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4気筒に新しい選択肢 ポルシェ・マカン Tへ試乗 専用のシャシー設定 264psは不変

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4気筒に新しい選択肢 ポルシェ・マカン Tへ試乗 専用のシャシー設定 264psは不変

スポーツカー以外では初めての「T」

ポルシェの中型SUV、マカンが発売されたのは2014年。初めから4気筒モデルもラインナップされていたが、当初の英国では裏メニューのように特別にオーダーを入れる必要があった。ポルシェとしては、6気筒モデルを積極的に売りたかったのだろう。

【画像】4気筒の新しい選択肢 ポルシェ・マカン T 競合する中型クロスオーバーと比較 全132枚

しかし、それから8年で状況は変わった。ガソリン価格は上昇を続け、英国では自動車税も高くなった。より少なく小さいモデルへの需要は、間違いなく高まっている。

4気筒エンジンのマカンは、数年前から堂々とグランドメニューを飾るようになった。2018年に第2世代へモデルチェンジして以降は、確実に販売台数を伸ばしている。

というわけで、マカンに新しい4気筒エンジンの「T」が登場した。スポーツカー以外に、ポルシェがこのイニシャルを用いるのはこれが初めて。マカンの4気筒としては、2種類目となる。

このTの1文字は、ポルシェではツーリングを意味する。シャシーをアップデートし、ドライビング体験を高めた内容を与えるというレシピは、クロスオーバーでも変わらない。

マカン Tのフロントに搭載される、2.0Lガソリンターボの最高出力は264ps、最大トルクは40.7kg-mで、これは通常のマカンと同じ。ただし、スポーツクロノ・パッケージが標準装備となり、0-100km/h加速時間は0.2秒短い。

専用のシャシーチューニングで差別化

シャシー側には少なくない手が加えられており、サスペンションには15mm車高が落ちるスチールコイルが組まれる。PASMと呼ばれるアダプティブダンパーも標準装備。エアスプリングはオプションで選べる。

フロントのアンチロールバーは、より強固なものへ交換。四輪駆動システムとトラクション・コントロールは、リアタイヤ側が通常より主役として働くように調整されている。

20インチのアルミホイールで足元が引き締められ、リアスポイラーで後ろ姿をスタイルアップ。バンパーのインテーク部分がグレーでコーディネートされるなど、見た目の差別化も抜かりない。これらの変更で、英国価格は5000ポンド(約82万円)のプラスだ。

マカン Tは、ベースグレードのマカンとV6エンジンのマカン Sとのギャップを埋めることになる。4気筒エンジンということで、どちらかといえば通常のマカン側に近い。

さて、実際に運転してみると、もう少しパワーがあってもいいと感じた。エンジン自体は、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIと同じもの。恐らくポルシェのオーナーとしては歓迎できる事実ではないと思うが、間違いなく能力は高い。

洗練性に優れアクセルレスポンスは鋭く、7速デュアルクラッチATとの愛称はバッチリ。しかし、ハッチバックでは余力に溢れているものの、大柄なクロスオーバーの場合は異なるようだ。車重は1865kgもある。

筆者がポルシェの技術者なら、よりパワフルで個性豊かなホンダ・シビック・タイプRのユニットを選びたいと考えるかもしれない。実現不可能だとしても。

ドライバーを惹き付ける操縦性

定番のルートを運転してみたものの、ベースグレードのマカンとマカン Tで明確な違いは実感できなかった。前回の試乗から、だいぶ時間が開いているけれど。

ステアリングホイールへは多くの感触が伝わり、フィードバックも不足ない。乗り心地と操縦性とのバランスも、中型のクロスオーバーとして考えれば充分にドライバーを惹き付けるものだといえる。

反面、エアサスペンションを装備したV6エンジンのマカン Sで感じる、充足感にまでは至らない。路面へ見事に追従し、背の高いクロスオーバーに乗っていることを忘れるような興奮までは得られない。

冷静に味わっていくと、登場からの時間の経過も滲み出てくる。2018年に登場した2代目マカンは、基本的には2014年の初代を大幅にアップデートしたモデル。骨格とするアーキテクチャを受け継いでいるためだろう。

インテリアの雰囲気は、落ち着いていて上質感が漂う。ただしこれは、Tでなくても共通している。インフォテインメント・システムは、アンドロイド・オートへまだ対応していなかった。

仕上がりはオプション・パッケージ的

ポルシェが、4気筒のマカンを拡充しようと考えた理由は理解できる。「T」というグレードのポジショニングも。それでも、独立したグレードとして設定するには充分な内容とはいいにくいように感じた。

マカン Tの英国価格は、V6エンジンを搭載したマカン Sと約1000ポンド(約17万円)しか違わない。この程度の差なら、動力性能やドライビング体験、ドライバーの興奮度を考えて、筆者ならマカン Sを選ぶだろう。

ベースのマカンに、オプション・パッケージとして設定しても良かったと思う。BMWのMスポーツのようにスポーティなアイテムが並び、人気のチョイスになるのではないだろうか。

少なくとも、求める以上に排気量の大きいV6エンジンを選ばずに済むユーザーが増えることは、確かではある。

ポルシェ・マカン T(英国仕様)のスペック

英国価格:5万5800ポンド(約920万円)
全長:4726mm
全幅:1922mm
全高:1621mm
最高速度:231km/h
0-100km/h加速:6.2秒
燃費:9.3-9.9km/L
CO2排出量:229-242g/km
車両重量:1865kg
パワートレイン:直列4気筒1984ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:264ps/5000-6500rpm
最大トルク:40.7kg-m/1800-4500rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

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