フランスのプレミアム・ブランドとして成長を続けるDSオートモビルのラインナップに「DS 4」が加わった。彫刻的なデザインを纏った新たなハッチバックモデルは、DSという名跡にふさわしい美しさと高い実力を備えた一台に仕上がっている。
“世界で最も美しいクルマ”に選出
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“DS”といえば、1950~70年代にかけて人気を誇ったシトロエンの名車を思い浮かべる人も多いだろう。当時のシトロエンのデザイナーであり、優れた彫刻家でもあったフラミニオ・ベルトーニが手掛けたDSは、宇宙船にたとえられるほど先進性に溢れたデザインとメカニズムで、いまも多くのファンの心を鷲掴みにしている。そんな歴史的名車に敬意を払い、独創性を現代に受け継ぐブランドとして発足したのがDSオートモビルだ。
2009年にシトロエンのプレミアムラインとしてスタートした現代のDSは、2014年にシトロエンから独立し、新たなフレンチ・ブランドとして独自のラインナップを構築。現在はセダンのDS 9を筆頭に、フラッグシップSUVのDS 7クロスバック、コンパクトSUVのDS 3クロスバックを用意。ここにミドルクラス・ハッチバックのDS 4が加わった。
プレミアムライン時代にもDS 4クロスバックというモデルが存在したから、今回の新型はその後継に当たるが、当時の面影はなきに等しい。ブランドが掲げる“サヴォア・フェール”(=匠の技)の理念のもとに作られた新型は何よりその彫刻的なデザインが特徴だ。Cセグメントサイズの全長4.4mほどのボディは、丁寧にカットされたダイヤモンドのようなシャープなプレスラインの外板を纏う。特徴的なLEDデイタイムライトやキラキラと輝くLEDヘッドライトはひと目でそれとわかる存在感を示し、同じDSのなかでもフラッグシップセダンのそれより押し出し感が強い。華やかさ溢れるデザインに寄せられる評価は高く、去る1月に開かれた国際自動車フェスティバルにおいてDS 4は“世界で最も美しいクルマ”に選出された。
インテリアもしっかりとデザインされており、トリムの随所には細かなピラミッドの整列させたようなクル・ド・パリ(パリの爪)文様のクロームアクセントが煌めき、スイッチ類もクロームのトリムにうまく溶け込ませるなど、デザイン性と質感の高さはラグジュアリーサルーンのようである。
メカニズムは同じステランティス・グループのプジョー・シトロエン・モデルと基本を共有する。車体はプジョー308らと同様のEMP2プラットフォームを採用。パワートレインは1.6ℓ直4ガソリンターボ+電動モーターのプラグインハイブリッドを筆頭に、力強さとクリーンさを両立した1.5ℓ直4ディーゼルターボと1.2ℓ直3ガソリンターボを用意。今回は一番ベーシックな1.2ℓモデルを試した。
高級路線のモデルに1.2ℓ直3ターボはミスマッチかと思いきや、決してそんなことはない。さすがに3気筒だから音や振動の面ではわずかに雑味が感じられるものの、低速域から十分なトルクを発揮してくれることもあり、街中や高速の追い越し加速などで力不足を感じることはなく扱いやすさが先に立つ。加えて特筆したいのがその乗り心地の良さ。DS(およびシトロエン)にはカメラを使って前方の路面の凹凸を読み取り、瞬時にダンパーの減衰力を最適化するアクティブスキャンサスペンションが用意される。試乗車にもそのサスペンションが備わっていたが、これが実にいい仕事をしてくれるのだ。ドライブモードをコンフォートに設定したときに働くこれは、路面の凹凸の大小を問わずショックを和らげて不快な突き上げを伝えてこない。かといって柔らかすぎることはなく、大きな段差を乗り越えたときにもボディはフラットな姿勢を保ったままでいてくれる。特に首都高速のような継ぎ目の多い道路ではその恩恵にあずかれる機会が多く、その乗り心地のよさに身を委ねてゆったりと快適なドライブが楽しめるだろう。防音や遮音も隅々まで行き届いていて、静粛性が高いのもいい。つまりDS 4はデザインや動的/静的質感、実用性など、ベスト・イン・クラスといっていいほど高い実力を備えたモデルであり、そのインパクトの大きさは偉大なる先達にも負けず劣らないもの。ブランドの理念である高い独創性を体現した、都会派のプレミアム・ハッチとして長く愛される可能性を秘めた一台と言えるだろう。
シャープなプレスラインが特徴的なDS 4のサイドビュー。ドアハンドルは格納されるタイプ。ドア下部がブラックアウトされていることもあってスマートかつ躍動的な印象だ。
クロームのアクセントや稲妻のように走るドライビングライトなど、ひと目でそれとわかる特徴的な表情のDS 4。リヴォリおよびE-TENSEモデルには自動配光のマトリクスLEDビジョンを標準装備する。
コクピット周りもしっかりと作り込まれている。センターコンソールに5インチ・スクリーンを設けた“DSスマートタッチ”を用意。スマートフォンのように画面上に触れてさまざまな機能を操作することができる。
クッションのボリュームがたっぷりとられたフロントシート。適度な硬さとホールド感があり、アクティブスキャンサスペンションとの相乗効果により、実用ハッチとは思えないほど良好な乗り心地が味わえる。
後席もクッション性は高く、掛け心地は上々。リアウィンドーは天地方向に狭いため見晴らしの面では少し窮屈な印象を持つかもしれないが、頭上空間、足元とも十分な余裕が残されている。
ラゲッジルームは430ℓと必要にして十分な容量を確保。リアシートは6:4の分割可倒式とされる。
DS 4は1.2ℓ直3ガソリンターボ、1.5ℓ直4ディーゼルターボ、1.6ℓ直4ガソリンターボ+モーター(PHEV)の3タイプを選択可能。車のキャラクターとしてはPHEVが合っているかもしれない。
<SPECIFICATIONS>
DS 4 リヴォリ ピュアテック
ボディサイズ:全長×全幅×全高:4,415×1,830×1,495mm
車重:1,420kg
駆動方式:FWD
トランスミッション:8速AT
エンジン:直列3気筒ターボ 1,199cc
最高出力:96kW(130PS)/5,500rpm
最大トルク:230Nm(23.4kgm)/1,750rpm
価格:4,490,000円(税込み)
問い合わせ先:DSオートモビル 0120-92-6813
TEXT:桐畑恒治(AQ編集部)
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みんなのコメント
まぁ、スタイリッシュだね。