いかにも設計の古そうなエースの直列6気筒
今回の6台の中で、ひときわレーシーなボディをまとうACエース。ボンネットを開くと、いかにも設計の古そうな直列6気筒が顕になる。ヘッドの表面は滑らか。レシプロ飛行機のようなエグゾーストパイプが、高い位置から伸びる。
【画像】直6の英国車たち アストンDB5にジャガーXK150、トライアンフTR5ほか その関連モデルも 全182枚
このAC社製の2.0L 6気筒エンジンは、ネイピア40hpや50hp用のユニットが由来。1919年のロンドン・モーターショーで、その原型が公開されている。
アルミニウム製ブロックに、チェーン駆動のオーバーヘッドカム、クロスフローヘッド、トリプルキャブレターという、当時としては凝った技術を採用。航空機用ユニットをベースに、ジョン・ウェラー氏が先進的な設計を施している。
ストロークが100mm、ボアが56mmとロングストローク型で、レブリミットは3000rpm。当初の最高出力は40psだったが、1947年のAC 2リッター・サルーンの動力源になる頃には、77psへ上昇していた。
その後、技術者のジョン・トジェイロ氏の協力を得て、同社はスチール製チューブラーフレームのスポーツレーサーを開発。フェラーリのバルケッタへ似たボディが与えられ、リーフスプリングを横向きに組んだ、独立懸架式サスペンションが支えた。
ACカーズは、この技術を展開。新しい量産モデルとして、1953年に発表されたのがエースだ。最高出力は86psで、レブリミットは4500rpmへ上昇していた。
車重は810kgと軽く、コンディションが良ければ最高速度は160km/hに到達。独立懸架式のサスペンションが、優れた操縦性を担保した。
運転体験は期待以上にモダン 不思議な印象
当時ACカーズのディーラーを営んでいたケン・ラッド氏は、販売拡大を狙いレッドに塗ったエースをモータースポーツに投入。ラッド・レーシングのマシンとして活躍し、ラッドスピードの名声を築くことにも繋がった。
今回ご登場願った1台も、ラッドによるエース・レーサー。内装が省かれ、流線型のフロントグリルと、低いアクリル製スクリーンを得ているが、量産仕様から殆ど手は加えられていない。エンジンも、驚くほどノーマルへ近い。
ピストンが鋭く上下動する様が、足もとの熱気と、荒々しい排気音で感じ取れる。トランスミッションは、モス社製。ジャガーXK150より扱いやすいとはいえ、丁寧で的確なレバー操作が求められる。
エースは、直線加速が鋭いわけではない。だが着座位置は低く、薄いボディから肘がはみ出るから、スピード感は実際以上。アクセルペダルへ力を込めると、回転数を問わず、爆発的な勢いでトルクが増していく。クレッシェンドする音響とともに。
タイヤは細く、グリップ力は限定的。ステアリングホイールは軽く回せ、クラッチペダルも重くない。カーブでは、挙動を予想しやすく面白い。
運転体験は期待以上にモダン。ただし、動力源は明らかにクラシック。少し不思議な組み合わせに思える。これがエース特有の魅力を醸し出す。ドラマチックなスタイリングと同じくらい、走りに惹き込まれる。
戦前最高といえたBMWの直6エンジン技術
他方、少量生産された1950年代のブリティッシュ・スポーツの多くには、ブリストル社製の直6エンジンが載っていた。その実力を確かめるなら、ご本家、ブリストル405が適任だろう。
AUTOCARでは何度も触れているが、第二次大戦で事業を拡大したブリストル・エアプレーン社は、戦後保証でBMWの技術を取得。戦前最高といえた直6エンジンの技術と、BMW 327の製造権利を手中に収めた。
アルミ製ロッカーカバーの形状から、ツインカムヘッドのように見えるが、カムはブロック側。プッシュロッドによってバルブは開閉され、クロスフローの半球形燃焼室を備える。ツインカムほど複雑ではなく、当時としては小型・軽量に収まっている。
405のスタイリングは、エンジンと異なり327と一線を画す。ジェット時代の到来を象徴するように、大きなフロントグリルは卵型。ボディは英国らしく、ウッドフレームにアルミ製パネルを張った構造を採用する。
同シリーズとして、404と呼ばれるショートシャシーのクーペが存在した。405ではサルーンの他に、今回の例のように4シーターのコンバーチブル、ドロップヘッド・クーペが用意された。
405 ドロップヘッド・クーペの車重は、1206kgと軽量。それでもサイズは小さくなく、全長は4807mmある。背中を起こした運転姿勢で、ロードスターというよりグランドツアラー的。ベントレーやアルヴィスに雰囲気は近い。
至って滑らかで小さな宝石のよう
低域トルクが太く、動力性能に大きな不満はない。高速道路の合流も、臆せず済ませられる。80km/h前後の巡航なら至って快適。それ以上の速度域では、力不足に思えてくるが。
とはいえ、2.0Lエンジンは小さな宝石のよう。至って滑らかで、穏やかなコンバーチブルの雰囲気へ調和する。積極的な中間加速を引き出すには相応に回すことになるものの、音振が小さく上質で、それを実感しにくい。
カーブへ飛び込むと、柔らかいサスペンションと、高めの重心位置が減速を誘う。ボディロールは明確に大きく、クッションのようなシートは身体を支えてくれない。ステアリングホイールにしがみつきながら、旋回することになる。
405 ドロップヘッド・クーペは、ゆったりツーリングするのが正しいスタイル。派手なモデルではないが、製造品質は極めて高い。ペダルやシフトレバーなども含めて、車内の人間工学は理想的。ミッドセンチュリーの趣に浸り、移動を楽しめる。
完全な英国製とはいえないものの、BMW由来のブリストル・エンジンは、クラシカルなブリティッシュ・スポーツの特徴に合致する。当時スポーツカーの生産を考えた復数の小さなメーカーが、この直6を指名した理由にも大いに納得できる。
協力:SLJハケット社、ACヘリテージ社
エースと405 2台のスペック
ACエース(1953~1963年/英国仕様)
英国価格:1439ポンド(新車時)/25万ポンド(約4875万円/現在)以下
生産数:220台
全長:3861mm
全幅:1511mm
全高:1245mm
最高速度:160km/h
0-97km/h加速:11.0秒
燃費:8.9km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:810kg
パワートレイン:直列6気筒1991cc 自然吸気SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:86ps/4500rpm
最大トルク:14.4kg-m/2750rpm
ギアボックス:4速マニュアル(後輪駆動)
ブリストル405 ドロップヘッド・クーペ(1954~1956年/英国仕様)
価格:3188ポンド(新車時)/20万ポンド(約3900万円/現在)以下
生産数:43台
全長:4807mm
全幅:1727mm
全高:1461mm
最高速度:177km/h
0-97km/h加速:13.0秒
燃費:8.5km/L
CO2排出量:−
乾燥重量:1206kg
パワートレイン:直列6気筒1971cc 自然吸気OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:106ps/5000rpm
最大トルク:16.9kg-m/3650rpm
ギアボックス:4速マニュアル(後輪駆動)
この続きは、直6の英国車たち(3)にて。
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