ベストカーwebの仕事をしていると、もはや耳タコ状態のワード、“若者のクルマ離れ”。
クルマを買う若者が減ってしまい、残念ながらクルマ業界は「“若者度”が低い」と言われているわけだが(「それってほんとに本当か?」という数字もじつは今回出てくる)、ほかの業界はどうなんだろうか?
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趣味や嗜好の分野、スポーツへの関心、もちろんクルマ業界も取り上げて、その分野のなかの「若者の比率=若者度」(主に20~30代)を探ってみた。さっそく紹介していこう。
※本稿は2018年5月のものです
文:ベストカー編集部/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2018年6月26日号
■クルマ編
●29歳以下のクルマ保有率…56.6%
「あれ? 若者のクルマ離れはウソだったの?」と思わせるような数字
内閣府・消費動向調査(2018年3月調査)による「世帯主年齢層別の乗用車保有率」、それの29歳以下が上の数字(中古車保有も含む)。“世帯主”基準なのですべての29歳以下が対象ではないけど、「意外に高い比率じゃないの?」と感じる。
じつはこの数字、1年前との比較でも約10%アップしている。若い人もクルマに目が向いてきたのだろうか? SUV人気の定着などの要因も考えられるだろう。
ちなみにそのほかの世帯主年齢層別の数字は、30~59歳=78.6%、60歳以上=65.3%となっている。
●29歳以下の新車購入率…29.9%
初期購入費用の高さがネックになっていそう
クルマ保有率と同じく内閣府・消費動向調査によるもので、クルマ保有率のデータのなかから「新車購入」を抽出したもの。
新車となると一気に数字が下がるが、それでも3人に1人は新車購入。それでもクルマが必要な地方部の人からすると低い数字に感じるかもしれない。
なお世帯主年齢層別の数字は、30~59歳=59.7%、60歳以上=51.5%。
●40歳未満の軽自動車所有率…34.8%
「小さくて手頃な価格」は若い世代の味方
世帯主の世代別軽自動車の所有率(総務省・統計局のデータ・2015年)。40歳未満がこの数字で、40歳代の32%よりは高く、70歳以上の37%より低い。ちなみに、この70歳以上が全世代でNo.1。
●40歳未満の二輪車所有率…18%
20代は6%、50代は28%と、如実な差が
四輪同様、“若者離れ”が叫ばれる二輪車業界。この業界の若者度は? ということで40歳未満の所有率がこの数字(男性の場合)。やはり低い、か。このなかで20代は126~400ccまでのオンロードバイクを好む傾向、ということが判明。
●スーパーGT 観戦者の20~30代の比率…30%
「20代が10%、30代が20%」という割合に
決勝日の1日だけで5万8000人の入場者数を集めたこともある、スーパーGT。そのレースの開催場所の富士スピードウェイに聞いた数字が上のとおり。概算だけど、けっこう若者、来てますね。
「ここ十数年変わらない数字なので、今後はもっと高い割合にしていきたいですね」とは、富士スピードウェイ広報の方の弁。
* * *
【旧車好きの若者度、意外と高い予感が……!?】
ここで再びクルマ関連の若者度を。1960年代~1980年代前半の旧車が好きな若い世代、意外と多いらしいが、実際はどうか?
毎年秋に開催される「お台場旧車天国」。実行委員会の方から、2017年イベント来場者の世代別比率を教えてもらった。10代=4%、20代=4%、30代=15%と30代までが23%と高い。
国内外の名車は若者にも響くわけだね。
なお、今年の「お台場旧車天国」は11月18日(日)に東京・お台場で開催。クラシックカー&バイク700台の展示に加えて、試乗体験もあります。詳細はこちら。
■趣味・嗜好編
●競馬を楽しむ人の平均年齢…56.1歳
28年前は43.2歳
この競馬の項目では「競馬を楽しむ人の平均年齢」で紹介。その楽しむ人の平均年齢、1990年は43.2歳だったが、2017年には56.1歳まで上昇。1990年頃はオグリキャップなどスター馬がいて大ブームが起きたけど、最近は誰でも知っている競争馬がいない。「要因はそれだ!」という声も。
●銭湯・利用者の20~30代比率…37.7%
たまにはのんびり広い風呂に入りたいよね~。
東京都文京区のデータを紹介。「年に1回以上、銭湯を利用しますか?」の問い、その20~30代の回答結果がこれ。意外と高い。97%が「家に風呂あり」なのでたまには広い風呂に、ということ!?
●20代・酒を飲まない比率…25.3%
4人に1人がお酒を飲まないの!?
