現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ボルボ XC60 T5 SEはエントリーモデルだが、実は「本命」モデルだった【10年ひと昔の新車】

ここから本文です

ボルボ XC60 T5 SEはエントリーモデルだが、実は「本命」モデルだった【10年ひと昔の新車】

掲載
ボルボ XC60 T5 SEはエントリーモデルだが、実は「本命」モデルだった【10年ひと昔の新車】

2010年8月、ボルボの人気モデル「XC60」に2L直4ターボエンジンを搭載したFF仕様の「T5 SE」が追加されて注目を集めた。それまで3L直6ターボの4WDモデル「T6」で人気を集めていたが、よりカジュアルなXC60の登場はどのように受け入れられたのか。Motor Magazine誌では登場間もなく試乗テストを行っているので、今回はその時の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2010年10月号より)

世界市場で6万台以上を販売しボルボの主力車種となっているXC60
ボルボのラインナップのなかで、今一番注目されているのはXC60だろう。2009年秋に導入されたばかりであるが、世界的には6万台以上を販売し、ボルボの主力車種となっている。日本での販売台数を見てもT6 SEの599万円だけという価格にもかかわらず、200万円台後半からあるV50や400万円台半ばから用意されてるV70に次ぐ3番目のモデルになっている。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

日本で売れるのも当然だろう。ボディサイズを見ても日本の道路環境にはちょうどいい大きさであり、それでいてボルボの最新安全技術が投入され、日本市場に必要な装備も用意されているのだから、受け入れられるのもわかる。

また、例えばナビモニターひとつとってもXC60は日本市場に受け入れられる要素を持っていた。ボルボの唯一の弱点と言ってもいい純正ナビモニターだが、このXC60からインパネの一等地にすっきりと収まっているのだ。

改めてボルボXC60を眺めると、新世代のボルボフェイスを持っていることがわかる。それはボンネットのVシェイプとDNAライトだ。こうしたデザインは新しいC30やC70、そして来年春に日本導入予定のS60などにも採用され、離れた場所からでもひと目でボルボ車だとわかるようになっている。

4WDシステムを持たないが、T5 SEの499万円は大きな魅力
XC60 T5 SEの魅力は、その価格にもある。これまでは約600万円のプライスしか選択の余地のなかったXC60だが、このT5 SEは499万円だ。これならFFでも不満はないだろう。そうそう、XC60 T5 SEは4WDシステムを持たない。ボルボ=4WDというイメージを持つ人も多くいるかもしれないが、XC60 T5 SEは前輪駆動。"4WDは必要じゃない"という人にとって、これはお買い得感がある。

しかし今回試乗したXC60 T5 SEの最大トピックは、ボルボの最新のパワートレーンが搭載されたことである。組み合わされるトランスミッションは、パワーシフトと呼ばれる6速DCTだ。ボルボのT5というと2.5Lの直5ターボというイメージが強く残っているが新世代のT5は2Lの直4直噴ターボエンジンである。 

この新しいボルボの高効率エンジンは、静かでとても上品な雰囲気を持っているのだが、右足に力を込めアクセルペダルを踏み込んでいくと、車重が約1.8トンあるボディをグイグイと引っ張っていく"力強さ"という一面も見せてくれる。たしかに、比較すれば、3Lの直6ターボを積むT6より絶対的なパワーはない。しかし、このT5に非力さを感じるかと言えばそうではないのだ。XC60のキャラクターにとても合ったエンジンだと言っていいだろう。

"パワーシフト"も粗さが顔を出すことなく熟成されて、とても滑らかなものに仕上げられていた。トルコン式ATのようなスムーズさと言ってもいい。このあたりの味付けは意図的にされているのだろう。もちろん、このDCTは燃費にも貢献している。ATに比べ約8%の燃費向上ができるという。さらにボルボ初となるブレーキエネルギー回生システムを採用している。

軽快ささえ味わえたこの新しいパワーユニットをかなりアップダウンの激しいワインディングに持ち込むこともできたが、そこでも力不足を感じることはなかった。ただし、鋭角な曲がり角やUターンの時など、もう少し小回りが効いて欲しいと思う人はいるだろう。ちなみに最小回転半径は5.8mとこのクラスの平均的なものだ。また、4WDではないことに不満もなく、このエンジンなら車重が軽いFFの方がいい面を引き出せる組み合わせなのかもしれない。

新しいボルボの"顔とパワートレーン"を持ったXC60 T5 SEは、これからのボルボの牽引車となっていくだろうと確信できた試乗だった。(文:Motor Magazine編集部 千葉知充/写真:島村栄ニ)

ボルボ XC60 T5 SE 主要諸元
●全長×全幅×全高:4625×1890×1715mm
●ホイールベース:2775mm
●車両重量:1790kg 
●エンジン:直4DOHCターボ
●排気量:1998cc
●最高出力:149kW(203ps)/6000rpm
●最大トルク:300Nm(30.6kgm)/1750-4000rpm 
●トランスミッション:6速DCT
●駆動方式:FF
●車両価格:499万円(2010年当時)

[ アルバム : ボルボ XC60 T5 SE はオリジナルサイトでご覧ください ]

