■MTをラインナップする個性的な軽自動車を紹介
ホンダは新型「N-ONE」を、2020年11月20日から発売すると公表しました。外観のイメージは先代から継承したキープコンセプトとなっていますが、シャシからエンジンに至るまで中身は全面的に刷新され、動力性能や安全性能が向上。
さらに新型N-ONEの大きなトピックスとして、6速MTが設定されたことが挙げられ、FFターボ軽自動車では初です。
そこで、N-ONEとともに個性的な最新MT軽自動車を5車種ピックアップして紹介します。
●ホンダ「N-ONE」
初代N-ONEは2012年に発売されたホンダの「Nシリーズ」第3弾となる軽トールワゴンです。外観は1967年に誕生したホンダ初の軽乗用車「N360」をオマージュしたデザインを採用したことで、話題となります。
今回、紹介するN-ONEは2代目にあたり、すでにティザーサイトが公開されていましたが、正式に発売へと至りました。
外観は初代のシルエットを継承しつつ細部の意匠を変え、シャシやエンジンも刷新されています。
ボディサイズは全長3395mm×全幅1475mm×全高1545mm(2WD)で、全高が65mm低くなったことと前後バンパー下部の造形を工夫することによって、より安定感のあるフォルムを実現。
内装は、水平基調な形状のインストルメントパネルを採用し、充電用USBジャックや各種収納も使いやすい位置にレイアウトされています。
グレードは、自然吸気エンジンの「オリジナル」「プレミアム」、そしてターボエンジンの「プレミアムツアラー」「RS」の全4グレード展開。
エンジンは全グレード660cc直列3気筒で、自然吸気エンジンは58馬力、ターボエンジンは64馬力を発揮し、トランスミッションはCVTだけでなく、RSグレードでは6速MTが設定され、ターボエンジンと6速MTの組み合わせはFF軽自動車では初です。
この6速MTは「S660」と同様なショートストロークとされ、爽快感のあるシフトフィールを実現。シフトノブの形状は「S2000」のデザインをベースにつくられたといいます。
安全面では、運転支援システム「ホンダセンシング」が、全グレードに標準装備。オートブレーキホールド機能や、電子制御パーキングブレーキ、クルマ後方の障害物を検知するパーキングセンサーシステムなど、ドライバーの安心感を高める装備も充実しています。
価格(消費税込、以下同様)は159万9400円からで、RS 6速MTは199万9800円です。
●スズキ「アルトワークス」
1980年代の初頭から軽自動車にもターボエンジンが搭載されるようになり、高性能化が加速しました。そのトップに君臨していたのが、1987年に発売されたスズキ初代「アルトワークス」です。
軽自動車が550ccの時代に64馬力を発揮し、後の馬力自主規制につながったのは有名な話で、各メーカー間のパワーウォーズにまで発展しました。
その後、アルトワークスは代を重ねましたが、ニーズの変化から一旦販売を終了。
そして、2015年にアルトワークスが復活を遂げ、最高出力64馬力に変わりありませんが専用のターボチャージャーを搭載し、「ワークス」伝統の4WDモデルも設定されています。
また、アルトワークスは670kg(5速MT、2WD)という軽量なボディに、専用チューニングされたサスペンションやブレーキを搭載して、走る・曲がる・止まる、の各性能すべてが高められました。
トランスミッションは5速MTに加え、パドルシフトでスポーツドライビングが楽しめるスズキ独自のAMT、5AGS(オートギアシフト)もラインナップ。
アルトワークスの価格は5速MT車が153万7800円から、5AGS車(4WD)が168万6300円からです。
●スズキ「ジムニー」
1970年に発売されたスズキ初代「ジムニー」は、360ccエンジンを搭載した小型のボディながら、強固なラダーフレームにストロークが長く頑丈な前後リジッドアクスル式サスペンション、パートタイム4WDを採用した軽自動車初の本格的なクロスカントリー4WD車です。
プロも使う本物のアウトドアギアとして、代を重ねてもコンセプトは変わることはありませんでした。
そして、2018年に20年ぶりにフルモデルチェンジした現行の4代目ジムニーは、クラシカルなデザインと優れた悪路走破性から発売直後から人気となり、いまも納車が1年待ちといわれています。
伝統のラダーフレームに架装されたボディに、サスペンションは前後ともコイルスプリングのリジッドアクスルを継承。
エンジンは全グレードとも64馬力を発揮する直列3気筒ターボを搭載し、インテークバルブ側に可変バルブタイミングを採用したことで低回転から力強いトルクを発生します。
パートタイム4WDのトランスファーはシンプルな構造のレバー操作による切り替え方式を採用し、トランスミッションは5速MTと4速ATをラインナップ。
アナログなイメージのジムニーですが、滑りやすい路面で駆動力を確保する「ブレーキLSDトラクションコントロール」や、急な下り坂などでブレーキを自動制御する「ヒルディセントコントロール」を装備するなど、走りの部分では大幅に進化しました。
また、先進安全技術のスズキセーフティサポートも、グレード別に設定されています。
ジムニーは装備が異なる3グレードを展開し、価格は148万5000円から187万5500円です。
■MTが設定されたユニークな軽商用車とは!?
