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俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記第2部「少年探偵団編」のVol.11─マツダRX-8

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俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記第2部「少年探偵団編」のVol.11─マツダRX-8

「ボ、ボ、ボクらは少年探偵団・ヤングタイマー探訪記第2部」のはじまりです。1980年代、1990年代に販売された“ちょっと、古い、クルマ”に焦点を合わせ、クルマをこよなく愛する俳優・永山絢斗が当時の車両の正体を暴く“探偵”に扮します。永山探偵をサポートする“物知り少年”は自動車評論家の小川フミオ(少年O)とGQ JAPAN編集部のイナガキ(少年I)のふたり。取り上げるのは、マツダのロータリー・スポーツ「RX-8」だ。

“情熱”を感じるスポーツカー

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少年I 「できるだけ長くカープで精神的な柱としてやっていってほしいって言葉をいただき、すごくうれしかったです」

少年O 赤いヘルメットの野球選手姿、どうしたんですか。背番号は15ですね。

少年I 黒田博樹選手のマネです。

【前話】フォード・エスコート(マーク1)

少年O 1996年にカープ、当時の球団名は広島東洋カープですが、そちらに入団して、途中、大リーグに行ったりしながら、2014年にカープに戻って2016年まで投げていた、すぐれた投手です。

探偵 黒田投手と今回のクルマとどう関係があるんでしょうか。

少年O 今回とりあげるクルマは、広島といえば! の、マツダが手がけたRX-8だからです。黒田選手の有名な生涯広島宣言と同様、自然吸気型のロータリーエンジン搭載で、生涯マツダ宣言しそうな熱心なファンを持つモデルです。2003年に発売されて、2012年まで作られました。

探偵 ぎゅっと凝縮されたような4.4mの全長に、かなり大きなホイールアーチと存在感の大きなタイヤの組合せが目を引きますね。しかも、今やレアなロータリーエンジン搭載車というのも魅力的です。

少年O デザインをまとめた前田育男さん(現・マツダ株式会社常務執行役員)が、RX-8発表当時こんなことを書いてらっしゃいます。「市場環境の変化によって,歴史あるスポーツモデルが消えていくなかで,スポーツカーが存在し得る新しいフィールドを生み出すこと,それが長年にわたってスポーツカーを造り続けてきたマツダの使命だと言える」。

探偵 マツダ、熱いですね。以前乗った初代ユーノス「ロードスター」といい、マツダのスポーツカーにはどれも“情熱”を感じます。

少年I スタイリングの特徴は、後席用に「フリースタイルドア」という小さな、後ろヒンジのドアをもつ、変型4ドアということですね。

少年O 当時マツダを傘下に置いていた米国のフォードモーターカンパニーが、RX-8の開発の申請をマツダから受けたとき、「RX-7とロードスターがあるのに、それ以上2ドアは必要ないだろう」と言ったのを受け、打開策として考えられたそうですね。小さなドアにしてキャビンをコンパクトに……という命題の解決策でもありました。

少年I 新世代のロータリーエンジンのスポーツカーを作りたい、って考えた開発陣の執念を感じます。当時、開発の裏側に迫ったテレビ番組を見ましたが、フォード傘下で非常に大変ななか、つくられたのがよくわかりました。

探偵 そこにストーリーがありますね。

【俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記】
メルセデス・ベンツ500E
ランチア・デルタHFインテグラーレ
マセラティ・ギブリ(2代目)
メルセデス・ベンツGクラス(2代目)

商用車チームの活躍

少年O 聞くところによると、トラックからの発想だったと。当時、マツダがタイで生産していた「Bシリーズ」というデュアルキャブ、前後に席があるキャビンをもつトラックで採用したのが、同じような後ろヒンジのドア。そこに着想を得たそうです。

少年I スポーツカーの原点がトラック、というのはおもしろいですね。

少年O いやいや、少なくともマツダの場合、商用車部門ありきなんですよ。マツダのスポーツカーの原点とも言えるRX-7だって、商用車部門から生まれたモデルなんですよ。意外でしょう。

探偵と少年I 意外、意外。

少年O マツダには「プロシード」というピックアップがありまして、1970年代には強力な13Bロータリーエンジン搭載の「B1600」ってすごいモデルを北米で売っていました。そのクルマの足まわりを担当していたのが、マツダのエンジニアだった貴島孝雄さん。

少年I マツダファンには、2代目および3代目のロードスターの主査を歴任されたことで知られているかたですね。

少年O はい。その貴島さんが担当したのがRX-7のサスペンションシステム。クルマ全体も、商用車チームが担当することになったんだそうです。「わが社には商用系出身のヒーローが多い」ってマツダのひとは言いますね。

探偵 なぜですか?