関連タグ

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

[車検]費用が増える? 2024年10月より車検での[OBD検査]を本格運用へ
[車検]費用が増える? 2024年10月より車検での[OBD検査]を本格運用へ
ベストカーWeb
即納って不人気車なの!? なんでそんなに待たなきゃならん!? [納期]にまつわる素朴なギモン
即納って不人気車なの!? なんでそんなに待たなきゃならん!? [納期]にまつわる素朴なギモン
ベストカーWeb
いまさら人には聞けない「ベンチレーテッドディスク」と「ディスク」の違いとは? ブレーキローターの構造と利点についてわかりやすく解説します
いまさら人には聞けない「ベンチレーテッドディスク」と「ディスク」の違いとは? ブレーキローターの構造と利点についてわかりやすく解説します
Auto Messe Web
ラリージャパン2024開幕直前。豊田スタジアムやサービスパークの雰囲気をお届け/WRC写真日記
ラリージャパン2024開幕直前。豊田スタジアムやサービスパークの雰囲気をお届け/WRC写真日記
AUTOSPORT web
メルセデス・ベンツの『GLE』系と『GLS』にオンライン先行受注にて“Edition Black Stars”を設定
メルセデス・ベンツの『GLE』系と『GLS』にオンライン先行受注にて“Edition Black Stars”を設定
AUTOSPORT web
ラリージャパン2024“前夜祭”が豊田市駅前で開催。勝田貴元らが参加のサイン会とパレードランが大盛況
ラリージャパン2024“前夜祭”が豊田市駅前で開催。勝田貴元らが参加のサイン会とパレードランが大盛況
AUTOSPORT web
フランス人スター選手と一緒の気分? 歴代最強プジョー 508「PSE」 505 GTiと乗り比べ
フランス人スター選手と一緒の気分? 歴代最強プジョー 508「PSE」 505 GTiと乗り比べ
AUTOCAR JAPAN
セカオワが「愛車売ります!」CDジャケットにも使用した印象的なクルマ
セカオワが「愛車売ります!」CDジャケットにも使用した印象的なクルマ
乗りものニュース
トヨタWRCラトバラ代表、母国戦の勝田貴元に望むのは“表彰台”獲得。今季は1戦欠場の判断も「彼が本当に速いのは分かっている」
トヨタWRCラトバラ代表、母国戦の勝田貴元に望むのは“表彰台”獲得。今季は1戦欠場の判断も「彼が本当に速いのは分かっている」
motorsport.com 日本版
メルセデスAMGが待望のWEC&ル・マン参入! アイアン・リンクスと提携、2025年LMGT3に2台をエントリーへ
メルセデスAMGが待望のWEC&ル・マン参入! アイアン・リンクスと提携、2025年LMGT3に2台をエントリーへ
AUTOSPORT web
TCD、モータースポーツ事業を承継する新会社『TGR-D』を2024年12月に設立へ
TCD、モータースポーツ事業を承継する新会社『TGR-D』を2024年12月に設立へ
AUTOSPORT web
ウイリアムズとアメリカの電池メーカー『デュラセル』がパートナーシップを複数年延長
ウイリアムズとアメリカの電池メーカー『デュラセル』がパートナーシップを複数年延長
AUTOSPORT web
“650馬力”の爆速「コンパクトカー」がスゴイ! 全長4.2mボディに「W12ツインターボ」搭載! ド派手“ワイドボディ”がカッコいい史上最強の「ゴルフ」とは?
“650馬力”の爆速「コンパクトカー」がスゴイ! 全長4.2mボディに「W12ツインターボ」搭載! ド派手“ワイドボディ”がカッコいい史上最強の「ゴルフ」とは?
くるまのニュース
フェラーリ育成のシュワルツマンが陣営を離脱。2025年はプレマからインディカーに挑戦
フェラーリ育成のシュワルツマンが陣営を離脱。2025年はプレマからインディカーに挑戦
AUTOSPORT web
スバルBRZに新たな命を吹き込む 退役軍人のセカンドキャリアを支援する英国慈善団体
スバルBRZに新たな命を吹き込む 退役軍人のセカンドキャリアを支援する英国慈善団体
AUTOCAR JAPAN
オープンカー世界最速はブガッティ!「ヴェイロン」より45キロも速い「453.91km/h」を樹立した「W16ミストラル ワールドレコードカー」とは?
オープンカー世界最速はブガッティ!「ヴェイロン」より45キロも速い「453.91km/h」を樹立した「W16ミストラル ワールドレコードカー」とは?
Auto Messe Web
リバティ・メディアCEOマッフェイの退任、背景にあるのはアンドレッティとのトラブルか
リバティ・メディアCEOマッフェイの退任、背景にあるのはアンドレッティとのトラブルか
AUTOSPORT web
『ローラT92/10(1992年)』“賃貸住宅ニュース”で強いインパクトを残した新規定グループCカー【忘れがたき銘車たち】
『ローラT92/10(1992年)』“賃貸住宅ニュース”で強いインパクトを残した新規定グループCカー【忘れがたき銘車たち】
AUTOSPORT web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

739.0839.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

45.0999.0万円

中古車を検索
XC60の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

739.0839.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

45.0999.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村