●ホンダ「N-VAN」
一般的に商用車はモデルサイクルが長く、10年、20年と長期にわたって販売されるため、なかなか新型車が発売されませんが、2018年7月にホンダから新型軽バン「N-VAN」が発売され、大いに話題となりました。
N-VANはトールワゴンの「N-BOX」のシャシをベースとしていますが、助手席側をセンターピラーレスにすることで、荷物の積み下ろし時の使い勝手を高めているのが特徴です。
また「センタータンクレイアウト」に代表されるホンダの低床化技術により、フラットで低いフロアを実現。ホンダによると、1リッタークラスのオートバイを積載することも可能とのことです。
エンジンは直列3気筒で53馬力の自然吸気と64馬力のターボが用意され、トランスミッションはCVTと軽商用車初の6速MT(自然吸気のみ)が選べます。
本来、軽バンは荷室の長さを確保するために1BOXタイプとされ、荷物の積載時にトラクションがかかりやすい後輪駆動が主流ですが、N-VANはそのどちらも当てはまらないモデルです。
しかし、個性的なデザインや普段使いにも良好とあって、商用だけでなく趣味に特化したクルマとして2台目に買うユーザーも多いといいます。
N-VANの価格は129万1400円から183万2600円です。
●ダイハツ「ハイゼット デッキバン」
軽商用車といえばトラックかバンに分かれていますが、ダイハツ「ハイゼット デッキバン」は、トラックとバンを融合したユニークなモデルとなっています。
ハイゼット デッキバンはハイゼットカーゴのリアドアから後方の車体上部を取り払い、荷室を荷台とした4人乗りの軽トラックで、一般的にはダブルキャブのトラックに該当。
背の高い荷物や汚れ物も載せやすい利点がありながら4名乗車が可能なことから、工事関係者や園芸事業者が、道具や植木などを積んで移動するのに最適な仕様です。
また、荷台の汚れを気にせずに済むことから、釣りやサーフィン、キャンプなどのアウトドアレジャー好きに利用されることも多いようです。
エンジンは全グレードとも直列3気筒の自然吸気で、5速MT車が46馬力、4速AT車が53馬力を発揮。駆動方式はFRで4WDも選べます。
また、メーカーオプションで商用車では珍しいカラフルなカラーリングが設定され、普段使い用にも適しています。
先進安全技術のスマートアシストIIIも設定され、価格は123万2000円から164万7800円です。
※ ※ ※
近年、MT車が減少するなか、N-ONEに6速MTが搭載されたことはすばらしいことです。
とくにローパワーなエンジンにMTの組み合わせは、スポーツカーに負けないドライビングプレジャーが味わえます。
一方、MTを設定するということは、現実的に考えると開発費や型式認証など莫大な費用がかかりますから、ホンダの判断は快挙といえるのではないでしょうか。
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