■トヨタSUV三兄弟、なぜ「ハイランダー」は日本に来ない?
近年、トヨタのグローバル市場を支えているといっても過言ではないのが、TNGAプラットフォーム「GA-K」を採用したSUV三兄弟「RAV4」、「ハリアー」、「ハイランダー」の3台です。
日本市場では、2019年4月にRAV4、2020年6月にハリアーが発売されていますが、ハイランダーは北米、欧州、中国など主要市場で展開されるも日本では未発売となります。
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トヨタのSUV三兄弟は、北米市場において2018年にRAV4(中国名:ワイルドランダー)、2019年にハイランダー、そして2020年にヴェンザ(日本名:ハリアー)が登場。
また、ハイランダーは中国で「クラウンクルーガー」という車名でトヨタ第一汽車が「上海モーターショー2021」で正式発表することを明らかにしています。
それぞれ北米、欧州、中国などの国や地域で大ヒットを記録するなど高い人気を誇るモデルです。
RAV4やハリアー、ハイランダーは同じプラットフォームを用いているものの、パワートレイン構成やボディサイズが異なります(排気量などは国や地域によっても異なる)。
RAV4(日本仕様)は、ガソリン車とハイブリッド車・プラグインハイブリッド車を設定しており、ボディサイズは全長4600mm-4610mm×全幅1855mm-1865mm×全高1685mm-1690mmです。
ハリアー(日本仕様)は、ガソリン車・ハイブリッド車を設定し、全長4740mm×全幅1855mm×全高1660mmのボディサイズとなり、RAV4と共に日本ではミドルサイズSUVに分類されています。
一方で、日本で未発売となるハイランダー(北米仕様)は、ガソリン車とハイブリッド車を設定して、全長4950mm×全幅1930mm×全高1730mmと、全長5m近いボディサイズに3列シートを設定するなど、日本市場ではマツダ「CX-8」に近いモデルです。
このように同じ三兄弟といいつつも異なる個性を持っているRAV4/ハリアー/ハイランダーですが、それぞれの世界観についてトヨタの担当エンジニアは次のように話しています。
「RAV4/ハリアー/ハイランダーは、同じプラットフォームですが、それぞれテーマを持っています。
RAV4は、『これぞSUV』というテーマや『RAV4の4は4WDの4』ということもあり、ずば抜けた4WD性能を持つことを特徴として世界初のダイナミックトルクベクタリングAWDを採用しています。
ハリアーは、RAV4やハイランダーといった王道のSUVでは無い、独自のモデルとして開発して、両車で培ったノウハウを一切捨てて、SUVを超えたSUVを目指して作りました。
そして、海外で展開しているハイランダーは、女性が扱うことを意識しています。
北米でのハイランダーは、奥さんが子どもを2列目や3列目に乗せて学校に送迎して、自分はそのまま仕事に向かうという使い方もあるため、移動の部分にウエイトを振っています」
※ ※ ※
また、ハイランダーの日本導入に関してトヨタは「日本ではサイズが大きすぎることもあり、導入は未定」と説明しています。
■ハイランダーは気になる? ユーザーの反響は?
海外にはハイランダーと同じようなパッケージを持つSUVが多く存在します。
スバル「アセント」やホンダ「パイロット」、日産「パスファインダー」などがそれにあたりますが、ハイランダー同様に日本での販売はおこなわれていません。
では、ユーザーからはどのような反響なのでしょうか。
RAV4やハリアーを扱うトヨタの販売店は次のように説明しています。
「現在は、ハリアーの人気が好調ですが、RAV4も発売当社は物凄く人気がありました。当店では、『ライズ』や『ヤリスクロス』というコンパクトSUVや、RAV4・ハリアーのミドルサイズが人気です。
一方で「ランドクルーザープラド」は、一定数の販売台数を維持していますが、サイズが大きめなことや、価格帯が上がることなどでコンパクト、ミドルよりは多くの台数は出ません。
ハイランダーに関しては、ニュースなどで取り上げると、それを見たお客さまから日本での発売に関する問合せを頂くことありますので、ある程度の需要はあるのかもしれません」
また、スバルの販売店では「海外向けに3列シートを持つアセントがあります。度々ネットなどで取り上げるとお客さまから『日本では販売しないのか』というお声をいただきます」と説明しています。
国産唯一の3列シート専用車となるCX-8を販売するマツダの販売店は次のように説明しています。
「2017年12月に発売された当初、ミニバンに代わるモデルとして話題となったほか、他社を含めてさまざまなお客さまから多くの関心を寄せられました。
サイズが大きいこともあり、爆発的に売れるというモデルではありませんが、順調に販売台数を伸ばしていますが、最近ではやや伸び悩んでいる印象もあります。
元々、3列SUVというコンセプトに加えて、高級感のあるモデルでしたが、ある程度販売が続くとそのあたりを求めるお客さまに行き渡った印象があり、最近ではコンパクトな『CX-30』やミドルサイズの『CX-5』が堅調な販売となっています」
※ ※ ※
近年、国内外の自動車メーカーは、海外ならび国内市場でSUVのラインナップを拡充させています。
国内にでは、コンパクトSUVが増えるとともに販売も好調ですが、その反動なのかボディサイズが大きめのSUVは爆発的人気とはいかないようです。
こうした要因もあり、程よいボディサイズかつ異なる個性を持つRAV4とハリアーのみを国内で販売するという状況が続いているといえます。
今後、3列SUV需要が拡大する可能性があれば、グローバルで展開されるハイランダーも日本導入は大いにありえますが、現時点では難しいかもしれません。
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