2024年の東京オートサロンで公開され、観衆に衝撃を与えたレクサス LBX MORIZO(モリゾウ) RRの市販型が早くも登場した。モリゾウこと豊田章男氏のこだわりが詰まったその走りをサーキットでたっぷりとテイスティングした。(MotorMagazine2024年9月号より)
GRの生産ラインで専用のボディ強化が施される
東京オートサロン2024に参考出品されたコンセプトカーがほぼそのままの内容で登場したレクサスLBX MORIZO RRは、その名のとおりMORIZO(モリゾウ)ことトヨタ自動車会長、そしてマスタードライバーでもある豊田章男氏の思いを具現化したクルマだ。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
正直、ブランディングとしては解せない部分もある。しかし間違いなく言えるのは、このクルマが大人のハイパフォーマンスモデルとして、きわめて完成度の高い仕上がりを実現しているということだ。
見た目のインパクトは強烈。しかし実際は、外観はベースとなるLBXから大きくは変更されていない。
フロントグリルの開口部面積が大きくなり、大径サイズのタイヤ(235/45R19)とホイールを収めるべくフェンダーエクステンションが大型化されて全幅は15mm増の1840mmに。1535mmの全高はスペック上は10 mm減だが、ベース車にはないシャークフィンアンテナ込みでこの数字だから、実際には25mm低い。そしてリアに回れば左右出しのマフラーがアピールしているが、異なるのはそれぐらいである。
要するに、ベース車の素性の良さ、プロポーションの力強さが、シンプルに引き伸ばされているということだろう。品があるのに存在感は格別である。
GRヤリスなどと共通の1.6L直3ターボユニットは、最高出力304ps、最大トルク400Nmを発生する。トランスミッションは6速MTと8速AT。電子制御式フルタイムAWDシステムは、前後駆動力配分を100:0から最大50:50までの可変とする。GRヤリスのようにリア寄りにしていないのは、クルマのキャラクターに鑑みてのことだ。
当然、車体も相当に強化されている。ボディのスポット溶接打点は1割以上も増やされ、構造用接着剤の塗布延長は約1・5倍に達する。他にも補強パーツ、ブレースの追加などが、これでもかと行われている。実はLBX MORIZO RR生産拠点はトヨタ元町工場内のGRファクトリー。つまり、GRヤリスと同じように半・手作業で作られるのである。
その他にも興味深い技術がいくつも盛り込まれている。なかでもとりわけ目をひいたのがREDS(Response-EnhancementDamping Structure)、レスポンス向上減衰構造である。コの字断面のロアアームの内側に熱硬化樹脂を塗布し、焼き付けることで、最低限の重量増でアームのたわみを抑制する。操舵レスポンス改善に大きな効果を発揮するという。
さて、その走りは一体どんな仕上がりなのか。今回はATとMT、2台を試すことができた。いずれもサポート性の良いシート、そしてLBXよりさらに下げられたシート位置のおかげで良好なドライビングポジションを取ることができるのが好印象である。
回頭性とエンジンサウンド、すべての小気味良さが段違い
走り出すと、まずは想像以上のボディの剛性感に唸らされたが、本当の驚きがもたらされたのは、コーナーに向けてハンドルを切り込んだ時のこと。まさしく一切の遅れ、曖昧さなしにノーズがインを向き始めて、思わず面食らってしまったのだ。
このまさに異次元と評せるレスポンスは、REDSの効果だろう。実際、通常こうした場面ではゴムブッシュより前に、アームがたわんでいるのだという。それを減衰しているのだから、効果も納得だ。
サスペンションは適度なストローク感があり、標準装着されるコンチネンタル コンチスポーツコンタクト7も接地感はしなやか。駆動力配分もフロント主体ということで、レスポンスは鋭いが挙動はピーキーではない。安定していて、しっかり刺激も味わえる、実に良いバランスと言える。
エンジンは実用域から力感十分で、かつ高回転域まで爽快に回り切る。AT仕様は変速ショックが小さく、この辺りもGRヤリスとは大きく異なるが、「SPORT」モードに入れればアクセルレスポンスが一層鋭くなり変速の切れ味も高まる。ちなみにMTにはモード切り替えはない。いつでも「SPORT」というわけである。
アクティブサウンドコントロールによってスピーカーから出力されるサウンドも気持ちを昂らせる。3気筒のネガを消すだけでなく、逆に旨味を強調した音色は、ついアクセルを踏ませるものだ。ベース車はレクサスLBXで車体自体は遮音が行き届いているから、雑味が少ないのも良い。
実はオプションとなる〝マークレビンソンプレミアムサラウンドサウンドシステム〟装着車では、トラクションコントロールをオフにすると音量がさらに高まる。これはヘルメット装着時を想定しているとのこと。サウンドはクルマと対話するうえで、大切な要素だという作り手の思いが感じられるところである。
LBX MORIZO RRは、とにかく走りを楽しめるクルマだ。しかも、それは大人のスポーツ性とでも表現したい上質な手触りで仕立てられたもので、きっと輸入車を乗り継いできたような層にも響くのではないだろうか。
価格は650万円から。内容からすれば決して高くはない。ただし、昨秋のLBX登場時に飛びついたユーザーのことを考えると、追ってこういうクルマが出るというアナウンスはあっても良かったのではないか、とは思うところである。(文:島下泰久/写真:永元秀和)
【レクサスLBX モリゾウRR 主要諸元】
●Engine
型式:G16E-GTS
種類:直3DOHCターボ
総排気量:1618cc
ボア×ストローク:87.5×89.7mm
圧縮比:13.5
最高出力:224kW(304ps)/6500rpm
最大トルク:400Nm(40.8kgm)/3250-4600rpm
燃料・タンク容量:プレミアム・50L
WLTCモード燃費:12.5[10.7]km/L
CO2排出量:186[217]g/km
●Dimension&Weight
全長×全幅×全高:4190×1845×1535mm
ホイールベース:2580mm
トレッド前/後:1580/1585mm
車両重量:1440[1470]kg
最小回転半径:5.5m
●Chassis
駆動方式:4WD
トランスミッション:6速MT[8速AT]
ステアリング形式:ラック&ピニオン
サスペンション形式 前:ストラット 後:ダブルウィッシュボーン
ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク
タイヤサイズ:235/45R19
●Price
車両価格:6,500,000円[6,500,000円]※[]内はAT車
[ アルバム : レクサス LBX MORIZO RR試乗 はオリジナルサイトでご覧ください ]
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