現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 元祖和製プレミアムSUVがスポーティさを手に入れた!──新型レクサスRX500h Fスポーツパフォーマンス試乗記

ここから本文です

元祖和製プレミアムSUVがスポーティさを手に入れた!──新型レクサスRX500h Fスポーツパフォーマンス試乗記

掲載 4
元祖和製プレミアムSUVがスポーティさを手に入れた!──新型レクサスRX500h Fスポーツパフォーマンス試乗記

フルモデルチェンジしたレクサス「RX」の高性能グレードに、自動車研究家の山本シンヤがアメリカで試乗した。

NXからのフィードバック

愛車の履歴書──Vol11.常盤貴子さん(後編)

1998年に“高級セダンの快適性を兼ね備えたSUV”として開発され、登場したのがRXだ。初代および2代目こそ、日本でのレクサス開業前だったためトヨタ「ハリアー」として発売されたが、2009年に登場した3代目からはレクサスRXとしてわが国でも発売されている。グローバルにおけるレクサス最量販モデルとしてビジネスをけん引する重要な1台だ。

5代目となる新型は、単なる世代交代だけでなく、デザインや走りといったあらゆる部分を。“次世代レクサス”として色濃く体現したモデルである。日本導入時期は現時点で未定であるものの、ひと足さきに、アメリカ・サンタバーバラで行なわれた国際試乗会で体感してきた。

初代RXのコンセプトは歴代モデルに受け継がれてきたが、はたして新型はいかに? というのも、おなじメカニズムを採用した新型「NX」のスポーティな走りに、筆者は「新型RXもスポーティに振った走りだったら嫌だなあ……」と、心配だった。しかし、走り始めて数10mで「おっ、これは紛れもなくRXだ!」と、感じた。なぜか?

ステアリング切り出しの滑らかさや正確性の高さ、意のままのハンドリング、バネ上振動の収まりが良いシットリとしたボディコントロール、凹凸を優しく吸収しつつもフワフワさせない乗り心地……と、いった基本性能は新型NXよりも上だ。

おそらくリアまわりの骨格の刷新や、リアマルチリンクサスを採用した新世代プラットフォームなどの採用と、NXからのフィードバックが効いているのだろう。

2度おいしい

ただし、RX500h Fスポーツパフォーマンスだけはほかのモデルとは別格だった。Fスポーツパフォーマンスは”Fスポーツを超えるFスポーツ“を目標に設定された新グレードで、専用の内外装&フットワークに加えて、専用パワートレインを搭載するのが特徴である。

そのパワートレインはフロントに2.4リッター直列4気筒ガソリンターボ+モーターパラレルハイブリッド+クラッチ機構付き6速AT、リアに高出力モーターを搭載。この前後のパワートレインを協調させて4輪の駆動力を緻密に制御するシステムが「DIRECT4」だ。これはBEV(バッテリー式電気自動車)の「RZ」で初採用された技術になるが、新型RXのそれはハイブリッド用である。

フットワークも専用のリニアソレノイドAVS、後輪操舵角が拡大(最大4度)されたDRS(ダイレクト・リア・ステア)、21インチ専用タイヤ(ミシュラン・パイロットスポーツ4)、6ピストン対向キャリパーなども奢られる。

実際に乗るとパワートレインはモーターアシストと言うよりも電動の過給機のようなイメージで、THSII(シリーズパラレル式)にはない“小気味よさ”、“伸びの良さ”、そして“ダイレクト感”を持った「気持ちいいハイブリッド」である。システム出力は367hpで2トンオーバーの重量級ボディを「速い!」と、言わせるだけのパフォーマンスは備わっている。

クラッチ機構付6速ATはトルコンレスとは思えない滑らかさと、トルコンレスらしい小気味良さを両立。若干、停止直前の回生ブレーキからメカブレーキへの受け渡し時こそ僅かにギクシャク感があるのが気になったものの、市販時までに改善されるはずだ。

運転するととにかくクルマが小さく・軽く感じる。その走りはSUVとは思えないレベルで、下手なスポーツカー顔負けの意のままのコーナリングが可能である。これは優れた基本素性にくわえて、クルマの接地荷重に応じて4輪の駆動力を緻密の制御するDIRECT4による旋回性と、安定性を高いレベルで両立させる後輪操舵の合わせ技によるものだ。しかし、制御モノにありがちな“機械に曲げられている感覚”はなく、まるで「運転が上手くなった?」と錯覚してしまうほど自然なコーナリングだ。

