この記事をまとめると
■ホンダアメリカが電動モビリティの「モトコンパクト」を発表した
この自由過ぎる姿こそホンダ! 誰も考えつかない歴代「ぶっ飛び」コンセプトカーがヤバい
■未使用時にはまるでアタッシュケースのようなボックス状に折りたたむことができる
■日本に並行輸入したとしてもそのままではナンバーを取得することができない
世界が注目する新しいマーケット「eモビリティ」
グローバルには電動化時代になって二輪モビリティへの注目度が上がっている印象が強い。
日本では古くから愛用されている電動アシスト自転車は、ペダルを漕いでいるときしか電動ユニットを動かしてはいけないのが基本だが、海外製の電動自転車のなかには、レバー操作などによって電動モーターの出力をコントロールして、電気だけでの走行も可能な「eモペット」と呼ばれるカテゴリーのモデルも増えている。
日本にもeモペットの並行輸入品はそれなりに見られ、エッジの効いたユーザーが公道を走行している様子を見かけることも増えているようだ。ただし、ペダルをこがずに電動で走れるeモペットになると扱いの上では原付もしくは特定原付としなければならないので、ナンバーをつけずに公道走行をするのはNG。ナンバーがない状態ならば、あくまで私有地内で乗るべきモビリティだ。
日本における合法・違法の問題はさておき、いわゆる原付クラスの電動バイクよりも低出力で、より近距離ユースに特化したスモールモビリティというのは世界的に新しいマーケットを生み出している。
そうした“小さな電動モビリティ”に大本命の登場だ。
ホンダがアメリカで「モトコンパクト」なる超小型で折りたたむようにして格納できる電動スクーターを発表した。
アルファベットの綴りを紹介すれば「Motocompacto」。英語で小さいことを示すコンパクトの綴りは「Compact」なので、最後の“o”は余計な気もするが、これが正しい商品名となっているので、お間違いなきよう。
写真からもわかるように、モトコンパクトは文字通りにコンパクト。アメリカで発表されたインチ表記のサイズを、日本でなじみのあるSI単位に換算すると、折りたたんだ状態でのスリーサイズは、74cm×54cm×9.4cmと発表されている。形状としてはアタッシュケースのようであり、サイズ的には大きめのスーツケースになら入ってしまいそうなくらいだ。重量についても19kg足らずと超軽量に仕上がっている。
リヤタイヤやハンドルなどを展開した走行状態においても、スリーサイズは97cm×89cm×44cmと、電動スクーターとしてみてもかなりコンパクト。といっても、ホンダが作った二輪モビリティだけに、小さいながらも安定して走ることが期待できる。
すでにホンダは1980年代にスモールモビリティを商品化していた
ちなみに、電動パワートレインの構成は車体の低い位置に積まれたバッテリーと、フロントタイヤを駆動するモーターの組み合わせ。最高出力は490Wで、満充電であればおよそ12マイル(約19.2km)の走行が可能と発表されている。なお、バッテリーの充電に要する時間は110Vの家庭用コンセントにつないで3.5時間ということだ。
注目なのは、この「モトコンパクト」はコンセプトモデルではなく、市販が決定していること。アメリカにおいてはホンダやアキュラといった4輪販売店にて995ドルからの価格で買うことができるという。為替レートを円安よりに見積もっても15万円というのは、大手メーカーが手がけた電動スモールモビリティとしては破格といえる。
ところで、ホンダの発表した「モトコンパクト」の情報が日本に入ってきた最初の段階から、コアなファンからは「モトコンポの再来だ!」という声が上がっている。ホンダ自身も“モトコンポ”をインスパイアしてモトコンパクトが生まれたと公式に認めている。
「モトコンポ」というのは、ホンダが初代シティと同時開発した、クルマのトランクに載せられることがセールスポイントとなる、折りたたみ式の原付スクーター。発売は1981年なので、当然ながらパワートレインは2サイクル単気筒エンジンだったが、それゆえに燃料や油脂類が漏れないようにするためのさまざまな工夫が必要だったというエピソードもある。
ビジネス的には成功したとはいえないモトコンポだったが、そのユニークなルックスと、クルマに小さなバイクを積んで、目的地でのちょっとした移動に利用する6輪生活というカー&バイクライフの提案は1980年代としては斬新で、いまでも十分に通用するモータリングライフスタイルといえる。
もちろんモトコンパクトも、そうした活用を前提としている。ACコンセントを備えたクルマに載せておけば、移動しながらモトコンパクトを充電することができるなど電動車との相性がいいスモールモビリティともいえそうだ。
そんなわけで、モトコンパクトが発表されて以来、日本での発売を求める声は大きい。
ただし、アメリカで公開されているモトコンパクトの写真で見る限り、ウインカーなどの保安部品は備わっていなようであるし、プロモーションビデオを見ると、歩道を走行するスモールモビリティとして企画されているようだ。
歩道も走れるモビリティとなると、もし日本で販売するとなれば、いくつかの保安部品を追加して特定小型原付として仕上げる必要がありそうだ。もしくはクローズドエリアでの走行に限定するといった売り方も考えられるが、冒頭で触れたように、eモペットを違法に走らせているユーザーが少なくない状況では、そうした売り方にはリスクが大きいかもしれない。
いずれにしても、電動化時代の6輪生活を提案するモビリティとして「モトコンパクト」は非常に魅力的。ホンダ車のトランクやラゲッジにはモトコンパクトを充電するためのACコンセントが標準装備されるということになると、大いに盛り上がりそうだ。
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みんなのコメント
でも車に乗っていて横に居たらと思うとゾッとする。