少年O 乗用車では失敗を恐れてあまり冒険できないこともあり、結果、商用車部門がもうすこし自由に、おもしろいアイディアを出してきたというのが、マツダのキャラクターにつながっているようです。もちろん、エンジンをはじめ、いわゆるドライバビリティの高さが追求されて、本当にいいクルマになるわけです。

【俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記】
日産PAO
スバル・レガシィ・ツーリングワゴン(初代)
ユーノス・ロードスター(初代)
ホンダ・NSX(初代)

最後の限定車

探偵 RX-8のロータリー・エンジンは、9000rpmまでまわるって、当時から評判のエンジンということで、すごく興味があります。それにしても、きれいな状態のクルマですね。

少年I これは「スピリットR」という、2011年から2012年にかけて2000台だけ発売された限定車です。内外装がちょっと特別。エンジンの最高出力は235psです。マツダ自身が動態保存している個体なので、まるで新車みたいですよね。

探偵 シフトレバーのノブとか、シートとかにロータリーエンジン特有の三角形のローターのモチーフが使われているのがユニークですね。

少年O 「それは、新しき者」「それは、異端者」っていう、当時のコマーシャルありましたね。走りとデザインに特化したような内容で、米国の子どもが自動車の走行音を言うときの擬声語をブランドのキャッチコピーに使った「Zoom Zoom」とともに、当時のマツダはバタくさかったのを思い出します。

探偵 いまでもマツダ車は、“媚びない”ように思います。デザインも独創的ですし。

少年I 日本製ガイシャってかんじです。

探偵 RX-8が最後のロータリーエンジン搭載車ってことで、実車に接することが出来て感慨ぶかいです。私は1989年生まれなので、このクルマが現役のときはすでに運転免許を取得していたものの、乗る機会はなかったので……。

少年I 私も探偵とおなじ1989年うまれです。私が生まれた年には、トヨタの初代「セルシオ」とか日産「スカイラインGT-R」とかキラ星のごときニューモデルが日本から出てきています。でも、運転が出来るころになると、それらはフルモデルチェンジで変わっていて乗れませんでしたし、マツダのロータリーエンジンも接する機会がほとんどありませんでした。

【俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記】
シトロエンCX
メルセデス・ベンツSクラス(W126)
ローバー・ミニ
フェラーリ360モデナ
フォードRS200

ロータリーならではの爽快な走り

少年O 探偵、さっそく運転した感想はいかがでしょうか?

探偵 これはなかなか気持ちいいですねえ。エンジンがシューンっと、高回転までまわるんです。下のほうの回転域でややトルクが薄いかなという気がしないでもないんですが、マニュアル変速機搭載車なので、むしろ楽しいといえます。

少年O トルクの太いクルマってわざわざマニュアル変速機で乗らなくてもいいかな? と、思いますけど、トルクが細めのクルマとマニュアル変速機の組合せって、じつは楽しいですよね。シフトアップもタイミングが早すぎると、トルクが薄くて加速が悪い。しまった、次回はうまくやるぞと、そのクルマのトルクバンドを頭にたたきこんで乗るのがいいんですよね。

探偵 はい。でも、このクルマのばあい、そこまで薄くはないですけどね。シフトフィールがカチッとしていて、なかなかよいです。私が自分で乗るとしたら、マニュアル変速機のモデルがいいです。それにしても音が静かです。もっと暴力的かと思っていましたが、乗り心地を含めて、考えていた以上に洗練されていました。

少年O 室内の作りは上質ですよね。これみよがしの贅沢さはないですが、素材やカラーを吟味しているのもあって、スポーティです。

少年I こだわりっていうのが、自動車づくりでも、もっとも重要な部分ですよね。いわば“核”にあってほしいなぁ……と。RX-8は随所にこだわりを感じるクルマなので、心に響きます

少年O 広島市内には、RX-8ばかり置いてある中古車の販売店とかありますよね。このクルマのまわりにいるひとは、やっぱり、熱いんです。

【俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記】
メルセデス・ベンツ500E
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メルセデス・ベンツSクラス(W126)
ローバー・ミニ
フェラーリ360モデナ
フォードRS200
フォード・エスコート(マーク1)

【プロフィール】
俳優・永山絢斗(ながやまけんと)

1989年3月7日生まれ。東京都出身。2007年『おじいさん先生』(日本テレビ系列)で俳優デビュー。連続テレビ小説『おひさま』や『べっぴんさん』(NHK総合)、『ドクターX~外科医・大門未知子~ 第5シリーズ』(テレビ朝日系列)、そして2021年には『俺の家の話』(TBS系列)に出演。映画では2010年の『ソフトボーイ』で第34回日本アカデミー賞・新人俳優賞を受賞。

<出演情報>
・2022年1月7日(金)20:00より放送テレビ東京系列 新春ドラマスペシャル『優しい音楽~ティアーズ・イン・ヘヴン 天国のきみへ』に出演。
・2022年2月20日(日)23:00放送・配信WOWOWオリジナルドラマ『にんげんこわい』第3話『紺屋高尾』主演。

まとめ・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) スタイリスト・Babymix メイク・竹下フミ ヘア・大野愛郎(BEAUTRIUM) 撮影協力・横浜ベイホテル東急

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