東京都生活文化局が発表したデータ(2017年)。20代男性の飲酒頻度で最も多いのが「週に1~2日飲む」(32.6%)、次いで「飲まない・飲めない」(25.3%)。20代は飲酒に消極的と耳にしていたが、「やはり」である。50~60代は「毎日飲む」がトップなので大きな違い。「ノミニケーション」は今の若者とはできないのだろうか!?
●20~30代の喫煙率…27.5%
昭和世代からみたらもーぜんっぜん吸ってません
厚生労働省によるデータ(2017年)。20~30代男性の平均喫煙率が27.5%、1965年(昭和40年)が82.6%なので、激減率が激しい。ちなみに20代=22.8%、30代=32.1%と若年層ほど低い。
「約28%なら多いんじゃない?」と思う人もいるかもしれないが、1965年は82.6%。激減ぶりは明らか。ちなみに男性の全世代喫煙率比較では1965年=82.3%、2017年=28.2%とやはりこちらも激減している。
●立ち飲み居酒屋・利用者の20~30代の比率…35%
若い人も意外と立って飲んでいる?
中小企業ビジネス支援サイトのデータ。各世代の「立ち飲み居酒屋利用率」で、20~30代男性の比率がこれ。意外と高い。体力がないと立って飲むのも辛いものね(笑)。立ち飲みといっても「俺のやきとり」など若い層にもウケそうな新興系も多いので、35%の数字も納得できる。
年代・性別で見ると、利用率(よく利用する&たまに利用する)が最も高いのは20代男性(19%)で、次いで30代男性(16%)、50代男性(15%)と若い層が2トップ。手頃価格のおしゃれ系立ち飲み屋が増えたことも背景にありそうだ。
●立ち食いそば店・利用者の29歳以下比率…24%
オヤジのめし処にも若い層が進出!?
全国展開する立ち食いそば店「ゆで太郎システム」からの提供データ。「詳細な数字ではないですけど、29歳以下は24%ほど。私どもの“ゆで太郎”の2/3ほどは郊外店で、土日に若い層のお客様が多いこともあり、高めの数値になっていますね」とは広報部。ちなみに「海老2種のかきあげ丼セット」(650円)が企画担当、イチ押しである。
* * *
【「一人ラーメン&ギョウザ女子」増し増し中!!】
ここでは若者度ではなく意外な「女子度」をチェック。「男女別の一人での外食」統計(2016年度)を調べていて目についたのが「女性一人でラーメンかギョウザをお店で食べる」比率。
20.3%と、5人に1人の割合。これは高い。トップは「そばかうどん」で24.5%。
その2016年はラーメン好き女子(ラー女)が注目された年だが、最近も牛丼店同様、一人でラーメンを食べている女性、見ますものね。ちなみに「一人でイタリアン」は10.3%と低い。こちらも意外な印象が残る。
■スポーツ編
●30歳未満のプロ野球の関心率…47%
清宮、大谷効果で半数ほどに浸透していますよ!
国技、大相撲と並んで、日本の国民的スポーツといっていい野球。30歳未満のプロ野球関心率=47%、という数字にも表われ、若い世代にも定着。今年は清宮&大谷で盛り上がってますから(大谷は去年まで日本のプロ野球選手)。
ちなみに「50代以上の関心率は28%」。オヤジたちのほうがプロ野球離れ!?(ヤフー調べによる「そのスポーツへの関心率」より・男女合計)
●30歳未満のJリーグの関心率…41%
プロ野球より低いのは正直意外です
お次はJリーグ、どうなんじゃろか? 30歳未満の関心率は41%と、プロ野球よりも低い。プロスポーツとしてプロ野球より歴史が浅く、そのぶん若者度は高いと思ったのでやや意外な結果だ(ヤフー調べによる「そのスポーツへの関心率」(男女合計)より)。
●40歳未満の大相撲の関心率…32%
ちなみに「30歳未満」になると18%まで下降
ヤフー調べによる「そのスポーツへの関心率」(男女合計)で紹介。まず40歳未満の大相撲への関心率がこの数字。意外と高いし、関心を持つ35%が女性という驚きの結果に。
●20代のプロレスの関心率…15.9%
プロレスをテレビや会場で見たことあります?
