フルモデルチェンジしたトヨタの新型「シエンタ」を見たモータージャーナリスト、小川フミオの感想とは?
機能性と両立したデザイン
トヨタの底力を見られた気がするのは、新型「シエンタ」だ。2022年8月23日に発売された、大きくてちっちゃいマルチパーパス・クロスオーバーともいえるクルマ。イタリアとかフランスのメーカーが得意そうなパッケージングであるが、トヨタも負けていない。使い勝手はよさそうだ。
シエンタは小さなサイズのミニバンとして開発されたモデル。今回は3代目となる。2015年登場の先代は、2735mmのホイールベースに全長4235mmのボディと、内部は広く(3列シートも設定)、外はコンパクトというパッケージを特徴とした。
もうひとつの特徴がデザインだ。
初代は昔のフォルクスワーゲンが作りそうなマジメでおもしろくないスタイリングだったが、2代目はぐっとエモーショナルに。スライド開閉式の後席用ドアや、大きな開口部をもつテールゲートと機能を追求しながら、車体のラインはオーガニックな印象で、デザインとしてもおもしろかった。
今回の3代目も、キープコンセプト的な雰囲気が感じられる。車体全長は4260mmで、ホイールベースは2750mm。このあたりが使いやすいサイズなのだろう。機能を最優先させつつ、半弧を描くルーフラインによる躍動感など、なかなかうまいデザインだ。
大きな切り欠きの後席用スライドドアや、広いインテリアスペース、レイアウトの自由度が高いシート、それに豊富なモノ入れなど、こりゃ、いちど使ったら便利でなかなか止められないディテール満載だ。
トヨタ・デザインの力
欧州車では、シトロエン「C3エアクロス」やフィアット「パンダ」など、パッケージングとスタイリングをうまく両立させたモデルがある。それより以前から、商用車をベースに、マルチパーパスなモデルを仕立てるのに長けていて、日本でも一定のファンを獲得してきた。
「“コンパクトカーの運転のしやすさ”と“ミニバンの利便性”を深化させた」というのが、トヨタ自動車の謳い文句。商用はもとより考えていないので、さきに触れたとおり、シートアレンジの自由度など、「“使い勝手の良い室内空間”を一層磨き上げる」(トヨタ)ためのさまざまな方策が実を結んでいるようだ。
低めに抑えたフロア地上髙(330mm)や段差のないフラットなフロアというデザインは継承された。後席用スライドドアは電動開閉式とするとともに、開口部の高さを1200mm(従来型プラス60mm)拡大するなど、抜かりのないかんじだ。驚かされたのは、27インチタイヤの自転車でも搭載できる積載性である。
ダッシュボードのデザインは、個人的に、クオリティの高さとデザイン性において先代を評価しているが、新型シエンタはモノ入れが多く、その意味では合目的的なデザイン。造型美を超越している。
デザインの本質は、弱者のニーズへの対応にあるとしたのは、ドイツのデザイン評論家ゲルト・ゼレ(『デザインのイデオロギーとユートピア』)だった。シエンタに乗るひとは、雨が降ってきたときや買い物、家族でキャンプに行くと、そのたびに、使いやすさを発見するかもしれない。そういうところに、トヨタ・デザインの力があるのだろう。
新型シエンタは、ここ近年のトヨタの勢いを感じられる1台だ。しかも、価格は195万円からとリーズナブル。
ヒットは間違いないだろう。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
スバル新型「スポーツ“セダン”」公開! MT採用&パフォーマンス重視設定がイイ! 羨ましすぎる水平対向エンジン搭載モデル! 米に登場の「WRX tS」はどんなクルマとは
全長4.1m級の日産「超“コンパクト”GT-R」!? 600馬力の「V6ツインターボ」搭載! 5000万円超えで「市販化」しちゃったヤバすぎモデルとは
罰金“計180万円”!? 「“ニセ”ナンバー」で暴走行為! 課せられる「罪」の重さは想像以上! 偽装ナンバーの見分け方とは
600馬力! プーチン大統領の「すごい高級車」登場! 約7トンの「巨大ボディ」に驚きの声も! 金正恩氏に贈られた“超高級車”「アウルス セナート」に反響!
全長9m! 2000万円級のいすゞ「新型モデル」発表! 6速AMT搭載で「豪華仕様」も設定! 機能向上した「新ガーラミオ」発売
みんなのコメント