本誌『ベストカー』にて、毎号技術系の最新情報や気になる話題をお届けしている「近未来新聞」。
今回はトヨタが納期短縮に向けて挽回生産を開始、高齢者の事故抑止にサポカー免許新設、安全な中古EV購入のための車載電池評価基準を策定、などの話題をお届け!
さよならありがとうMEGA WEB!! 22年の歴史に幕…跡地はどうなるの?
※本稿は2021年10月のものです
文/角田伸幸 写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2021年12月26日号『近未来新聞』より
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■高齢者の事故抑止に「サポカー免許」新設! その中身は?
高齢者の事故を抑制するには、衝突被害軽減ブレーキ自体の性能向上も重要な鍵となる
高齢者の運転については、深刻な事故が多発する一方、代わりの交通手段の確保が難しく、とりわけ地方では深刻な問題となっている。
そんな状況を改善すべく、来春から「サポカー免許」が創設されそうだ。
この免許は、普通免許で運転できるクルマを、自動ブレーキや踏み間違い防止機能の付いた車両、いわゆるサポカーに限定しようというもの。特段、高齢者向けの施策というわけではなく、運転免許所持者なら、誰でも切り替えができるようだ。
サポカーについては、すでに自動車メーカー各社が該当するモデルを販売している。しかし今回の新免許では、これらすべてが対象になるわけではない。警察庁では改めて基準を検討し、今年中にも対象車種を発表するという。
「田舎の父親に免許を返納させたいが、外出の足がなくなるので悩んでいる」という筆者のような人間にとって、この制度はひとつの安心材料にはなる。とはいえ免許の切り替えは任意であり、実際に事故がどのくらい抑止できるかという点では疑問も残る。
70歳以上のドライバーに義務付けられている高齢者講習などとリンクさせて、運転に不安がある人には免許切り替えを義務付けるといったことも検討すべきだと思うが、さてどうだろうか?
■納期短縮が実現!? トヨタが挽回生産開始
納車が1~2年先と言われる新型ランドクルーザー。一刻も早い納期の短縮を願いたい
納期の先延ばしや中古車の高騰など、私たちのクルマ購入にも深刻な影響を及ぼしている自動車の減産問題。しかし、ようやく明るい兆しが見えてきた。
期待を抱かせたのはトヨタだ。11月4日の中間決算の説明会で、今年度後半に怒涛の巻き返しを行うことが明らかになったのだ。
トヨタはその席上で、今年度の純利益が2兆4900億円と過去2番目の成績になることを予想したうえで、生産台数については、10月に発表した「全世界で900万台」を維持するとした。
これは驚くべき数字だ。なぜならトヨタは、半導体不足や東南アジアのコロナ禍により、今年度上半期にわずか408万台しか生産していないからだ。900万台を達成するには、残る半年で500万台を生産しなくてはならない。月平均にするとおよそ83万台というペースだ。
レクサスを含む世界生産台数(単位:万台)※日本経済新聞調べ
そこで上の表を見てほしい。これは日本経済新聞がまとめたトヨタの世界生産台数の推移だが、月産83万台という数字が、いかにハイペースかがおわかりいただけるだろう。同紙によれば、トヨタは11月から全力で挽回生産を始め、同月に90万台、12月にはなんと100万台近いクルマを作るという。
もしこの数字が本当ならば、納車が1~2年先といわれる新型ランドクルーザーや、半年待ちと言われるハリアー、カローラクロスの納期も劇的に短縮されるに違いない。世間のクルマ購入熱も大いに刺激されることだろう。
最新の情報では、「半導体確保に苦戦して、12月の生産は80万台程度にとどまる」というニュースも入ってきている。その苦難を乗り越えて、トヨタには来春ぜひ「計画達成」を発表してもらいたい!
■中古EV購入が安心に!? 車載電池性能を点数化
日産リーフのバッテリー。太陽光発電の蓄電や踏切のバックアップ電源として再利用されている
電気自動車が普及すれば中古車も増えるわけだが、いざ「中古EVを買おう」と決めた時に不安になるのが電池の品質だ。急激な充放電を繰り返した個体は、電池が容量低下を起こしていることが多いのだが、中古車店の店頭ではそれが判別しにくいのだ。
そんな問題を解決しようと、各国の自動車メーカーやサプライヤーが、車載電池の評価基準作りに動き始めた。
基準を作るのはEVの国際団体であるMOBI(モビリティ・オープン・ブロックチェーン・イニシアチブ)。ここでは個々の電気自動車の使用年数や走行距離、電池温度や電圧の変化を収集し、改ざんが難しいブロックチェーン(分散型台帳)に記録する。
EVを売りに出す時にはその個体のデータを計算式に当てはめて数値化し、電池の評価に使おうという狙いだ。
この仕組みが機能すれば、これまで運や勘に頼るしかなかった中古EVの電池評価が明確になり、消費者の安心感につながる。それだけではない。廃車になった後、EVの電池は太陽光発電などの蓄電システムなどにリサイクルされるのだが、そこでの性能評価も簡単になるわけだ。
MOBIにはホンダやフォード、BMW、デンソーなど世界100超の企業・団体が加盟しており、今回の電池評価は世界標準規格になる可能性が高い。魅力的なEVが次々と登場するなか、明るいニュースと言えそうだ。
■そのほかの近未来系ニュースを20秒でチェック!
●「バレーパーキング」に新たな試み
係員が代わりにクルマを駐車してくれる「バレーパーキング」は、自動運転の用途としても注目されているが、三菱重工が新手の仕組みを考案した。
これはクルマ自体の自動運転機能に頼るのではなく、自動運転を覚えたロボットにクルマを運ばせようというもの。クルマの下にパレットを差し込み、クルマを持ち上げて運んでしまうのだ。
ロボットを作ったのはフランスのベンチャー企業スタンレーロボティクス。駐車場以外では、輸出車両の船積みなどにも使えるため、注目が集まりそうだ。
クルマを持ち上げて運ぶ三菱重工の自動運転ロボット
●iPhoneに衝突検知機能を搭載?
アップルが、来年発売するiPhoneに自動車の衝突検知機能を搭載すると報じられている。衝突事故と判断したら、乗員が通報できない状態に陥っていても、自動で通報してくれるらしい。
自動車にはすでに自動で緊急通報を行う装置が装着できるが、オプションというケースも多く、アイフォーンの機能はありがたい。サービスの詳細は不明だが、iPhoneを買い替える理由がまた増えてしまうかも。
●電気自動車の最高速度記録が更新!!
アメリカ・ユタ州のボンネビルで、電気自動車の最高速度記録が更新された。
地元の名門チーム「ヴェスコ」が、1950年代から使ってきた伝統の車体「リトル・ジャイアント」に、テスラのモーターを2基積んでたたき出した記録が時速568km。
これは2年前にベンチュリが出した記録を12km/h上回る数字だ。ちなみに市販EVの最速は、リマック「ネヴェーラ」が持つ時速412km。
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年齢だけでは決められない危ない人もいる。