このように記すと、本格的なスポーツ系グレードのように思う人がいるかもしれない。しかし普通に走らせている分には、上記のアイテムは完全に黒子へ徹し、RX本来の上質な走りをつくる。乗り心地はほかのグレードと比べるとわずかに硬めであるが、リニアソレノイドAVSの絶妙な塩梅のセットアップにより、ちょっと引き締まった程度。快適性に不満はなかった。

RX500h Fスポーツパフォーマンスは普段はプレミアムクロスオーバーSUVに恥じない乗り味であるものの、ひとたびアクセルを踏むと、心躍るような加速を楽しめるなどひと粒で2度おいしいグレードと言える。

「RXを壊せ」

RXには他に2.4リッター直列4気筒ガソリンターボ(RX350)、2.5リッター直列4気筒+モーターのハイブリッド(RX350h)とプラグイン・ハイブリッド(RX450h+)も用意する。

この展開はNXとおなじであるものの、RXへの搭載にあたり静粛性が大きく引き上げられているのが印象的だった。絶対的なパフォーマンスはNXより重量があり、わずかに劣るものの、アクセルを踏んだ時の穏やかな特性は逆にRXらしいジェントルな味付け。動力性能に不満は感じなかった。

エクステリアは一見キープコンセプトに感じるものの、新旧を見比べると別物。ボディに溶け込んだスピンドルグリル、ホイールベース延長や前後トレッド拡幅などによるスタンスの良さなどによって“伸びやかさ”や“柔らかさ”を感じるデザインだ。

ちなみにボディ後半のフローティングクオーターピラーは先代から受け継がれた部分だが、新型では立体的なデザインになった。

インテリアは物理的なスイッチを減らし、タッチパネルとステアリングスイッチに多くを集約させた操作系を採用(レクサスでは「TAZUNAコクピット」と呼ぶ)。メーターフードからドアトリムまで連続的につながる造形を採用し、水平方向の伸びやかさと奥行きを感じるデザインになっている。

NXで採用されたダイアル式ドライブモードは廃止されタッチパネルでの操作に変更された。すでにSNS上では賛否が出ているが、ステアリングスイッチのカスタム機能にドライブモードが埋め込み可能なのは、NXからの進化だ。

ちなみに大型タッチディスプレイの操作性は悪くないが、直感操作がしにくい部分やチープアイコン/アニメーションは要改善。この辺りは開発陣もシッカリと認識しているので、OTAによるアップデートに期待したい所だ。

新型RXの開発時、ブランドホルダーでもある豊田章男社長は「RXを壊せ」と語ったそうだ。それを開発陣は「コアモデルだからこそ“挑戦”が必要」と理解してクルマづくりを行なったというが、結果“RXらしさ”はさらに色濃くなったように感じた。全方位でNXの兄貴分らしい“大人の余裕”を備えた1台に仕上がったと思う。