各世代へ「プロレスをテレビや会場で見たことがありますか?」(2016年調査)と聞いたところ、20代男性は上記の数字。最高値は60代男性で61.6%。が、最近の新日本プロレスは若者にも人気で、東京・後楽園ホール開催ではチケットが取れない試合もあるという。
●大相撲の新弟子比較…33.2%
あの「平成4年」に比べると最近の新弟子数は激減
大相撲の若者といえば「新弟子」。平成以降は平成4年が最も多く年間で223人。直近の29年は74人と激減。比較すると33.2%まで減少。若者は大相撲を避ける傾向か。
平成4年は新弟子の「関取昇進率」が10%を超えるなど、豊作年。空前の若貴ブームが要因。
●競輪・観客の20~30代比率…10.2%
宝クジより一攫千金のチャンスは高いハズ!?
やや古いが生活情報センターによるデータ(2015年)。お客の20~30代比率は10.2%と低め。ちなみに、40~50代=29.7%、60歳以上=60.1%と、“60歳以上の花園”といった感じ。
■その他編
●東京23区、15~29歳の人口減少率…52.3%
若者、大都会に馴染めないってよ
東京都心から若者が減少、という噂を聞き、統計局データを見るとでてきたのが上の数字。これ、なにげに響く数字じゃないですか。
1970年から2015年の45年間、東京23区の総人口は+4.9%だが、15~29歳の人口はマイナス52.3%。特に20~24歳は63.1%の大幅減。人口の若者減に加え、家賃高騰により郊外に住み始めているのが要因。
23区のなかでも新宿区や渋谷区、港区といった“さらに都心”ではさらに若者層が減る傾向とのこと。逆に65歳以上は+322.1%の増加だという。
●地方公務員試験・競争倍率…12.1%
景気が上向きだと公務員の競争倍率は下がる?
名古屋市の場合、行政一般(試験区分)では、平成29年度/受験者数857人・合格者数71人=12.1倍。平成24年度/受験者数1269人・合格者数113人=11.2倍。5年間倍率はあまり変わらないが、受験者数が大幅減。若者度低化の傾向だ。
●歌舞伎・観客の20~30代の比率…13.2%
若者の伝統芸能離れは確実に進んでいるようです
この数字は、東京銀座・歌舞伎座の前売り券のデータ。全体に占める割合で見ると、20~30代は13.2%と(やはり)低い。スーパー歌舞伎など、さまざまな工夫で若者など新しい客層を獲得しようと動いているようだけど、若者層獲得への道は平坦ではなさそうだ。
ちなみに歌舞伎座の前売り券販売、女性の比率が72%と高い。
●大学生の将棋ルール理解率…46.2%
羽生さん、藤井さんの影響が強いか!?
「マイナビ学生の窓口」による大学生(男女)向けの調査結果。「将棋のルールを知っていますか?」との問いに「はい」と答えたのが46.2%。ルールを知っている=将棋に関心がある、という認識でこの数字を若者度にしたい。羽生竜王や藤井六段が与えた影響はかなり大きいだろう。
●大学生の囲碁ルール理解率…33.7%
3人に1人は関心あり
こちらも「マイナビ学生の窓口」よりの数字。大学生(男女)へ「囲碁のルールを知っていますか?」と聞いたところ「はい」と答えたのが33.7%。50代の担当は五目並べしかルールは知らないが、今の学生は3人に1人が知っていると高い割合。7冠独占し、国民栄誉賞となった井山裕太九段の影響もあるだろう。
●大学生の麻雀ルール理解率…26.2%
「四暗刻も大三元も知っているし、ツモる!?」
続けて「マイナビ学生の窓口」よりのデータ。数字だけ見ると低い感じだが、4人に1人は知っているということ。さらに男性のみなら52%。テストも国士無双のごとくもちろん高得点ですよね?
* * *
【中高年が馴染まなかった分野に侵入するという現象もあり!】
最後に中高年が意外なところに流入中! という動きをご紹介。
まずは「ダンスブーム」。隊列を組んで踊る激しいジャズダンスが60代以上の女性に人気。筋力の衰えをカバーするとともに神経が鍛えられる効果もあるという。
「ポケモンGO」大ブームもすっかり沈静化したが、50~60代中高年層の間では今もしっかり定着。「休日、家にいてもやることがないし、歩くので健康のためになる」がハマる理由だそうだ。なるほど理にかなっているかもしれない。
また、全国各地の「フリーペーパー」ではシニア向け版が次々と創刊中。読者も増加中で相乗効果あり。フリーペーパー=若者というイメージはもはや昔の話なのかもね……。
* * *
……以上、いろんな業界、いろんな趣味の世界のなかの若者の比率(若者度)を探ってみたが、立ち飲み屋利用数や囲碁ルールの理解度など、意外と高い若者度であることが判明。
他業界に負けじと、クルマ業界の若者度も上げていきたいものであります!
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