2015年の東京モーターショーにコンセプトカーとして出展され、大きな話題となったトヨタのコンパクトFRスポーツ「S-FR」。その後、開発中止、開発再開という流れを繰り返し、待ちわびるファンをヤキモキさせたが、とうとう開発中止が正式に決定した。
しかし今回、トヨタ社内で驚くべき若年層向けスポーツモデルの開発が進んでいることが判明した。本稿では新たに掴んだトヨタの新型スポーツカープロジェクトをご紹介したい。
文:ベストカー編集部
ベストカー2018年1月10日号より
■安くて使いやすいスポーツカーを、という理念
ヴェルファイア/アルファードがマイチェン 「顔」がさらにど派手に!
トヨタ社内で動いている新型スポーツカープロジェクトは、コペンをベースに1Lターボを搭載した新たなFFスポーツだ。
トヨタ社内の今までS-FRを作っていたグループは、今後若い世代のクルマ好きを育てていくには(現在次期オーリスに設定すべく計画されている)4WDスポーツや、トップカテゴリーに属するスーパースポーツよりも、もっとベーシックで安いモデルのほうが必要とされている、と考えている。そこでダイハツの軽オープンスポーツ、コペンに白羽の矢が立ったというわけだ。
コペンをベースとすることの大きなメリットは、骨格構造「Dフレーム」により、スポーツ走行に必要な剛性と衝突安全性が、すでに確保できていることだ。
それゆえ、コストを過大にかけることなくニューモデルを開発できるということになるのだが、同時にコペンならではの、ボディデザインの自由度の高さも長所となる。
コペンはフレームに異なるデザインの外板パネルを装着して、着せ替えできる構造を特徴としているが、その構造をトヨタもフルに活用する。
ダイハツコペン
1Lエンジンを搭載することで軽規格に縛られる必要がなくなるため、全幅は大きく拡幅されることになるが、キャビンサイズは変わらず、増える全幅ぶんはすべてフェンダーとなるわけで、見た目はそうとうアグレッシブなものとなる。
■開発には「GR」も深く関わる
そのボディに搭載されるエンジンだが、これはトールの1KR-VETをベースに、独自にチューンしたものを積む。
トヨタはこの新たなFFスポーツをGRブランド専用車にしたいと考えており、そのチューニングにはGAZOOレーシングカンパニーが関わってくるはずだ。
開発に携わり、「GR」版も用意される。トヨタの新型スポーツへの搭載が検討されているパワーユニットはコペンの660cc直3ターボもあるが、1L直3ターボが有力か? ベースはタンク/ルーミーなどに採用されている1KR-VET型だが、最高出力はノーマルの98㎰から110㎰程度までパワーアップされる可能性が高い。ワンメイクレース仕様はさらにパワーアップされるはず
出力は110ps/16.0kgm程度が予想され、パワーを使い切る楽しさを追求したものになるが、追加でモータースポーツ参戦ベース車が用意されるという話もあり、そちらは130psほどにまで出力が上げられそうだ。
現状CVTしか設定がないトールのエンジンがベースということでミッションがどうなるか気になるが、スポーツモデルとして当然、MTも用意される。コペンが積む5速MTをベースとするが、さすがにそのままでは1Lターボのトルクには耐えられないので、強化。現在、テストが繰り返されている。
無論、全幅が拡大しトレッドも変わるということで、足回りを変更する必要があるが、これはラリーの世界では当たり前のこと。WRCに参戦し、ノウハウを持っているトヨタならば、大きな障害とはならないはずだ。
ポイントはやはり価格
残るはこのモデルがいつ、そしていくらで登場するかだが、現在ミッションのテストなどを行っていることを考えると、やはり2019年になると予想される。ただベースとなる車両があるため、ほかの一般的な車両開発よりスピーディに進む可能性はあり、その場合は2018年内に姿を見せるかもしれない。
価格は、装備が簡略化されるモータースポーツベース車両は100万円台後半で登場するだろうが、公道仕様はやはり250万円級になると思われる。
安いとはいいづらいが、GRブランドから出るとなれば走りの楽しさはお墨付き。それを考えれば充分納得できるものだといえるだろう。ベストカーでは今後もこの新たなFFスポーツの情報を追う。続報に期待していただきたい。
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