文・山本シンヤ

関連タグ

こんな記事も読まれています

 アリストって完ぺきじゃね!? FFのスペース効率とFRの運動効率を備えた究極のクルマ説をガチ検証
 アリストって完ぺきじゃね!? FFのスペース効率とFRの運動効率を備えた究極のクルマ説をガチ検証
ベストカーWeb
電動化の[新型ロードスター]でもこだわりたい”人馬一体”感!! でもやっぱり内燃機関でしょ!!!!
電動化の[新型ロードスター]でもこだわりたい”人馬一体”感!! でもやっぱり内燃機関でしょ!!!!
ベストカーWeb
スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第7戦SUGOは小出峻がポール・トゥ・ウインで今季2勝目
スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第7戦SUGOは小出峻がポール・トゥ・ウインで今季2勝目
AUTOSPORT web
宮田莉朋、2番手チェッカーもペナルティで後退。マルタンスが今季初優勝/FIA F2第6戦レース1
宮田莉朋、2番手チェッカーもペナルティで後退。マルタンスが今季初優勝/FIA F2第6戦レース1
AUTOSPORT web
角田裕毅、F1スペインGPは為す術なく19位がやっと「うまくいかなかった理由を理解すべく、全てを分析しなきゃいけない」
角田裕毅、F1スペインGPは為す術なく19位がやっと「うまくいかなかった理由を理解すべく、全てを分析しなきゃいけない」
motorsport.com 日本版
雨でびしょ濡れ! タッチパネルがめんどい! オッサンが最新式のクルマにキレる「ハイテクトラブル」急増中!
雨でびしょ濡れ! タッチパネルがめんどい! オッサンが最新式のクルマにキレる「ハイテクトラブル」急増中!
ベストカーWeb
ル・マンでサーキットの救急車に乗ることに! お土産は「カルフール」のレース関連グッズ、特にエコバッグがオススメです【みどり独乙通信】
ル・マンでサーキットの救急車に乗ることに! お土産は「カルフール」のレース関連グッズ、特にエコバッグがオススメです【みどり独乙通信】
Auto Messe Web
“尋常じゃない上げ幅”のTEAM MUGENにどう対抗? セカンドロウの坪井翔&牧野任祐が得た手応え/第3戦SUGO
“尋常じゃない上げ幅”のTEAM MUGENにどう対抗? セカンドロウの坪井翔&牧野任祐が得た手応え/第3戦SUGO
AUTOSPORT web
フロントロウ独占の裏に“共闘”アリ。TEAM MUGEN陣営が振り返るそれぞれのアジャスト/第3戦予選
フロントロウ独占の裏に“共闘”アリ。TEAM MUGEN陣営が振り返るそれぞれのアジャスト/第3戦予選
AUTOSPORT web
F1 Topic:マクラーレンのモーターホームで火災発生。搬送者が出るなか、代表が被害状況把握に務める
F1 Topic:マクラーレンのモーターホームで火災発生。搬送者が出るなか、代表が被害状況把握に務める
AUTOSPORT web
フィアット600 詳細データテスト 500より増した実用性と快適性 フィアットらしい元気さは不在
フィアット600 詳細データテスト 500より増した実用性と快適性 フィアットらしい元気さは不在
AUTOCAR JAPAN
F1スペインGP決勝速報|フェルスタッペンがノリスとの接戦制す。RB角田裕毅は19位と苦戦
F1スペインGP決勝速報|フェルスタッペンがノリスとの接戦制す。RB角田裕毅は19位と苦戦
motorsport.com 日本版
フェルスタッペン、猛追ノリスを退け掴んだ今季7勝目に喜び爆発。角田裕毅は終始苦戦19位|F1スペインGP決勝
フェルスタッペン、猛追ノリスを退け掴んだ今季7勝目に喜び爆発。角田裕毅は終始苦戦19位|F1スペインGP決勝
motorsport.com 日本版
今見ても美しい!! 5ドアクーペルックのBMW3シリーズ320iグランツーリスモ試乗プレイバック
今見ても美しい!! 5ドアクーペルックのBMW3シリーズ320iグランツーリスモ試乗プレイバック
ベストカーWeb
豪華装備のダイハツ「アトレー」は街乗りもアウトドアも両立! ケイワークスならではのハイエンドマルチ軽キャンパーとは
豪華装備のダイハツ「アトレー」は街乗りもアウトドアも両立! ケイワークスならではのハイエンドマルチ軽キャンパーとは
Auto Messe Web
「1つ以外は」最新ミニに求めるすべて! 1.5L 3気筒の新型クーパー Cへ試乗 活発な子犬のよう
「1つ以外は」最新ミニに求めるすべて! 1.5L 3気筒の新型クーパー Cへ試乗 活発な子犬のよう
AUTOCAR JAPAN
ベントレー「ベンテイガ」に世界5地域からインスピレーションを得た限定シリーズが登場! マリナーが仕立てた極上旅を表現した5台とは
ベントレー「ベンテイガ」に世界5地域からインスピレーションを得た限定シリーズが登場! マリナーが仕立てた極上旅を表現した5台とは
Auto Messe Web
アクシデントで途中終了に終わったSF第3戦。優勝の野尻智紀が安全対策に警鐘鳴らす「起こるべくして起きた印象。準備が足らなかったのでは」
アクシデントで途中終了に終わったSF第3戦。優勝の野尻智紀が安全対策に警鐘鳴らす「起こるべくして起きた印象。準備が足らなかったのでは」
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

4件
  • 国葬に出席しない蓮舫さんに 大人気ないとか 出席する人にとやかく言う必要はないとか その前に統一教会と安倍の関係や 創価学会と係わりをもつ公明党がなんで与党に居座れるのか? オウムにしろ幸福の科学にしろ 振興宗教ってのは 目的が金や権力ってのは 今や常識だからなw いつまでも自由民主主義と言う名の やりたい放題国家に騙されてる場合ちゃうぞ ってことでトヨタさんには頭の痛い話しかな~ 知らんけどw。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

666.0901.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

81.01163.0万円

中古車を検索
RXの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

666.0901.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

81.01163.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村