジンと同等の価格までコストダウンすると思う。ディーゼルエンジンの代替として採用しようというケースも増えてくることだろう。
同時にMIRAIのような大型乗用車を電気で600km走らせようとすれば、今の技術レベルでは電池を700kgくらい搭載しなければならない。
だったら燃料電池の方が軽くてコスト的にも勝負できる。電気自動車より燃料電池車の方が安いです。新型MIRAIをたくさん売れば燃料電池のコストダウンになり、ディーゼル代替が進む。
日本のMIRAIはMIRAIが背負っている?
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みんなのコメント
初代ミライ販売から約6年が経ちましたが、現状は高速道路上に水素ステーションが無く、インターチェンジ近くにも在るとは限らず、営業時間の制約が有るステーションが大半となっています。これでは電気自動車にもですがガソリン車にすら実運用面で太刀打ち出来ません。
トヨタさん、お金あるんだろ?