水素充填の時間はEVの充電時間よりも短いのがメリットのひとつ
世界はクルマの電動化に向かっている。日本でも、実質的なCO2排出量をゼロにするカーボンニュートラルを2050年までに実現するという目標を政府として掲げている。非常に高い目標だが、世界的に見るとまだまだ甘いと感じるほど、ゼロエミッション化の勢いは止まらない状態だ。
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ゼロエミッション、すなわち排ガスを出さないクルマといえば電気自動車が中心となっているが、その運用においては充電に時間が掛かるというネガがある。実際に電気自動車オーナーとして数年を共にしてきた経験からすると、乗用ユースであれば充電の待ち時間というのはそれほど気にならない(通常は普通充電で利用して、月に2回くらいしか急速充電を使わないという使い方のため)のも事実だが、一方で毎日数100kmを走る商用ユースでは、現状のスペックの電気自動車では向いていないというのも理解できる。
というわけで、カーボンニュートラル社会を目指す上で、ゼロエミッション車のもうひとつの選択肢として燃料電池車に注目が集まっている。ご存じのように現在市販されている燃料電池車というのは水素を燃料に酸素と反応させる発電機(これを燃料電池と呼ぶ)を使う、電気で走るクルマだ。水素は高圧タンクに充填するため、満タンまで5分~10分程度で済むというのが電気自動車に対するアドバンテージだ。
燃料電池の性能とタンク容量によって航続可能距離は異なるが、最新の燃料電池車であるトヨタMIRAIは満タン状態で850kmを走ることができるとされている(カタログ値)。このくらいの走行性能を短時間の水素充填でカバーできるのであれば、水素充填の手間はほとんど気にならないといえるだろう。
もっとも水素ステーションは、まだまだ全国で130カ所を超えたレベルである、どこでもスムースに運用できる状態とはいえない。しかしながら、カーボンニュートラルを目指す政策によって、今後は水素ステーションが増えることも期待できる。
長く大事に乗ると水素タンクの使用期限が切れてしまう
とはいえ、水素ステーションが増えればすべての課題は解決して、燃料電池車がどんどん増えるかといえば、ほかにも課題はある。
たとえば量産性だ。2020年12月に登場した2代目MIRAIでは「初代に比べて10倍の生産能力を実現した」というが、それでも年間3万6000台程度の生産規模である。トヨタ・グループ全体の生産台数は2020年で約953万台(これは世界一の数字)となっていることを考えると、MIRAIの生産能力というのは、まったくもって次世代の主流になるとはいえない規模感だ。燃料電池車を普通に見かけるようになるというレベルになるのは、程遠い。
ほかにも燃料電池車の普及に向けた課題はある。意外に知られていないが、燃料電池車が搭載している高圧水素タンクには公式に定められた寿命「充填可能期限」がある。定期的に検査をしていくという前提で、高圧水素タンクの期限は15年と定められているのだ。たしかに700気圧という信じられないほど高圧で水素を押し込むのであるから、ノーメンテで使いっぱなしにできるような代物でないのは当然だが、車体は使えてもタンクが寿命で廃車にせざるを得ないという状況になる未来がやって来るのは、ほぼ間違いない。
燃料電池自体も徐々に劣化が進むものであり、けっして永遠に使えるシステムではないが、そうした経年劣化とは異なる高圧タンクに対する法的な規制による寿命が決まっているという状況は、これから普及させていくのであれば何らかの解決策を見出すべきだろう。
なによりも燃料電池車がカーボンニュートラルに貢献するには、水素の製造自体がカーボンニュートラル化しなければならない。現在は、天然ガスや石油から取り出した水素が流通の中心となっているが、本当に環境モデルとするのであれば、再生可能エネルギーの発電による水分解で製造した水素を中心にすべきであろう。そこに製鉄所などで生まれる副産物としての水素も活用するというのが理想的な未来ではある。
いまのところはカーボンニュートラル社会に必要になるであろう水素インフラと燃料電池車の製造を応援するフェイズのため、水素の製法まで指摘する声は大きくはないが、本当に地球環境に貢献するためにはクリーンな方法で水素を生み出すところまで配慮してこそ、燃料電池車の普及フェイズがやってくるといえよう。
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みんなのコメント
水素タンクの危険性をいうならガソリンタンクの危険性も同じようなもの。
それより近所にできた水素ステーションはいつのまにか休業、近くにあった水素ステーションがなくなる事の方が現実的には大問題でしょう。
そういう現実を記事にしてほしい。